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指宿市長側への闇献金 地熱発電絡みの賄賂か?

2019年1月 7日 07:15

指宿市役所と市長.jpg 昨年2月に行われた指宿市長選挙の際、選挙事務所で現職・豊留悦男氏(67)=自民、公明推薦=の陣営が地熱発電を計画中の業者から2回にわたって現金20万円を受け取っていた問題を巡り、代表者が「寄附を受け取った」と明言していた政治団体「いぶすきを豊(ゆたか)にする会」(以下「豊かにする会」)の政治資金収支報告書に、該当する寄附が記載されていなかったことが分かった。(写真、円内が豊留市長)
 市長の選挙運動費用収支報告書にも業者からの寄附の記載はなく、20万円の行く先が消えた形。「豊かにする会として寄附を受けた」とする団体代表者の説明は虚偽だったことになり、賄賂性の高い闇献金が市長の懐に入った可能性が濃くなった。

■業者側からの寄附は未記載
 市内で地熱発電事業の計画を進めている業者側による問題の寄附は、市長選の期間中と投開票後に10万円ずつ2回。選挙事務所内で、市長を支援した「豊かにする会」の代表者に手渡されていたことが分かっている。

 代表者はHUNTERの取材に対し、「(業者は)2人で来た。事務所で10万円受け取ったのは事実」と業者から10万円を受けとったことを認めた上で、「10万円は『豊(ゆたか)にする会』としてもらった。市長と『豊(ゆたか)にする会』は関係ない。問題はないはず。2度目の10万円は覚えていない」と話していた。

 「いぶすきを豊(ゆたか)にする会」は、2017年の10月2日に設立され、昨年7月23日に解散したことが、県公報の告示で明らかになっている。政治団体が解散する際には、その時点での政治資金収支報告書を提出することになっていることから、昨年末に行われた県選管の報告書公表(解散団体分)を待って記載内容を確認した。

 同団体が昨年1月1日から解散した7月23日までに集めた政治資金は39万円。このうち10万円が、市長候補である豊留悦男氏に選挙事務所を貸した賃料で、残りの29万円は寄附者の氏名や住所の記載が求められない「5万円以下」の寄附の総額となっていた。業者側が代表者に渡した選挙期間中の10万円と選挙後に追加された10万円は記載されておらず、同会の報告書自体が虚偽だった疑いがある。
(下が、寄附の記載がある報告書のページ)

豊にする会1.png
豊かにする会2.png

 念のため、豊かにする会の会計責任者が代表となり選挙期間中に“確認団体”の届出をしていた「指宿の未来を考える会」(昨年1月25日設立、2月28日解散)の政治資金収支報告書も確認したが、該当する寄附の記載はない。

 豊かにする会の会計責任者は、収支報告書の記載内容について「知らない」とした上で、「自分は体調を壊していたため、選挙事務所に行っていなかった。誰が収支報告書を作成したのか知らない。(自分は)作っていない。頼まれて(宣誓書に)名前を書いて、ハンコを捺しただけ」と話しており、業者側からの20万円は行方が分からなくなった格好だ。

 選挙期間中に選挙事務所内で行われた寄附は、本来「選挙」に関する寄附として計上すべきもの。賄賂性の高い現金だったことから、政治団体経由という形をとって市長の懐に入れたという見立ても成り立つ。実際、市長側に寄附した業者は、「地熱発電事業がうまく進んだ場合」の追加献金を関係者にほのめかしていたとされ、2度の寄附は便宜供与への期待料だった疑いが濃い。



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