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肩書詐称!? 古賀誠氏後継陣営の焦り

2012年11月21日 08:10

藤丸さとし氏 名刺 衆議院の解散が決まった直後に引退表明、どさくさ紛れに後継指名まで行ない、まんまと次期公認候補の「公募」を回避した自民党・古賀誠元幹事長。
 その大物政治家の跡を継ぎ福岡7区の同党支部長となる予定なのは、古賀氏の秘書を30年以上務めてきた藤丸敏氏(52)だ。
 建設業界を牛耳るほどの大物だけに、強引な選挙戦術をとるものと見られていたが、正式な支部長就任を前に、早くもしたたかな顔を見せつけている。
 地元福岡7区の関係者からは、藤丸陣営のルール無視の手法に「えげつない」との声も上がりはじめている。

正式決定経ぬまま「支部長」の肩書使用
 古賀氏の引退表明が行われた今月17日の夜、選挙区である福岡7区内に古賀・藤丸両氏の顔写真と名前を載せたポスターが貼り出された。

 土壇場まで引退表明を引き延ばし、自民党が決めた「公募」を回避する茶番劇を証明する事実だったが、知名度ゼロの藤丸陣営としては、こうした形でスタートせざるを得なかったようだ。

 民主党県連の代表を務めているとはいえ古賀氏の対立候補だった野田国義氏(54)は当選1回。古賀氏に比べ、知名度で劣っていることは否めなかった。
 しかし、古賀氏の引退で様相は一変。永田町勤務が長く、地元になじみがない藤丸氏に対し、野田氏が知名度で優位に立つ格好となっている。

 福岡7区の有権者に取材してみたが、藤丸氏の一般有権者への知名度はかなり低いことが分かる。
「藤丸さんって誰」(筑後市・50代主婦)。
「地元の担当秘書は顔も名前も知っているが、藤丸という秘書は知らない。そんな人いたんだ」(大牟田市・40代会社員)。
 藤丸氏を知っているのは、建設業界と東京で接待を受けていた農協関係者ばかりといった状況だ。

 こうした事態に焦りが出たのか、藤丸陣営が始めたのが名刺のばら撒き作戦。下がその現物なのだが、藤丸氏の肩書きは自由民主党福岡県第七選挙区支部の「支部長」となっている。気持ちは分かるが、明らかに“肩書詐称”である。 

藤丸さとし氏 名刺

自民県連は「藤丸支部長」を否定
 藤丸氏が古賀氏から後継指名を受けたのは間違いないのだが、じつは同支部の支部長は正式に決まっていない。古賀氏は次期総選挙に出馬しないことを表明したものの、誰が支部長なのか判然としないまま、時日だけが経っている状況なのだ。

 自民党の選挙区支部長になるには、選挙区内にある地域の党組織はもちろん、県連が次期支部長を機関決定し、しかる後に党本部が正式に認めるという決まりだ。党としての決定がないまま「支部長」を名乗るのは“肩書詐称”なのである。

 20日、自民党県連に確認したところ、7区の支部長については古賀氏の急な引退表明を受けたところで、明確に回答ができないという。依然として古賀氏が支部長のままなのかと聞いてみたが、これもハッキリしない。明らかなのは、藤丸氏が支部長ではないということだけだった。

「推薦願」も支部長名
 名刺のばら撒き程度で止めておけばよかったが、藤丸陣営は“肩書詐称”では済みそうもない違反行為も犯している。
 
 下がその証拠で、選挙区内の各種団体に対し配布されている藤丸氏の「推薦願」である。肩書は自民党7区支部の「支部長」となっており、ここまでくれば「経歴詐称」と言われてもおかしくない。

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 ある自民党支持者は次のように語る。
「えげつない。私は古くからの党員で、姑息なやり方は嫌いだ。福岡7区の支部長は正式に藤丸と決ったわけではない。勝手に名刺を刷ってポストに入れてみたり、推薦願いを出したりと『支部長』の私物化みたいなマネをしているというが、ルール違反なのは確かだ。自民党らしく、正々堂々と戦うべきなんだ」。

 自民党の「公募」を避けるための土壇場での候補者交代劇が、スタート時点での出遅れを招いたという皮肉。対立候補との距離を縮めるため、決まってもいない「支部長」の肩書を使い続けるのなら、その後継者は立候補前から『嘘』をついているということになるが・・・。



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