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新日本科学めぐる政治資金
鹿児島・メディポリス構想の闇

2012年9月28日 10:55

 今月24日から3回にわたり、鹿児島県指宿市で「がん粒子線治療研究センター」を運営する「メディポリス医学研究財団」に支出される60億円(予定分含む)の公費をめぐる闇を報じてきた。

 HUNTERが問題視してきたのは、平成20年に同財団の理事長である永田氏から伊藤祐一郎鹿児島県知事に提供された100万円の選挙資金なのだが、「メディポリス指宿」と呼ばれるプロジェクトが進められていく過程で動いた同社と永田氏がらみの政治資金の流れは、他にもあった。

(写真は「がん粒子線治療研究センター」)

新日本科学
 同センターを中核施設に据えたメディポリス構想は、旧グリーンピアが所有していた広大な敷地と建物を利用し、同財団と鹿児島県、県医師会、指宿市、鹿児島大学などが協同して行うプロジェクトだ。
 その中心は鹿児島市に本店を置く「株式会社新日本科学」で、構想実現の原動力となったのは、同社の代表者である永田良一氏だった。

新日本科学 メディポリス医学研究財団を実質的に運営する新日本科学は、一部上場企業でありながら、鹿児島県以外の地域ではあまり知られていない。
 「前臨床試験受託事業」といっても何のことか分からない人の方が多いのだが、要は薬の開発段階における「動物実験」を主業務にしているということだ。
 メディポリス指宿構想は、平成16年7月、初期投資額230億円をかけて建設された旧グリーンピア指宿を、新日本科学が公募入札において年金資金運用基金からわずか6億円で落札したところからスタートした事業である。

 約100億円をかける中核施設「がん粒子線治療研究センター」に関しては、平成18年度から計画が動き出した形となっており、同年度にはメディポリス医学研究財団に対し、調査目的での公的資金投入が始まっていた。

 同センターの建設が正式に決まったと見られるのは平成20年に入ってからのことだ。この年行われた鹿児島県知事選挙における永田氏の知事側への寄附100万円に疑惑が持たれているのだが、同社や永田氏が提供した他の政治資金と比べても、伊藤知事側に提供されたカネは、その額や性質が違う。

元法務大臣と市長への政治資金提供
 HUNTERが確認した、新日本科学および永田氏から地元選出(当時)の衆院議員と鹿児島市長に提供された政治資金は次の通りである。

【平成18年】
・保岡興治元法務大臣(自民党・鹿児島1区)の資金管理団体「保岡興治後援会連合会」主催の政治資金パーティに「新日本科学」が48万円

【平成19年】
・保岡興治元法務大臣(自民党・鹿児島1区)の資金管理団体「保岡興治後援会連合会」主催の政治資金パーティに「新日本科学」が100万円
・鹿児島市長の「森博幸関東後援会」に永田氏個人が10万円の寄附

【平成20年】
・鹿児島市長の「森博幸関東後援会」に永田氏個人が50万円の寄附

 地元唯一の一部上場企業でありながら、政治家への政治資金提供は意外なほど少なく、「お付き合い」程度のものだったようだ。

 これに対し、伊藤知事側に対しては、平成20年に知事選の選挙資金として永田氏個人が100万円。さらに平成22年には同じく永田氏個人が、知事の資金管理団体「いとう祐一郎後援会 祐祥会」に100万円を寄附していた。
 会社のカネを使ったパーティ券購入や、十万円単位の鹿児島市長サイドへの寄附とは額も性質も違っているのだ。

 選挙資金として提供された平成20年の100万円については、これまで報じてきたように「メディポリス医学研究財団」への公費投入に対する謝礼の意味があったのではないかという疑いが持たれている。


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