高島宗一郎市長の就任以降、増え続けていた退職警察官の再雇用が平成29年度でピークを迎え、30年度、令和元年と同じ人数で落ち着いたことが分かった。
ただし、市に再雇用されている県警OBは82名という多さ。市内部からも、「退職警官に何をやってもらっているのか分からないが、市が県警の天下り先になっている現状は決して好ましくない」という声も上がっている。
(写真は福岡市役所)
◆高島市政下、県警OB天下りの受け皿に
県警OBの再雇用が増え始めたのは、平成23年に高島宗一郎市長が就任した直後から。22年の60人台から年度ごとに数を増し、28年4月時点で83人に達していた。高島市政下で23人も増えた計算だ。
背景にあるのは、アベノミクスノの恩恵にあずかれていない地方経済の現状。厳しい経営からリストラが当然となっている世の中にあって、わざわざ県警OBの天下りを受け入れる企業は少なくなる一方。天下り先は減っており、余力のあった市役所が「受け皿」となる格好となっていた。
“受け皿作り”を進めたのは、23年に副市長に就任した県警幹部OBだったとされ、24年度に実施された市内部の組織改編が、警察官天下りを増やすきっかけとなった。市は同年4月、暴追運動の強化などに対応するため、市民局内に「生活安全部」を新設。初代部長に現役警察官を招くとともに、一気に県警OB5名を嘱託で「生活安全課」に採用していた。
この年以来増え続けてきた県警OBの天下りにも、ようやく歯止めがかかったようだ。県警OB再任用者の推移を確認したところ、29年度の「83名」をピークに、翌年度からは「82名」になっている。
ある福岡市の現役職員は、次のように話している。
「天下りが82人に減ったからといって、喜ぶ話ではないでしょうね。退職警官に何をやってもらっているのか分からないが、市が県警の天下り先になっている現状は決して好ましくない。民間企業のリストラで苦しむ人がいる一方で、警察と市役所が馴れ合いを続けているというのでは、市民の理解は得られない。市役所がらみの刑事事件の種はいくらでもあるのに立件されないのは、市と県警が癒着しているからだという声もある」