「人でなし」という言葉は、安倍晋三という政治家とその妻にピッタリだ。
学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題に絡んで自殺した財務省近畿財務局職員の手記や手書きメモが公表され疑惑が再燃する中、“事件”への関与が疑われてきた安倍昭恵首相夫人が、都内で若手タレントらと飲食し、咲き誇る桜をバックに記念撮影まで行っていたことが週刊誌の報道で分かった。
自身の行動が招いた人の死に無頓着であるだけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大で、国民が自粛を求められる状況下での愚行――。国会で夫人の姿勢を批判された首相は、謝るどころか「レストランに行ってはいけないのか」と開き直った。我が国の首相夫妻には、人としての常識というものが身に付いていない。(写真は昭恵夫人のフェイスブックより)
■明白だった昭恵夫人の森友関与
財務省幹部が隠そうとしたのは、森友学園の籠池泰典元理事長夫妻と親しかった安倍昭恵首相夫人が、国有地払い下げに関与していた証拠だ。そのため、組織的に公文書の改ざんや偽証を行い、職務に忠実で誠実な職員を死に追いやった。だが、昭恵夫人と森友側との関係は、これまでに様々な形で表面化している。
籠池被告が近畿財務局を訪れ、土地取得の意向を表明したのが2013年(平成25年)6月。それから異例の売買契約が成立した2016年7月までの約3年間の節目ごとに、昭恵夫人の関与を裏付ける証拠が残されていた。下の写真は、2014年3月に昭恵夫人本人がフェイスブックに投稿したもの。夫人と一緒に写っているのは、籠池氏とその妻・諄子氏だ。
この写真がフェイスブックに投稿された約1年後には、森友学園と近畿財務局が定期借地契約を締結。さらに、昭恵夫人付だった政府職員・谷査恵子氏が森友との交渉経過を財務省に問い合わせた5か月後には、8億円以上値引した1億3,400万円という非常識な金額で国有地が売却されることになる(*下の経過参照)。
■国民の不幸
森友学園問題で問われているのは、昭恵夫人もしくは首相自身の関与の有無。これに関して首相は、国有地払い下げ問題が審議された2017年2月17日の衆議院予算員会で「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」と明言し、夫妻の関与を否定していた。財務省内で行われた一連の隠蔽行為は、この首相発言が発端になった可能性が高い。
官邸の指示があったのか、財務省側の忖度だったのかは別にして、首相の政治生命を守るため、財務省は昭恵夫人の関与を示す全ての証拠を隠滅する道を選択。結果、実務を担当した近畿財務局の職員が自殺にまで追い込まれる。昭恵夫人の行動が、誠実な一人の役人を殺した原因だったと言っても過言ではあるまい。
その昭恵夫人が、近財職員の遺書ともいうべき手記やメモが公表されたタイミングでタレントやモデルと飲食して騒ぎ、桜を背景に記念写真に納まっていたというのだから、呆れてものも言えない。しかも、新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの国民が自粛を強いられている中での愚行――。安倍昭恵という人物には、死者を出した“事件”の関係者だという自覚も、遺族へのいたわりも、自戒も、首相夫人としての慎みさえも“無い”ということだ。
そんな愚かな妻をたしなめなければならない旦那が、夫人に輪をかけた“人でなし”なのだから国民は不幸だ。国会で昭恵夫人の愚行について追及された首相は、謝るどころか「レストランに行ったらいけないのか」と開き直った。
いけないに決まっている。新型コロナウイルスの感染拡大で、国や自治体が「自粛」を呼びかける中での話。何より、昭恵夫人が関わった森友学園事件で自殺に追い込まれた近畿財務局職員の、遺書とも言うべき手記やメモが公表されたばかりなのだ。芸能人とチャラチャラ遊んでいて、いいわけがない。この国で、もっとも「自粛」をしなければならない立場の人間が安倍昭恵なのである。
そんなことも理解できない“人でなし”夫婦が、この国の総理でありファーストレディであるということは、ただただ国民の不幸というしかない。安倍晋三とその妻が、一日でも早く表舞台から消えることを願わずにはいられない。