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増税の前に問いたい「政治とカネ」
古賀誠議員の政治資金

2012年1月10日 10:20

 今月4日、古賀誠元自民党幹事長が代表を務める自民支部に、地元県議の会合チケット購入を装い事実上の寄附をしていた疑いがあることを報じた。
 問題の支部には他にも非常識としか思えない多くの支出が見られる。

 また、古賀氏の資金管理団体による脱法的なカネ集めも続いており、同氏の政治資金をめぐる疑惑は尽きない。

 毎年、300億円以上の政党交付金が費消されている以上、増税論議の前に「政治とカネ」のあり方が問われるべきではないだろうか。


「古賀誠筑後誠山会」6億円の繰越金
 古賀氏の資金管理団体「古賀誠筑後誠山会」(以下、誠山会)の政治資金は、主として政治資金パーティーによる収入によって支えられている。
 誠山会が福岡県選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、平成20年、21年、22年の政治資金パーティーの実績は次のとおりとなる。
【平成20年】
2月16日 平成20年衆議院議員古賀誠後援会新春の集い 6,952万円 福岡市
2月29日 古賀誠朝食懇談会 804万円 東京都
4月21日 古賀誠政経セミナー 4,715万9,790円 東京都
8月01日 古賀誠朝食懇談会 662万円 東京都
10月15日 古賀誠政経セミナー 2,767万9,790円 東京都
12月03日 古賀誠夕食懇談会 2,336万円 東京都
計1億8,237万9,580円

【平成21年】
2月20日 古賀誠夕食懇談会 652万円 東京都
4月13日 古賀誠政経セミナー 4,795万9,790円 東京都
8月01日 古賀誠朝食懇談会 2,760万円 東京都
11月30日 古賀誠政経セミナー 3,691万9,790円 東京都
計1億1,299万9,580円

【平成22年】
2月26日 古賀誠朝食懇談会 778万円 東京都
5月08日 衆議院議員古賀誠「感謝の会」 1億147万円 福岡市
6月15日 古賀誠朝食懇談会 1,654万円 東京都
10月18日 衆議院議員古賀誠「感謝の会」 8,473万8,950円 東京都
計2億1,052万8,950円

 誠山会の政治資金資金パーティーについては昨年5月、会場収容人数をはるかに超えるパーティー券を販売していたことを「事実上の献金」として報じたが(参照記事)、古賀氏サイドに反省はなく、その後も脱法的な政治資金集めが続いていると見られる。

収支の総括表 こうして集められた政治資金は、古賀氏が代表である「自由民主党福岡県第七選挙区支部」(以下、七区支部)や派閥の政治団体「宏池政策研究所」などに寄附される一方、巨額の政治資金が繰り越されていく。
 その金額は平成22年末で5億9,884万5,038円。驚くべき資金力だが、寄附などで減った分は毎年の政治資金パーティで補充されており、ここ数年繰越金が5億円を下回ったことはない。
 古賀氏は、常時約5~6億円の政治資金を抱え込んでいることになる。

  問題はまだある。誠山会は、毎年のように東京で政治資金パーティを開催しているが、これは紛れもなく「政治活動」である。
 政治団体の届出は、「2以上の都道府県の区域等」を活動区域とする場合は総務省、「同一の都道府県の区域内」で活動する団体は都道府県の選挙管理委員会に提出することとされている。しかし、誠山会は福岡県選管届出のままなのだ。
 古賀氏側の対応は、政治活動の内容を国民がチェックするという趣旨には反していることになる。
 県選管は、罰則があるわけではないとしながらも、活動実態によっては届出先を変更するケースもあり得るとしている。
 
誠山会から自民支部へ年間約1億
 誠山会が七区支部に寄附していた金額は、平成20年1億、21年9,800万円、22年8,000万円。年間約1億円にのぼるカネが自民・七区支部に入る仕組みだ。
 同支部への企業・団体献金が毎年1,600~1,700万円で推移していることや、政党助成金が平成20年に約1,800万円、21年に約3,000万円、22年1,000万円支給されていることからして、誠山会からの寄附がいかに大きいものか分かる。
 七区支部に入ったカネは、高級料理店での飲食やワイン、土産物に費消されるほか、選挙区内の地域支部ごとにばら撒かれ、古賀氏の地盤強化を図る原資となる。その実態については昨年、次の配信記事で詳報している。
福岡7区に見る金権政治の現実(1)
福岡7区に見る金権政治の現実(2)
福岡7区に見る金権政治の現実(3)
自民・八女郡支部が政治資金規正法違反
自民・八女郡支部「帳簿」に見る規正法違反の実態
古賀誠氏側の関与どこまで?
不透明な自民支部「分会」の支出

 衆院福岡七区で古賀氏に対峙するのは野田国義衆院議員(現・民主党福岡県連代表)だが、こちらの年間収入は政党支部と後援会を合わせても2千万円前後。古賀氏の十分の一にも、満たない状況だ。
 これほど政治資金に差があるにもかかわらず、平成21年の総選挙では古賀氏と次点の野田氏との差は2万票ほどでしかない。カネの力でかろうじて小選挙区での戦いを制したというのが実情なのだ。
 しかし、古賀氏の金権体質への批判は年々増大しており、昨年春の統一地方選挙では、古賀氏系列で柳川市選出の古参県議が野田氏の秘書を務めていた無所属新人に敗れて落選している。
 総選挙では野田氏に大差をつけた柳川市で、逆転現象が起きたことになる。

七区支部にさらなる不適切支出
 七区支部については、高額な飲食代や芸能人のコンサートチケット代なども問題視されてきた。しかし、一向に支出を見直す気配さえなく、平成22年には次のような団体への「会費」に関する支出が記載されている。
・国際ソロプチミスト
・家庭倫理の会
・霊友会
・実践倫理宏正会
・青年会議所

領収書 国際ソロプチミストは、働く女性の地位向上を目指す団体であり、政党支部での参加が認められるものではない。もちろん国際ソロプチミストが政治活動を行なっているわけでもない。 
 七区支部からその他の団体に支払われた会費も、個人の資格で支払うべきものである。
 
 特に問題と見られるのは、青年会議所への支出だ。収支報告書の記載内容に該当する領収書の写しを確認したところ、これは「新入会員」の入会金および会費であることがわかった。(右の領収書参照)
 青年会議所の入会資格は、"年齢が満20歳以上37歳以下であること"とされており、70歳を超えた古賀氏自身の入会金や会費であるはずがない。

 七区支部は、関係者の青年会議所活動に政党支部の政治資金を充てているのである。支出そのものが不適切だったことは明らかだ。

原資は税金!
 古賀氏の集金力を支えているのは公共事業である。平成22年に誠山会が福岡市と東京で開催した政治資金パーティー「衆議院議員古賀誠『感謝の会』」では、福岡県内の建設業者や東京の不動産関連企業、さらには近畿地方の介護関連企業が大量にパーティー券を購入している。
 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の元会長藤田和夫氏が代表を務める企業がそれぞれ100万円の計400万円を購入しているほか、近畿圏を中心に事業展開する介護サービス業者「健和会グループ」関連8社で400万円分が確認される。
 地元福岡県では、高規格道路「有明海沿岸道路」などを中心とする公共工事を受注する建設業者らのパーティー券購入が常態化している。
 こうした企業の政治資金提供の背景には、古賀氏が強い影響力を持つと言われる国土交通省や厚生労働省の事業があると見られる。つまりは税金を原資とする事業をあやつり、カネを稼いでいる可能性があるということだ。
 
問われる「政治とカネ」
 増税に向けて一直線に走る野田内閣だが、消費増税はもともと自民党がマニフェストに明記したもの。
 国の財政事情が厳しくなったから民から吸い上げるという構図に過ぎず、失政のツケを弱い立場の人間に押し付けているだけの話である。
 与党も野党も、国政の無駄や国会議員への特別待遇にはほとんど手をつけていない。
 民主党が企業・団体献金の廃止を打ち出したのは、古賀氏に代表されるような公共事業の予算配分を背景にカネを集める手法が政治不信を招いたことへの反省からだったはずだが、この公約もいつの間にか消えてしまっている。
 権力を行使して巨額な政治資金を集め、票を税金で買い取るような政治を終わらせない限り、この国の政治が信頼を取り戻すことはない。



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