残すところ5日余りとなった選挙戦、候補者同士の舌戦に加え、各陣営の選挙用ビラが大量に流布し始めた。選挙用のビラは候補者に7万枚、政党所属の候補者の場合は、さらに4万枚の計11万枚を使用することが認められている。
9日、衆院福岡7区内全域に自民党新人候補の選挙用ビラが新聞折り込みされたが、片面すべては引退した大物議員の一文に費やされていた。表面にある候補者本人の政策は付け足しにしか見えない。候補者がかすむのは他でもない、長文の執筆者は古賀誠元自民党幹事長なのである。
選挙用ビラの主役は古賀誠氏
下がその選挙用ビラである。署名した文章の中で古賀氏は、32年以上にわたったこれまでの政治活動を振り返り、政治勉強会「至誠塾」を立ち上げることを報告。さらに、今年7月に選挙区内を襲った豪雨被害に対する復旧に「大方の道筋を示すことができました」と大物ぶりを誇示している。
ただし、早期の災害復旧の前提になった「激甚災害指定」は閣議決定で決まったものであり、野党の一議員だった古賀氏が「道筋」を付けたというのはおかしい。道筋を付けたのは政府・与党、つまりは民主党政権なのである。
古賀氏は、誠橋(おぼろ大橋・福岡県八女市上陽町)、誠道路(有明海沿岸道路)、誠駅(新幹線・筑後船小屋駅)と、その名を冠されるような大型公共事業を次々と実現してきた大物政治家だ。そのため、衆院福岡7区内における予算措置をともなう事業のすべてが古賀氏の尽力によるものであるかのように喧伝されてきたが、そんなことはあり得ない。
古賀氏の存在が大きかったがために独り歩きした「伝説」であり、古賀氏陣営が意図的に力を誇示した結果でもある。
古賀氏の後継となった自民新人は、古賀氏の政治を『継承・発展』(新人候補の主張より)させるのだという。言い換えれば、利権政治が受け継がれ、仕事の代償として建設業界などから政治資金提供を受けるというシステムが温存されることを意味している。
本当にそれでいいのか?答えは16日、福岡7区の有権者が出すことになるが・・・。