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福岡7区に見る金権政治の現実(1)
~「政治とカネ」地方の実態~

2011年4月15日 09:15

 平成21年、猛暑の中で行なわれた総選挙で歴史的な政権交代が実現し、この国に利権政治をもたらした自民党一党支配が終焉した。しかし、「政治とカネ」を巡る報道は後を絶たない。         
 
 政治資金規正法は「政治とカネ」に絡んだ事件が起きる度に改正されており、直近では平成20年、国会議員関係団体への1円以上の領収書公開や第三者による監査が義務付けられた。
 だが、有権者の厳しい視線をよそに、同法や公職選挙法上のグレーゾーンが存在する。法改正が不十分だったため、抜け道だらけと言っても過言ではない。その手口もさまざまだ。
 
・現行法の規定を盾に、支出のほとんどを政治資金収支報告書に記載義務のない5万円未満のものばかりだったことにして一括処理。数百~数千万円ものカネの支出先を隠す。
・傘下の政党支部を使って巧妙に選挙費用と見られる支出の内容を隠す。
・意識的に「資金管理団体」を使わず、政党支部やその他の政治団体に政治資金を集中させ、「資金管理団体」に義務付けられた経常経費(人件費を除く)の内容報告を免れる。
・政党支部を単なる集金装置として利用し、集めたカネの大半を個人後援会に移す、等々・・・。
 法の不備をついた不透明な金の流れには驚くばかりだ。しかも金額が大きい。

 税金を原資とする「政党交付金」をもらいながら、政党支部の収支を不透明なままにしておくことは許されない。
 福岡県における自民党支部のカネの流れや収支の実態検証を通じて問題点を明らかにしていくが、最初に取り上げるのは衆院福岡7区である。
 
壮絶選挙戦、資金力見せつけた古賀誠元幹事長
 総選挙の年、福岡県南部を選挙区にする福岡7区では、自民党の元幹事長・古賀誠氏と、かつてはその古賀氏の秘書を務めた前八女市長の民主党新人・野田国義氏が熾烈な選挙戦を演じた。結果、約24,000票の差をつけて古賀氏が勝利、野田氏は復活当選に甘んじる。
 当時、取材の過程で見せつけられたのは、古賀氏陣営の圧倒的な物量と、動員数の凄さ。野田氏陣営がどんなに「政権交代」の風に乗ろうと、この差は埋まらないと感じたものだ。
 物量作戦を支えた古賀氏の政治資金は、どのように流れ、そして費消されたか・・・。同氏が支部長である「自由民主党福岡県第七選挙区支部」と同選挙区内にある自民党支部の政治資金収支報告書および領収書を精査したところ、多くの問題点が浮き彫りとなった。
 
「自由民主党柳川支部」への800万円
 先月10日、11日と、同選挙区内の柳川市選出県議・江口吉男氏(10日の県議選で落選)側による不適切な政治資金収支の実態について報じたが、複数の江口氏関連政治団体のなかに「自由民主党柳川支部」がある。
 
 総選挙が行なわれた平成21年、同支部の総収入約875万円のうち800万円は、古賀誠・元自民党幹事長が代表を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」からの交付金だった。
 支出内訳を確認すると、経常経費が3,896,530円、政治活動費が 4,520,153円で、両方を合わせた総支出は約840万円。しかし、経常経費の支出先はまったく分からない。
 政治資金規正法上、人件費以外の経常経費(光熱水費、備品消耗品費、事務所費)について内訳を記載するように義務付けたのが、国会議員関係政治団体と政治家の資金管理団体だけにとどまるからだ。「自由民主党柳川支部」はそのどちらでもない。
 一方、5万円以上の支出について記載されるはずの政治活動費のうち、支出目的が明記されているのは、総選挙のためにかかった事務所の借地料やポスター代など約189万円だけで、1,596,367円が「雑費」として一括処理されていた。
 支出目的がわずかながら明らかとなっている「大会費」「組織対策費」「広告作成費」 の項目でも、5万円未満の支出である「その他の支出」が、それぞれ93,400円、684,309円、253,787円計上されており、相手先が見えてこない支出は、経常経費を含めて6,524,393円にのぼる。
 
 古賀誠元幹事長が代表である「自由民主党福岡県第七選挙区支部」は、支出内訳の詳細報告が要求される国会議員関係団体である。しかし、同支部からの800万円が同一の選挙で費消されたとしても、いったん別の自民支部に支出されていれば、その使途を収支報告書で確認することができなくなるのだ。現行法の欠点と言えよう。
 そして、この欠点が、結果的に巨額の選挙資金の流れを隠すことにつながっているのだ。

6つの自民支部に4300万円
 じつは、古賀元幹事長の「自由民主党福岡県第七選挙区支部」はこの年、選挙区内の6つの自民党支部に合計4,300万円もの交付金を支出しており、前述の江口氏が代表を務める「自由民主党柳川支部」への800万円は、このうちの一部だった。

収支報告書

つづく



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