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疑惑の福岡市PFI事業に「麻生」と建設業者の影

2019年4月 2日 09:10

91b05f379e30189855b71448b89462db0ff1adea-thumb-245xauto-21547 (1).jpg 福岡市が約40億円をかけて市内早良区に整備を予定している「早良地域交流センター(仮称)」のPFI事業者選定を巡り、不正な得点操作が行われた疑いが浮上した。
(参照記事⇒「福岡・高島市政に重大疑惑 業者選定で評価点水増し」・「福岡市PFI事業 業者選定に入札妨害の疑い」) 市側は「不正はなかった」と主張するが、HUNTERが情報公開請求で入手した事業者検討委員会委員の採点表=「評価個票」(以下、個票)は、明らかに一方の事業者グループを落札させるために評価点数を変えた“動かぬ証拠”だった。
 市は、なぜこうした愚行に手を染めたのか――?
(写真は福岡市役所)

■「博栄建設」と市長の関係
 不正な点数操作の結果、PFI事業者に決定したのは、ビル管理大手「日本管財株式会社」の九州本部を代表とするグループだった(下、参照)。

構成企業.png

 もちろん、同グループが不正な点数操作を行ったわけではない。しかし、事業者選定の結果が公表されてからは、議会でも市内部でも疑惑が取りざたされる状況となっていた。

 疑いが持たれた第一の原因は、これまで報じてきたとおり提案内容への評価が同点で、約970万円という入札価格のわずかな差で事業者が決まったこと。あり得ない事態に、与党会派の中からも「契約を承認すべきではない。業者選定をやり直すべきだ」という声が上がっていたという。

 市や建設業界の関係者が不正の臭いを感じとった決定的な理由は、選定されたグループの構成員となっていた建設会社の顔触れにあった。特に注目されたのが「博栄建設」である。

 「博栄建設」の所在地は、市内博多区にあるオフィスビルの2階。同ビルは、有力地場ゼネコンX社の関連会社が保有しており、1階には高島宗一郎福岡市長と親しい井上貴博自民党衆議院議員の事務所がある。

 昨年夏の時点における「博栄建設」の株主構成をみると、筆頭株主はX社の現代表。次に多くを保有するのが現代表の妻となっていた。博栄建設の代表者はX社の役員。ほとんどの業界関係者が、両社を一体と見ている。

 本来、「早良地域交流センター(仮称)」のPFIで、日本管財とグループを構成すると見られていたのはX社だったという。同社は、昨年12月に開館した福岡市総合体育館(「照葉積水ハウスアリーナ」)整備事業で、大手ゼネコン清水建設を代表とするグループに参加してPFI事業者に選定されていたが、この時の組み合わせが「X社、宮川建設、旭工務店」だったからだ。

 ところが昨年5月、X社の当時の代表者が起こした暴行事件が原因で、同社は建設業をいったん廃業。約2か月後に再度建設業許可を取得したが、「早良地域交流センター(仮称)」のPFI事業者選定が行われていた頃は、福岡市の指名業者を外されていた。X社は、規定により今年7月まで福岡市の指名業者として登録されない。不祥事を起こしたX社に代わって、「博栄建設」が交流センターの仕事を受注したということだ。

 X社は、多くの関係企業に高島市長の資金管理団体が開く政治資金パーティーのパーティー券を買うよう指示し、事実上の“あっせん”を行っていたとされ、高島氏側の窓口が市長の政務秘書(当時)だったことも明らかとなっている。元政務秘書については、頻繁にX社の会長室に出入りする姿が確認されていたほか、大型公共工事の入札に関与していたとの証言もある。

■協力企業に「麻生」
 「早良地域交流センター(仮称)」のPFIで協力企業に名を連ねた「麻生介護サービス」は、高島市長の後見役である麻生太郎副総理兼財務相の出身母体“麻生グループ”の中の1社。X社(=博栄)、麻生とそろえば、市の関係者なら誰もが高島市長との深い関係を想起すること請け合いだ。

 「早良地域交流センター(仮称)」のPFI事業者選定を巡って、不正が疑われる状況となったのは事実。忖度なのか指示なのか、厳しく問われるべき事態である。
 




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