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被災地情報を改憲プロパガンダの道具にした安倍政権 
投稿写真は自衛隊ばかり

2019年10月17日 09:00

官邸.png 12日午後、伊豆半島に上陸した台風19号は、関東から東北にかけて猛威を振るい、16日現在で74人が死亡、 11人が不明となるなど深刻な被害をもたらした。堤防の決壊は7つの県の55河川で79か所、住宅の浸水被害が1万3,000棟以上に上る他、19都県で170件を超す土砂災害が起きている。
 この状況を「まずまずに収まった」(二階俊博自民党幹事長)と評価する神経は理解できないが、他人事の対応をしている政権トップの姿勢こそ、批判されるべきだろう。
 被害が拡大しつつあった13日の安倍首相の動きを追うと、この人の頭の中には「自衛隊」と「憲法」しかないことが分かる。(写真は官邸HPより)

■被災地写真で自衛隊のPR
 憲法改正が必要な理由を「自衛隊のため」と明言してはばからない安倍首相。自衛隊の存在をPRできる絶好の機会と捉えたのだろう、首相のフェイスブックやツイッターに投稿された被災地の写真は自衛隊員の姿ばかりで、被災者の救出や復旧に命がけで取り組んでいる消防や警察、各自治体関係者の写真は1枚も出てこない。下が13日から14日にかけて、首相がフェイスブックに投稿した被災地の写真だ。

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 被災地の現状を報じるテレビ番組の映像には、消防や警察、地元自治体の職員らが数多く映っているのに、首相がSNSに投稿した被災地の写真は、ほとんどが自衛隊の活動を伝えるものばかり。意図的にこうした画像を選んでいるということだ。 

 自衛隊をPRしたいという安倍首相の意向は、首相官邸のホームページにも反映されていた。そのトップ画面が下。首相のフェイスブック投稿に使われた自衛隊の活動の様子が、そのまま張り付けられている。まさに、政権あげての自衛隊PR。台風被害対策にかこつけて自衛隊をPRし、「憲法9条に自衛隊を明記する」ための布石にした格好だ。改憲プロパガンダの道具にされた被災地は、たまったものではあるまい。

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 巨大台風の上陸で緊張が増していた13日、首相は1度だけ官邸を離れている。行く先は市ヶ谷の防衛省。朝10時から省内で行われた「自衛隊殉職隊員追悼式」に出席し、フェイスブックやツイッターに、しっかりと式の様子を投稿していた。いかなる時にあっても、自衛隊の存在は特別ということだ。

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 首相のSNSへの投稿写真に、違和感を覚えた人は少なくなかったようで、都内在住の大学生から次のような読者メールが送られてきた。
「安倍さんのSNSへの投稿写真には、なぜ自衛隊ばかり写っているのでしょう。被災地では、消防や警察の方々も必至の活動を続けているのです。ことさら自衛隊の活躍だけを宣伝するのは、憲法9条に自衛隊を明記したい安倍さんの下心の表れでしょう。災害派遣での活動ぶりを道具に利用する姿勢には賛同できません」

■能天気にラグビー観戦?
 被災地軽視の姿勢は、同日首相がSNSに投稿したもう一件の写真とコメントに、如実に表れている。この日は、国内で開催されているラグビーワールドカップの日本対スコットランド戦。日本が28対21で勝利し、初の決勝トーナメント進出という快挙を成し遂げたことを受け、首相は夜10時頃に次の投稿を行っていた。

安倍001.png 《東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に、最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は、台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています。》
 濁流や土砂崩れに怯える被災地で、のんきにラグビーのテレビ観戦をしていた人などいるはずがない。“最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めない”などという言葉を素直に受け取れる状況ではなかったのだ。安倍の軽薄は今に始まったことではないが、このコメントは、二階幹事長の「まずまずに収まった」に通底する被災地軽視の表れに違いない。

 被災地情報を改憲プロパガンダの道具にし、自衛隊のPRに努める愚かな首相――。この日の動静を確認したところ、ラグビーをテレビ観戦したのは、緊急時の対応ができる官邸ではなく都内富ヶ谷の私邸だった。 



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