福岡市がホームページ上で公表している「入札結果」で検索しても見つけることができない「原課発注」の入札案件。市民の目が届かないところで、役所と業者だけのやり取りによって1年間に500件以上、金額にして約40億円あまりが費用されていた(参照記事⇒「不正の温床 福岡市「原課発注」の実態(1)」。
「不正の温床」が存在するのは確か。市への情報公開請求で入手した資料からは、官製談合を疑わざるを得ないケースがいくつも見つかっている。前稿で紹介した市港湾空港局発注の業務委託(参照記事⇒「人工島・マリコン業務に官製談合の指摘」の他にも、疑わしい入札が数多く存在する。
(写真は福岡市役所)
■どう見ても「談合」
下は、福岡市西区総務課が発注した「西区役所庁舎管理等業務」(26年度分)の入札結果表だ。
入札結果では、予定価格「21,389,400円」に対して、契約価格が「21,276,000円」。落札率は、一般的に談合が疑われる95%をはるかに超える99.4%という数字だ。これだけでもイエローカードだが、入札参加業者の応札額を見ると、さらに怪しさが増す。
1位の応札額は「19,700,000円」。2位は2万円だけ高い「19,720,000円」。3位がそこに1万円プラスしただけの「19,730,000円」。入札に参加した11社すべてが、1~2万円の差で並んでいた。各社が適当な金額の札を入れ、入札の格好だけつけた形だ。
同様のケースがもう1件。同じく西区総務課発注の「西区役所庁舎管理等業務」(27年度分)の入札結果。落札率99.4%で、下のように1~2万円の刻みとなっていた。
5,000円刻みで成立した入札のケースもある。西区にある公園の便所の清掃業務では6社が応札し、1位の5,000,000円から6位の業者までが29,000円以内の幅に並ぶ形。2位5,015,000円、3・4位が同額の5,020,000円、5位が5,025,000円、6位5,029,000円となっており、応札額の意図的な操作が疑われてもおかしくない結果だった。
■識者から厳しい批判
本稿で示した3件は、庁舎管理と清掃。つまり「人件費」が契約金額の大半を占める業務だ。2千万円近い金額の仕事なら、会社ごとの給与も違うはずで、ここまで応札金額が近いというのは不自然だろう。同様のケースは、西区発注分だけではなく、他の部署の入札でも多数。福岡市全体が不正の温床になっている可能性がある。
行政絡みの不正に詳しい市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は、次のように話している。
「5,000円、1万円刻みで落札金額が並ぶのは、どう見ても不自然。2千万円を超える金額の仕事ならなおさらで、もっと金額の差が出るのが普通だ。民間の業務委託ではあり得ない。これは、談合をやってますと言っているようなもの。原課発注で市民の目が届かないのをいいことに、役所と業者が好き放題やっているとしか思えない。入札結果をすべてオープンにし、各課の事業を見直す必要がある」