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「知る権利」阻む指宿市の情報公開手数料

2018年12月26日 07:55

指宿市役所.JPG 「市の保有する公文書の開示を求める権利について必要な事項を定めること等により、市民の知る権利を尊重し、市政運営の公開性の向上を図るとともに、市の諸活動を市民に説明する責務を全うし、もって市民参加による公正で開かれた市政を一層推進することを目的とする」――。もっともらしい文言だが、鹿児島県指宿市(豊留悦男市長)の情報公開条例に規定されたこの条文の記述は、真っ赤なウソ。情報公開にあたっては、1枚20円という他の自治体より2倍高い料金を設定、さらに自己都合で文書を管理する簿冊(ファイル)の数を増やし、1件あたり300円×ファイル数という高額な手数料を請求している。

■手数料「ファイル1冊300円」のぼったくり
 市民の知る権利を尊重する自治体は、どこも情報公開に積極的な取り組みをするものだ。一般的には、開示請求があってから15日以内に、開示・不開示の決定をし、所定の費用を徴収して閲覧もしくは写しの交付を行う。

 開示費用は、A4サイズで白黒の文書だと、ほとんどの自治体が「白黒1枚10円」。開示された文書の枚数×10円が、実施費用となる。100枚なら1,000円。1,000枚なら1万円だ。

 自治体で執行された事業について行政文書からの検証を試みようとすれば、事業によっては大量の枚数を見るしかなくなる場合が多い。公共工事関連文書なら、参考見積、積算書、入札公告、入札結果、契約書、仕様書などが必要で、それぞれに決裁した折の文書も付く。例えば、福岡市における一定額を超える土木工事の執行状況を確認しよとすれば、契約金額によっては1年間分だけで数百枚、数年度分だと数千枚に上ることもある。1枚10円でも市民負担は重く、それが役所の都合で何倍もの費用を支払わせられるとなれば、なおさらだ。

 さて、下は鹿児島県指宿市に対して行った情報公開請求に対して、同市が開示決定した際に添付されてきた文書である。金額を見て呆れた。

公文書開示決定に伴う手数料送付の取扱いについて.jpg

 開示される文書は「185枚」。一般的な自治体の開示費用なら「1,850円」が相場である。しかし、指宿市が請求してきたのは「7,850円」。他の自治体の、なんと4倍以上の金額となっていた。

 まず、ファイル件数という訳の分からないものに300円×11件で3,300円。この段階で他都市の開示費用の約2倍だ。それに加えて、文書1枚につき20円の計算で185枚×20円=3,700円。合わせて7,850円なのだという。何故このようなことになるのか――?同市の情報公開条例を確認したところ、手数料を定めた「別表」は、次のようになっている(*クリックして拡大)。

別表.png

 閲覧も写しの交付も、「1件(簿冊にあっては1冊)につき 300円」とあり、これがくせ者だ。下の備考欄に、「1件とは、能率的な事務又は事業の処理及び公文書の適切な保存の目的を達するためにまとめられた公文書ファイルをいう」と記されているが、役所が公文書を細かくファイル化すれば、1件300円の手数料は際限なく増えていくことになる。そもそも、この時の開示請求に関する「11件」というファイル数にしても、本当なのかどうか怪しいもの。勝手にファイルを増やした疑いさえある。

■開示手数料「52,180円」に目が点
 開示する文書が大量で、開示費用が高額になる場合、多くの自治体は「文書量が多く、高額になる可能性がある」ということを通知してくる。情報公開に慣れた職員がいれば、文書量を絞り込むよう提案してくることもある。その点、非常識な手数料を請求するだけあって指宿市は開示請求者に対して不親切だ。下は、別件の情報公開に対する指宿市の請求額。2,250枚の文書開示に「52,180円」を払えという。一般的な自治体では22,850円で済むものが、18件に及ぶファイル件数と1枚20円というコピー代で、こうした金額になる。積極的に行政の情報を開示するつもりなど、はなからないということだ。

指宿市 001.jpg

 指宿市に住むある男性は、同市の高額な開示手数料を知って請求そのものをあきらめたことがあると話す。たしかに、指宿市の現行制度では、情報公開請求を断念するケースは少なくないだろう。首長にその気がなければ、自治体の情報公開制度は形骸化し、条例自体が有名無実化することを示している。

 指宿市には、「市民の知る権利を尊重し、市政運営の公開性の向上を図るとともに、市の諸活動を市民に説明する責務を全う」する意志など微塵もない。当然、「市民参加による公正で開かれた市政」の実現など夢のまた夢だ。



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