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鹿児島・南大隅町 町政私物化で「映画制作」
デリヘル町長の妹も出演予定

2018年5月11日 08:58

20130301_h01-01t-thumb-280x240-6539.jpg 鹿児島県南大隅町が地域再生事業の一環として進める“映画制作”を巡り、杜撰な町政運営の実態が明らかとなった。
 約1億円の公費が投入される映画制作の経緯について同町に情報公開請求したところ、説明のつく公文書は残っておらず、いきなり事業化を決定した形。映画制作会社の提案に飛びつき、予算の見積り内容も吟味せぬまま契約を結んでいた。
 町側の説明によれば、映画制作の事業化を決めたのは森田俊彦町長。映画には、森田町長の妹にあたる女優の出演が決まっており、町政の私物化に厳しい批判の声が上がりそうだ。

◆町おこしで「映画制作」
 問題の映画は、来年2月の劇場公開を見込んで東京の映画制作会社が撮影などを手掛ける「きばいやんせ!私」。映画制作の目的は、《映画制作により、対外的な町の認知度やイメージの向上を図り、作品への町民参画により地域への愛情と誇りを醸成し、移住者・観光入込客を増加させ、本町の人口減少に歯止めをかけること》(南大隅町公表資料より)。《東京という大都会で、仕事、恋愛と苦しむTVアナウンサーのひとりの女性が、幼少期を過ごした本土最南端の町、南大隅町の御崎祭りの取材を命じられる。取材に入り、田舎者の図々しい対応に嫌気がさしていたはずが、その生き方や仕事への向き合い方を目の当たりにし、少しずつ思いに変化が。生きること、働くこと、世間という人と人とのつながりが現代の若者の心に響く。感動のヒューマンストーリー》(同)なのだという。

 地域再生=町おこしの道具としての映画なのだが、総制作費は1億2,420万円(制作費8,640万円、宣伝費3,780万円)。南大隅町が9,936万円を、残りは映画制作会社が負担する計画となっている。

 同町の映画制作は、地域再生法に従って昨年9月に国が認定した地域再生計画の中核事業。2000年(平成12年)頃まで1万人を超えていた人口が減少の一途をたどり、7,600人程度にまで落ち込んだことが背景にある。国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の地域別将来推計人口」によれば、南大隅町の人口は2045年までに半分に減るという推計結果が出ており、本土最南端の町の過疎化は深刻な状況だ。

 当然ながら、財政事情は厳しい。その南大隅町が、なぜ億単位のカネをかけて“映画制作”なのか――。確認のため今年3月、同町に映画制作を決めた経緯などについて情報公開請求を行っていた。

◆経緯を示す公文書は不存在
 年度が変わった4月に同町が開示した公文書は、わずかに59枚。過疎化に歯止めをかけるために、どのような施策を打ち出すべきかと言う議論は一切なく、公文書上は、いきなり“映画制作”が動き出した形となっていた。

 開示された文書を時系列でみれば、最初のものは、下に示した平成29年6月に作成された議会向けの説明資料。映画の仮題は「ウツボ食堂」となっており、関係者として今回の映画制作を請け負った東京の映画制作会社の代表者の氏名が記されていた。国に「地域再生計画認定申請書」が提出されたのは同年9月。早い時期から映画制作会社と同町が共同歩調をとっていたことが分かる。

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 開示された一連の文書の中には、役場内の議論の記録は一切なく、“いつ”、“誰が”、“どのような理由”で映画制作を決めたのか、まったく分からない。精査したが、映画制作会社との協議記録も残されていなかった。施策の決定過程を示す公文書は皆無に等しく、町側は説明責任を果たせない状況だ。

 同町企画課に聞いたところ、開示された文書以外に「残された記録はない」と明言。その上で、「町長が、(映画制作会社から)いろいろとお話を聞かれていたということです」として、事実上森田町長が映画制作の事業化を決めたことを認めている。

 「きばいやんせ!私」には、町長の妹で元宝塚の女優が出演する予定となっており、町政の私物化が強く疑われてもおかしくない事態だ。しかし、議会は森田派で占められており、町おこしにどれほどの効果があるか議論も尽くさず、そろって映画の事業化を承認していた。暴走する町長とチエック機能が働かない議会が、南大隅町を歪めている。

 ところで、どうしても引っかかっていたのが“映画制作決定までの過程を示す文書は本当に開示されたものだけなのか――”という疑問。町側に何度も確認を求めたが、返答は決まって「ありません」だった。

 しかし、これまで同町に開示請求して入手した別件の資料から、映画制作に関する公文書が他にも存在することが判明。町側には、改めて開示請求を行っている。「ない」はずのものが、出てるのが日本のお役所。詳細については、来週の配信記事で報じる予定だ。

 森田町長を巡っては、放射性廃棄物(核ゴミ)の処分場誘致に絡んで業者から数十回に及ぶ接待を受けていたことや、東京出張での宿泊先ホテルの自室に、業界側提供のデリヘル嬢を招き入れていたことが分かっている。

参照記事⇒「森田南大隅町長にデリヘル接待 核関連施設誘致絡みで
       「核ゴミ町長 デリヘル接待の全貌 -歪む鹿児島・南大隅町-



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