福岡県内の選挙区を地盤とする二人の衆議院議員に、相次いで「政治とカネ」の問題が浮上した。藤丸敏防衛政務官(衆院福岡7区。当選2回)には、公職選挙法が禁じた選挙区内寄附の疑い。安倍晋三首相に近い自民党若手が開いた勉強会で報道を封殺する発言をしていた井上貴博衆議院議員(福岡1区。当選2回)は、小・中学校などの教育現場で支出したカネを、「政治活動費」として処理していた。
「自民党・藤丸防衛政務官に選挙区内寄附の疑い」
「学校行事で政治活動 自民党・井上貴博議員の非常識」
いずれのセンセイも、問題ばかり起こしている2012年当選組。政治家としての意識は相当に低いらしく、情報公開請求で入手した藤丸氏側の少額領収書をさらに調べてみると、政治活動とは思えない支出が含まれていた。
コンビニで中華丼、サラダ
下は、藤丸氏が代表を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」の平成26年分少額領収書の一部。衆議院議員会館の中にあるコンビニの領収書だ。380円の蒸し鶏のサラダ、430円の特製中華丼、濃厚ビーフカレーに野菜サラダ……。誰が食べたのか分からないが、購入時間からしてどう見ても昼食。個人の財布から出すのが筋というものだろう。
以下の2枚は、国会内や議員会館内の食堂の領収書。一人分の食事としか思えない金額だが、これも政治活動だと言うのだろうか?
頻繁に「運転代行」利用
選挙区内で、頻繁に運転代行を利用していたことも明らかだ。代行の領収書は21枚、計58,400円が支出されていた。
飲酒運転禁止は社会のルール。しかし、わざわざ車で出かけて飲酒し、毎度毎度運転代行を頼むことがまともな政治活動とは思えない。同支部には、この年1,900万円の政党交付金が支給されており、税金で飲酒の尻拭いをした格好となっている。
不適切支出を「経常経費」で処理
問題は、一連の領収書にある支出が、政治活動費ではなく「経常経費」として処理されていることだ。政治資金収支報告書の経常経費は、政党支部や政治団体が「団体として存続していくために恒常的に必要な経費」(総務省の説明資料より)。「人件費」「光熱水費」「備品消耗品費」「事務所費」に分けて経理処理されており、政治家の生活費を含めることはできない。対象は、あくまでも事務所の運営経費なのだが、上掲の領収書は、事務所費などの経常経費として処理されたもの。不適切であることは明らかだろう。運転代行やコンビニの弁当がなければ維持できない政党支部などあるはずがない。
不倫で辞職の宮崎謙介(京都3区)、報道を黙らせろと公言した井上貴博、大西英男(東京16区)、長尾敬(比例近畿)の暴言3人組、歪んだ思想で離党した武藤貴也(滋賀4区)、そして藤丸防衛政務官……。いずれも自民党が政権を奪回した年の総選挙で初当選した、いわゆる「2012年組」。もともと政治家としての資質が欠けているとしか思えぬこの連中に、国政を語る資格があるとは思えない。