政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

福岡市PFI事業 業者選定に入札妨害の疑い

2019年4月 1日 08:50

個票2-1.jpg 市政トップ周辺に対する役人の忖度か、あるいは明確な指示によるものか――。福岡市が約40億円をかけて市内早良区に整備を予定している「早良地域交流センター(仮称)」のPFI事業者選定で、選考委員の採点表=「評価個票」(以下、個票)が書き変えられ、結果が捻じ曲げられていた。(参照記事⇒「福岡・高島市政に重大疑惑 業者選定で評価点水増し」)
 選考過程は明らかに不自然。市が組織ぐるみで「入札妨害」を行った可能性を疑わざるを得ない。
(写真は、書き変えられた個票の一部)

■【疑問その1】 事前にデータ入力された個票
 問題のPFI事業者選定を行ったのは、九州大学教授や公認会計士、市職員など5名の委員で構成された「事業者検討委員会」。2017年12月から計4回会議を開き、昨年11月20日のプレゼンテーション審査で事業者を決定していた。

 不可解なのは、採点結果が大きく書き変えられた問題の個票だけ評価の記入方法が違っていることだ。一人の委員が記入する個票は、1グループ2ページで計4ページ。公募に応じたAグループとBグループの提案内容について、それぞれ22項目を評価していた。下は、不正に修正されたBグループの個票の1ページ目である。

003.jpg

 3カ所の評価に修正が加えられているが、修正前のアルファベットは、すべてパソコンでデータ入力されたものだった。修正だけが手書きだったことが分かる。

 一方、他の4人の委員の個票は、下のようにすべて“手書き”。書き損じを直した程度の修正はあるものの、大きく評価を変えたりはしていない。

個票手書き.JPG

 つまり、問題の個票を作成した委員だけが最終プレゼンの前にデータを打ち込んでいたということ。事業者検討委員会の会場にパソコンを持ち込むことはできないはずなのに、なぜこのようなことが可能だったのか――?事業を所管する市民局コミュニティ施設整備課に確認を求めた。

■個票の修正は別人?
 同課の説明によれば、入札及び提案書類の受付締め切りは昨年の9月25日。11月20日のプレゼンを前に、提案書類と評価個票のひな型が各委員に届けられていたため、事前のデータ打ち込みが可能だったのだという。しかし、様々な事業の開示請求を通じて「個票」を見てきたHUNTERの記者も、手書きではなくパソコンでデータを打ち込んだ個票を確認したのは初めて。市の幹部OBに聞いて回ったが、プレゼンの前に個票を作成したケースなど聞いたことがないと口をそろえる。個票の事前記入を容認すれば、最終プレゼンの意義が失われるのだから当然だろう。

 もう一点、個票の事前記入を許してはならない理由がある。まともな業者選定なら、個票の記入は最後の最後。その原則が破られて事前記入がまかり通れば、市の職員による結果操作が容易になるからだ。今回の「早良地域交流センター(仮称)」の業者選定に疑念が持たれるのは、事前記入された個票の数字を変えることで、選定結果を180度違うものにしてしまったからである。

 問題の個票を記入した委員はプレゼンの後でAグループの評価を1カ所下げ、Bグループの評価を4カ所も上げてトータル65点もの点数差を縮めていた。800点満点の評価で、8%分もの数字が書き変えられたら、結果に多大の影響を及ぼすことは容易に想像がつく。実際は、出てきた全体の数字を見て、いじっても文句の出ない委員(例えば市職員)の個票を書き変えたのではないか?入札価格に若干の差(972万5,914円)があることが分かっいていたため、Aグループの評価点と並ばせるだけで良かったということだろう。ただ、当初の得点差が大きかったため焦りがあったのか、修正が雑になった部分がある。

 修正されたのは、Aグループ分1カ所、Bグループ分4カ所だ。ほとんどの修正箇所は、下の写真で明らかなように、定規でもあてたかのような平行な線で元稿を“抹消”している。

個票1-2.jpg 個票2--2.jpg

 しかし、最後の1カ所だけは下の写真のような雑な二本線で抹消しており、別人による修正と見えないこともない。不自然さは、無理な修正が招いたものだろう。

004.jpg

 ある市幹部OBは、開示された一連の書類を見ながらこう話す。

「やっちゃったな、というのが正直な感想。驚いたというより、呆れた。このケースだと、どれだけ市側が“不正はなかった”と主張しても、証明ができない。個票の書き換えを検討委員本人がやったとすれば、その人物が疑われるだろうし、事務方の職員が、いわゆる後出しジャンケンをやった可能性も否定できない。
 HUNTERが請求するまで個票を隠していたことも、疑念を強める一因になるだろう。この案件が、入札直後から問題視されていたのは確か。個票の存在が明らかになっていたら、この契約が議会で承認されることはなかっただろう。入札妨害が疑われる事態なのは確かだが、問題は、なぜこんなことをやったのかということ。まぁ、PFI事業者のグループ企業を見れば、市の関係者なら見当がつく話だけどね」
 市の幹部OBが話すように、「動機」については推測が可能だ。次稿で、背景についての検証を進める。



【関連記事】
ワンショット
 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲