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前代未聞! 鹿児島県出水市チンピラ市会議員の行状

2019年1月 9日 08:45

出水市議.png 年の瀬の26日、鹿児島県出水市の椎木伸一市長が会見を開き、市議会議員の不当行為について審査していた出水市職員倫理委員会の審査結果を公表。当該議員に対し、今後不当行為を行わないよう25日付で警告したことを明らかにした。
 審査対象となっていたのは、市議会総務病院委員会の委員長を務める宮田幸一市議会議員。弁護士や大学教授などで構成される職員倫理委員会の「不当行為審査通知書」によれば、市職員に対し、業務を巡って暴言や恫喝を繰り返し、2015年以降だけでも5件の不当行為が認められたという。
 市長自ら議員の不当行為を公表するのは異例。宮田幸一とは一体どのような議員なのか、調べてみた。(写真が宮田市議。市議会HPより)

■異例の不当行為認定
 職員倫理委員会が認定した不当行為は5件。下に、通知書に記載された内容を短くまとめた。

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 何様か知らないが、職員相手に言いたい放題。相手を卑下する言動の数々には呆れるしかない。市関係者に話を聞いたところ、宮田議員の暴力的な行為はかなり以前からのことで、職員倫理委員会が認定した事案の何十倍もの被害があるのだという。問題の市議は、まさにバッジを付けたチンピラといったところだ。別の市関係者は、「強面の宮田議員を怖がってきたのは職員だけでない。次々に問題を起こす宮田に対し、市議会側も後難を恐れて沈黙を決め込んできた」と話す。

■公選法も無視
 非常識を絵にかいたような議員だけに、政治家としてのイロハも身についていない。昨年4月に行われた出水市議会議員選挙における宮田氏の選挙運動費用収支報告書は、デタラメとしか言いようのない内容のものだった。

 下は、出水市選挙管理委員会に情報公開請求して入手した宮田氏の「選挙運動費用収支報告書」。収入は、市内に住む男性4人からの計22万5,000円だけだ。しかも、現金の寄附は20万円のみで、残りの3件のうち2件は米の現物、1件は事務所の無償供与を収入として計上するため現金換算したものだった。同氏は、たった20万円の資金で市議選を勝ち抜いたということになる。

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 それでは、20万円の支出先はどうなっていたのか――。報告書の支出欄を見て驚いた(下、報告書の該当ページ参照)。

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 なんと、報告書記載上の支出総額は「989,047円」。選挙事務所の看板や拡声器の費用といった“立候補準備”の区分が446,432円で、“選挙運動”の区分では事務員と車上運動員(ウグイス嬢)に542,615円となっている。この中から。公費助成のポスター代180,432円と事務所の無償提供分10,000円を引くと、実際に現金で支払ったのは798,615円ということになる。収入20万円では、この支出額はまかなえない。この報告書の記述は、明らかに虚偽。選挙に関するすべての収入と支出を報告するよう求めた公職選挙法の規定に抵触するのも確かだ。

 収入がすっぽり抜け落ちている不適切な報告書を、なぜ選管が受理したのか分からない。都道府県レベルの選管なら、間違いなく訂正を求めるひどい内容なのだ。公選法の規定を理解していなかったとすれば職員失格だが、宮田氏を怖がるあまり、違法な報告内容に気付きながら、あえて放置したといったところだろう。

 選挙の収支報告や、政治団体の収支報告は、政治家にとっての「イロハのイ」。何期も議員をやってきて、「知らなかった」「間違えました」は通用しない。宮田氏本人に説明を聞こうと自宅に連絡したところ、電話に出た夫人が「主人は、取材は一切受けません」――。公人としての説明責任も放棄するということだ。

 選挙法規も理解せず、弱い立場の人間に暴力的な振る舞いを繰り返すような議員に、税金を原資とする給与をもらう資格などあるまい。



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