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会場規模超えるパー券販売、常態化
   古賀誠議員資金管理団体
~福岡7区に見る金権政治の現実(11)~

2011年5月25日 09:15

 自民党・古賀誠元幹事長(福岡7区。当選10回)の資金管理団体「古賀誠筑後誠山会」(以下、誠山会)が、平成20年に東京で開催した政治資金パーティで、会場の収容数をはるかに上回るパーティ券を販売していた問題で、同団体が平成21年に開いた政治資金パーティも同様の実態だったことがわかった。

 パーティ券購入者の大半が会場に入れないことを前提にした政治資金パーティの手法に、改めて疑問符がつく事態だ。

会場に「来ない」ことを前提のパー券販売 
 明細2 平成20年に誠山会が東京で開催した政治資金パーティは5回。
 2月と8月にグランドプリンスホテル赤坂(今年3月で営業終了)旧館2階の「サファイヤホール」で「古賀誠朝食懇談会」を、4月と10月には九段会館(「財団法人 日本遺族会」が運営。東日本大震災発生時に天井崩落で死者2名を出し営業を終了)の「真珠の間」(4月)、鳳凰の間(10月)で「古賀誠政経セミナー」を開催。
 12月にはグランドプリンスホテル赤坂40階のカクテルラウンジ「トップ オブ アカサカ」で「古賀誠夕食懇談会」を開催していた。

 いずれの政治資金パーティも会場の収容人員をはるかに上回るパーティ券を販売しており4月の「古賀誠政経セミナー」では、じつに会場収容人数の10倍以上のパーティ券を販売していた。
 
 5回の政治資金パーティの合計収入は1億1,285万9,580円にのぼる。パーティ券は1枚20,000円だったことがわかっており、最低でも約5,600人が購入した計算になるが、いずれの会場も規模が小さく、収容人数の平均を200名程度とみれば会場に入ることが可能なのは延べ1,000人ほどだったことになる。
 4,600人は初めから「来ない」ことが前提だったと思わざるを得ない。

21年も同様の実態が判明
 新たに同様の実態が判明したのは、誠山会による平成21年の政治資金パーティについてだ。
 
 誠山会は、総選挙が行なわれたこの年、東京都内で4回の政治資金パーティを開催。2月と7月にグランドプリンスホテル赤坂で「古賀誠朝食懇談会」を、4月と11月には九段会館で「古賀誠政経セミナー」を開催していた。
 
 同会の平成21年の政治資金収支報告書によれば、2月の「古賀誠朝食懇談会」では326人、4月の「古賀誠政経セミナー」では2,098人、7月の「古賀誠朝食懇談会」では1,380人、11月の「古賀誠政経セミナー」では1,846人が20,000円のパーティ券を買ったことになっている(注:2月分は収入額から計算)。
特定パーティ
  同年の収支報告書に会場名の記載まではなかったが、会場となったグランドプリンスホテル赤坂や九段会館には、1,000人以上の収容ができる大規模な会場はそれぞれひとつしかなかった。
 
 HUNTERの取材によれば、誠山会の4回の政治資金パーティでは両施設の大規模の会場は使われておらず、平成20年同様、21年も収容人数200人前後の会場を使用していたことになる。
 誠山会の政治資金パーティにおいては、会場の収容人数を大幅に上回るパーティ券販売が常態化していた可能性が高い。
 
 同年、こうして集めたカネは1億1,299万9,580円で、パー券購入者は5,600人を超える(パー券1枚の金額は20,000円)。
 会場の収容人数は4回のパーティを合わせても800人程度にしかならず、5,000人近くの人たちは、ただパー券を買うだけの存在だったことになる。

確信犯的行為
 政治資金パーティのパーティ券には、当該パーティが政治資金規正法にもとづく「政治資金パーティ」であることを明記したうえで、開催年月日や会費金額に加え、会場も記載される。
 つまり誠山会側は、会場の規模を知った上で、それを大きく上回る枚数のパーティ券を作製・販売していたわけで、確信犯的な行為だったことは明らかだ。 

 政治資金規正法の不備をついた形だが、事実上の政治献金集めと見られてもおかしくない状況だ。
 政党および政党の政治資金団体(自民党の場合は『国民政治協会』)以外の政治団体が、企業・団体献金の受け取りを禁じられていることは言うまでもない。

 誠山会は平成20年に1億円、21年には9,800万円を古賀氏が代表を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」に寄附しており、さらに同支部からは選挙区内の六つの自民党地域支部などに多額の選挙向け資金が流れ込んでいたことがわかっている。

誠山会・H20年の寄付  誠山会・H21年の寄付

 
 古賀元幹事長の集金力について、さらに検証を進める。

つづく




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