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地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

2018年12月18日 08:25

麻生太郎.png 往生際の悪い政治家が増えた昨今、代表格が麻生太郎副総理兼財務相であることは衆目の一致するところ。財務省内の文書改竄や国会における虚偽答弁問題では責任をとらず、事務次官のセクハラ騒ぎでは「セクハラ罪という罪はない」などと開き直って世の批判を浴びた。かつての自民党内閣なら間違いなく更迭されていたケースばかりだが、暴言、毒舌を反省する気配さえない。
 “安倍晋三首相を支える盟友”という立場が老いた権力者の傲慢を助長しているのであるが、地元福岡県ではただの迷惑老人。その求心力は、急速に低下している。

■県知事選巡るドタバタ劇
 今年3月、麻生氏の地盤である嘉麻市の県会議員補欠選挙で、麻生氏が推した候補が惨敗した。敗れた候補者は麻生氏の元秘書で、麻生氏の不人気ぶりが際立つ結果だった。2016年10月に行われた衆院福岡6区の補欠選挙でも、麻生氏が選対本部長を務めた候補が敗れており、元総理の威光に翳りがみえる状況となっていた。

 候補者調整の場面でも、力の低下が顕著である。来年1月の北九州市長選を巡っては、4選を目指す北橋健治市長の対抗馬擁立を模索したものの、結局失敗。地元福岡県内での選挙であるにもかかわらず、麻生財務相の思惑は次々と外れている。求心力低下に拍車をかけそうなのが、来年4月に予定される福岡県知事選を巡る動きだ。

 知事選に向けて、候補者調整が続く福岡県。注目されているのは、自民党が3選を目指す現職・小川洋氏を推薦するかどうかだ。小川知事の生みの親は、麻生財務相と麻生渡前知事で、2011年の知事選では両氏の強力な後押しで小川県政が誕生した。

 小川氏とダブル麻生の関係が崩れたのは、2016年に行われた衆院福岡6区の補欠選挙からだとされる。小川知事が、県連推薦候補への応援要請を断ったことで、同陣営の選対本部長を務めていた麻生氏の逆鱗に触れたのが発端だったという。何があったのか判然としないが、その頃から小川氏と麻生前知事との関係も悪化。今回の知事選にあたり、ダブル麻生は「反小川」の急先鋒となっている。

 “小川つぶし”にこだわる麻生財務相に引きずられる形で、自民党県議団も連動する。6区の補選時に知事が腰痛のため検査入院したことを巡って、自民党県議がその状況を公表するよう迫ったのにはじまり、事あるごとに知事を揺さぶり続けてきた。今年10月には、自民党が多数を占める県議会で、県が提出した2017年度一般会計決算を例のない「不認定」としている。

 県連は今月に入って小川県政の検証作業をスタートさせ、16日には知事候補を公募することを正式決定。二度の知事選で支えてきた現職を差し置き、他の候補者と並べて検討対象にするという極めて異例の展開だ。

 現職参院議員やテレビコメンテーターなど複数の候補者名が囁かれていたが、12日にそのうちの一人である谷口博文九大教授が県連に推薦願を提出しており、公募に応じるものとみられている。

 一方、県連幹部に口頭で推薦を要請していた小川知事は、菅義偉官房長官の福岡入りに合わせて事実上の立候補表明。今後、知事が県連の公募に応じるかどうかが注目だ。

 県連内部は“麻生シンパ”の数が圧倒的で「谷口推薦」が現実味を帯びるが、ある県政界関係者は「谷口ではまとまらない」とした上で、こう解説する。
「谷口さんを後押ししているのは麻生財務相と麻生前知事。県連は、谷口氏を推薦候補にするかもしれない。しかし、党本部の考えは違う。谷口さんはピエロになる」

■党本部は小川氏推薦で固まる
 国会議員の公認権が党本部にあるのは言うまでもないが、県知事・政令市長の選挙も党本部マターだ。県連が小川氏以外の人間を選んだとしても、党本部の決定が優先される。いかに麻生氏が「反小川」を訴えようと、党の執行部が小川氏を選べばそれまでとなるのだ。

 福岡6区の補選では、党本部が麻生の推した県連推薦の候補者を公認せず、勝った候補者を追加公認する形で県連の決定を覆した。今回の知事選も同じ流れ。二階俊博幹事長も菅官房長官も「小川支持」で、「麻生派以外の派閥は、小川推薦で固まりつつある」という実情になっているという。16日のに福岡入りした菅官房長官の動きは、小川推薦に向けた地ならしだという見方が広がっている。

 背景にあるのは、麻生財務相と菅官房長官の確執だ。両者の不仲は公然の事実となっており、もはや修復不可能な状態だという。加えて、麻生氏と犬猿の仲である県連所属の武田良太衆院議員は、二階幹事長の側近。政権の要であるはずの麻生財務相といえども、実力者二人にはかなわないということだ。

 地元の選挙で連戦連敗の麻生氏。県連内からは、次のような声さえ上がっている。
「衆院6区の公認争いで敗れ、県議補選では自分の秘書を落選させた。北九州市長選に続き、知事選でも候補者擁立に失敗となれば、麻生さんの威光は地に堕ちる。そもそも、北九州市長や知事が誰になろうと、総理大臣まで務めた人にとってはどうでもいいことではないのか。黙っていれば、相手から挨拶に来る立場なんだから、無理を通す必要などない。これでは、太郎さんの求心力は落ちる一方。そのうち、誰も相手にしなくなる。権力の頂点を極めた人とは思えないわがままぶりに、多くの党員が呆れているんじゃないか」



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