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古賀誠氏側の関与どこまで?
~福岡7区に見る金権政治の現実(6)~
自民・八女郡支部、選挙活動の実態

2011年4月22日 11:57

 帳簿に記載された内容は、杜撰な政治資金管理のありさまと、自民党支部における選挙運動の実態だった。
 記された個別の支出には、見方によって公職選挙法違反の疑いが浮上する。

 自民党の古賀誠元幹事長が代表を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」から600万円の交付金を受けながら、県選管に提出した政治資金収支報告書に200万円と記載していた「自由民主党八女郡支部」。
 政治資金規正法上の虚偽記載ではないか、との指摘を受けた八女郡支部側が示した「帳簿」から、支部活動の生々しい実態が明るみになった。
 総選挙が行なわれた平成21年にしぼって、そのなかの代表例を時系列的に検証する。
(注:以下、帳簿の表現は、できる限りそのままにした)

帳簿1臨戦態勢
 前年9月、民主党の公認候補として、かつて古賀誠氏の秘書を務め当時は八女市長だった野田国義氏の擁立が決まり、臨戦態勢のまま年を越える。
 八女郡支部の帳簿は、年毎に1月からの収入、支出を記載しており、この年1月17日には早くも「7区支持お願の際食事代」と記されている。選挙に向けての「お願い」に関する支出と見られ、同様の支出は23日にも2件ある。

帳簿2軍資金分配の実態と「飲食」「土産」 
 5月25日には「分会活動費分配の折 食事代」とあるが、分会活動費とは問題の600万円が入金されたあと、組織活動費として、次のように分会ごとに配られた軍資金のことだ。
 黒木100万円、上陽50万円、立花100万円、広川100万円、矢部50万円、星野 50万円、青年部50万円、女性部50万円(注:星野分までの帳簿写真は昨日掲載)。
 古賀元幹事長側からの600万円の軍資金は、大半の550万円が入金から8日後に各地域にくまなく渡されたことになるが、「食事代27,300円」は、軍資金分配にあたって飲食をともなったことをうかがわせる。
 また、5月28日には「有志訪問のため土産代」、6月8日にも「八女郡内有志宅訪問の際土産代」とある。同支部では、どこかを訪問する場合、土産や食事が付き物だったようで、こうした記載は少なくない。

帳簿3不記載の証明
 7月29日のパソコン代99,800円については、5万円を越える支出でありながら、政治資金収支報告書には記載されていない。当初、八女郡支部の事務担当者は、「このパソコン代というのが、何かよく分からない」としていたが、収支報告書の修正後もこの支出については記載がないことが確認されている。
 帳簿に記された支出のなかで、5万円以上のものは少なくない。しかし、通信費や役員への手当てなどは、一括して収支報告書への内容報告義務がない「経常経費」に入れたものと思われる。
 ここで取り上げたパソコン代が報告義務のある支出であることは言うまでもなく、政治資金規正法上は「不記載」ということになる。

帳簿4選挙へ 
 総選挙の公示が近づいた7月からは、いよいよ選挙向けと見られる活動が活発化する。
 7月29日には「訪問の折土産代」、8月6日「各分会有志訪問折土産代」とあり、前述したように訪問=土産付きである。
 ただし、衆議院は7月21日に解散しており、選挙のための「訪問」であれば、「土産」は違法性を有するものとなる。もちろん公職選挙法違反だ。


帳簿5公選法違反、疑わせる支出の数々
 8月18日の総選挙公示前後からは、同じく選挙目的と思われる支出ばかりとなる。

8月14~16「黒木戸別訪問のためガソリン代」
8月21日「郡内有志宅訪問土産代」
同日「選対活動の折 夕食代」
8月22日「有志訪問の折土産代」
同日「選対活動の折 飲食代」
8月23日「同 夕食代」
8月26日「選挙活動に付き 夕食代」
8月27日「同 ガソリン代」
同日「同 夕食代」
8月28日「同 通信代」
同日「同 飲食代」

 これらの支出はどう見ても選挙活動と見られ、「黒木戸別訪問のためガソリン代」に至っては、何をかいわんやだ。
 公職選挙法は、選挙目的の戸別訪問を禁止しており、ガソリン代支出が選挙目的の戸別訪問に起因するのであれば、訪問行為そのものはもちろん、支出自体も法に触れていたことになる。

 さらに、このページの支出はほとんどが"選挙期間中"のもので、「選対活動」「選挙活動」といった文言は、支出目的が「選挙」だったことを明示している。
 当然、選挙活動にともなう「土産代」は公選法が禁じる支出であり、土産が選挙支援のお願いの道具なら、渡した方も、渡された方も罰せられることになる。
 
 「夕食代」「飲食代」も同様で、記された「7190」「11700」「9200」「6900」という金額からいって、1人分だけの支出ではないことが予想される。もし、選挙に関する「お願い」の相手が接待されていれば、これも公選法に抵触する。


帳簿7農政連関連支出も確認できず
 選挙期間中の8月23日には、「郡農政連と合同決起の際負担」として「308480」円が支出されているが、この支出についても同年の収支報告書には記載されていない。
 さらに「福岡県農政連」や農政連の各支部の報告書を確認したが、八女郡支部からの収入は確認できていない。(注:農政連の収支については、現在さらに精査中)



古賀誠氏側関与どこまで?

 八女郡支部の帳簿に記された内容は、重大な問題をはらんでいる。政治資金規正法上の「虚偽記載」や「不記載」、さらには公職選挙法の「買収」「供応」への疑念が持たれてもおかしくないものだ。

 違法性の指摘を受けた八女郡支部は、平成21年分の帳簿を「つくり変えた」(同支部幹部)うえで、政治資金収支報告書の修正を行なったが、この一連の作業に古賀元幹事長の秘書が関与したことが明らかとなっている。

 八女郡支部の収入のほとんどが、古賀氏の「自由民主党福岡県第七選挙区支部」からの「交付金」である以上、古賀氏側にも説明責任があるものと考える。

 古賀誠事務所に対しては3月22日、ある2点についての事実確認のため質問文書を送り回答を待ってきたが、4月21日まで何の反応もない。
 八女郡支部の「選挙活動」が、何を頼むためのものだったかさらに取材を進めているが、まず古賀氏自身が、公人としての責務を果すべきではないだろうか。

つづく



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