昨年2月に行われた鹿児島県指宿市の市議会議員選挙で当選した二人の議員が、後援会活動にかかった費用を選挙運動の支出として計上し、市選挙管理委員会に誤った選挙運動費用収支報告書を提出していたことが分かった。
HUNTERの指摘を受けた市選管が個々の議員に連絡したため、いずれも該当箇所を抹消するなどの修正を行ったという。
他の議員の選挙運動費用収支報告書にも記載ミスが数件見つかっており、選管のチェックミスと議員の不見識が、杜撰な選挙資金処理につながった可能性が高い。
■後援会の支出を選挙運動費用に計上
後援会活動にかかった費用を選挙運動費用として計上していたのは、指宿市議会の恒吉太悟議員と山本敏勝議員。恒吉議員は、平成29年7月と10月に支払った政治活動用リーフレットの印刷代2回分189,500円を、選挙の立候補準備にかかった費用として計上し、「選挙運動費収支報告書」に記載していた。
山本議員は29年6月から12月にかけて支払った政治活動用名刺などの印刷費4件分77,200円を選挙のための支出として計上し、選挙運動費収支報告書に記載していた。
いずれも政治活動と選挙運動の区別がついていないケースで、修正がなければ“虚偽報告”。政治家としてのイロハが分かっていない証だ。恒吉議員については、自身の支援団体「つねよし太悟後援会」の支出に前出政治活動用リーフレットの費用を二重計上していたことが分かっており、杜撰な資金処理が常態化しているのは確かだろう。
(*下は、恒吉氏の選挙運動費用収支報告書と県選管に提出された「つねよし太悟後援会」の政治資金収支報告書)
山本議員も正しい政治資金処理ができていない。指摘を受けて選挙運動収支の修正をしたものの、県選管に提出された「山本としかつ後援会」の政治資金収支は未修正。後援会の支出が増えるはずだが、15日現在、同団体の政治資金収支報告書に訂正の跡はない。
後援会活動と選挙運動の区別ができずに議員側が報告書を修正したケースは2件にとどまったが、決められた通りの記載ができていない報告書も複数。選管の指導を受け、いずれも修正に応じているというが、通常なら選挙の執行日から15日以内の提出が定められている選挙運動費用収支報告書を受け取った選管が、受理印を捺す段階でチェックし、間違いの修正を求めるもの。議員側の責任が重いのは確かだが、選管の不勉強を否定することはできない。
当然捺してあるべき、その「受理印」がないことも分かった。市選管への情報公開請求で入手した選挙運動費用収支報告書には、一人分を除いて受理印がない。つまり、適正に提出された報告書であることを証明できないのだ。「受理印がないことを、指宿市選挙管理委員会はどう考えているのか」――15日、選管に確認とコメントを求めたが、出稿まで回答はなかった。
同市選管の事務処理を巡っては先月、市長選挙や市議会議員選挙で候補者陣営に支給した「選挙運動費用収支報告書」に、公職選挙法施行規則が定めた記載項目の欄を備えていなかったことが判明。長年、選管が“違法な報告書”を作成させていたことが分かったばかりだった。大丈夫か指宿市?