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陥没事故・福岡市営地下鉄の闇

2016年11月11日 10:45

1-現場.jpg 福岡市営地下鉄七隈線の開業から11年。現在の終点「天神南駅」からJR博多駅への延伸工事で、陥没事故は起きた。駅前の市道、30メートル四方にわたってできた穴は深さ15メートル。巨大な穴が、地下鉄事業の闇を象徴しているかのようだった。
 赤字体質の地下鉄で、あってはならない重大事故。疑問だらけの延伸工事もさることながら、福岡市の地下鉄事業には疑惑がつきまとう。
(写真は8日夜の事故現場)

七隈線乗客予測、計画では15万人のはずが……
 市営地下鉄の路線は、空港線、箱崎線、七隈線の3路線。市南西部に住む住民の足として期待された七隈線だったが、営業開始から赤字続き。1日平均の乗車人員は、計画段階の15万人を大幅に下回る7万人台に止まっている。赤字は膨らむ一方で、平成27年度までに累積575億円。計画倒れの七隈線が、地下鉄事業全体の足を引っ張っているのが現状だ。七隈線の経営改善は急務。市が乗客増の切り札として期待したのが、今回事故を起こした博多駅への延伸だった。ただし、これだけの大事業。計画決定までには、かなりの曲折があった。

杜撰な試算でルート選定
 七隈線の延伸を巡っては、空港線と箱崎線が交わる中洲川端駅につなげ、ウォーターフロント側に延ばす案と、現在工事中のキャナルシティ経由で博多駅に延ばす案の2案があった。議論の末、天神南駅からキャナルシティを経由し、博多駅まで延伸する案に決定したのは平成22年。開業後の事業収支を試算した結果だったとされるが、前述したように、1日平均の乗車人員を「15万人」などという途方もない数字にした杜撰な計画。七隈線は、計画段階から疑惑に包まれていたということだ。

利便性への不満
 期待が集まる博多駅への延伸だが、利用客からは不満も多い。空港線と箱崎線の利用者が九州一の繁華街・天神で降りるのは地下鉄天神駅。七隈線の天神南駅は、天神駅から約700メートルも離れており、歩いて10~15分かかる。「天神南駅から天神駅まで延伸してほしい」――そう願う市民は少なくないはずだが、開業前から指摘されていた利便性の悪さが改善される可能性は皆無に近い。天神地区の下には長大な地下街があり、天神南駅から天神駅まで延伸するのは困難とされているからだ。従って、七隈線を利用するのは、同線沿線の住民が主。博多駅に直結しても、沿線人口が爆発的に増えない限り大幅な乗客数の伸びは保証できない。

入札疑惑
 計画段階からとなっていた七隈線ののうさん臭さが、工事の入札で“疑惑”となって顕在化したことは、これまで報じた通り。詳しくは、一昨日配信の『博多駅前陥没事故の背景 ― 疑惑の入札 人災の可能性―』、平成26年4月配信の『福岡市地下鉄工事「落札率100%・技術提案なし」の不可解 』をご覧いただきたい。

パーティー券事件
 地下鉄事業の闇は深い。福岡市では平成9年、自民党福岡市議団の創立40周年記念パーティーを開催予定だった市議らが市交通局幹部にパーティー券販売の斡旋を依頼。地下鉄工事を受注した建設会社にパー券を割り当てていたことが表面化し、交通事業管理者が自殺する事態を招いていた。今回陥没事故を起こした七隈線延伸工事に、談合や政治家、市長周辺の介入はなかったのか――厳しい検証が必要であることは言うまでもない。



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