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自民党・党員集めの実態

2018年6月 6日 09:40

e0374d10d7decdd98da30a68cd4e663fb7b2910e-thumb-160 xauto-20605.jpg モリ・カケ・日報で信頼を失った安倍政権だが、依然として支持率は3割台をキープ。多くの国民が「なぜだ?」と感じていることだろう。
 憲政史上最低の政権を支えているのは、自民党員の数とカネの力。党員の数は野党のそれを圧倒している上、豊富な政治資金が広範な活動を助けている。
 分裂と再結集を繰り返す野党は党員集めもままならず、選挙支援が労組頼みになっているのが実態。一方、100万人以上の党員を擁する自民党は、今年も党員増に力を入れている。同党の党員集めの現状について取材した。 

◆ワースト10に2人の福岡選出議員
 先月月28日、「党員1,000人確保」のノルマを現職国会議員に課している自民党が、昨年の党員獲得数が少なかった「ワースト10」の国会議員を公表した。下位10人は石井浩郎(参・秋田)、井上貴博(衆・福岡1区)、小田原潔(比例東京)、越智隆雄(比例東京)、津島淳(衆・青森1区)、中泉松司(参・秋田)、原田義昭(衆・福岡5区)、村井英樹(衆・埼玉1区)、山崎正昭(参・福井)、山田美樹(比例東京)の各議員。ワースト組の獲得党員数は未公表だが、100人程度しか集めていない議員がいるという。福岡選出の議員がワースト10に2人も入っているが、いずれも党勢拡大への努力を怠ったことで、役職への道を閉ざされる可能性があるという。

 同時に発表されたのが、党員獲得数の多かった「ベスト10」。最も多かったのは、1万1,244人の武田良太衆院議員(福岡11区)で、堀内詔子衆院議員(山梨2区)、二階幹事長(和歌山3区)と続いた。

党員.png 所属議員1人あたり党員1,000人の獲得をノルマとし、不足1人につき党費の半額となる2,000円を徴収している自民党だが、4年前に掲げた120万人の目標は達成されていない。それでも、100万人以上の党員がいるのは確かで、党勢維持の核になっている。

 自民党の有力議員に党員獲得数が多い理由は、企業や各種団体からまとめて名簿と党費を徴収する力があるからで、逆に都市部の新人が獲得できないのは個人的な支援者だけしか入党してくれないためだという。

◆党費立替えのケースも
 党員獲得にはどの政党もノルマを課しており、自民党のように1,000人とするところもあれば、日本維新の会のように200人と少ないところもある。実際に国会議員として活躍するためには1,000人を集めきれないような候補者では話にならないのだが、小選挙区制では落下傘候補でも風に乗って当選することが可能なため、選挙基盤がぜい弱な国会議員が生まれる。当然、党員は集まらない。

 地方選の候補者から提出されたある政党の公認申請書を見せてもらったが、「支援者2人」「選挙資金50万円」と呆れるような人物もいる。選挙をやってみれば分かるがこんな人数や金ではまともな選挙ができない。まず選挙区内にポスターを張る場合、一人が一日に貼れるポスターの数はせいぜい7~80枚。この人員ではポスターを貼って回るだけで選挙が終わってしまうだろう。さすがに自民党では地方の候補者にも党員100人のノルマを課しているという。

 各党の党費は2,000円から4,000円程度。だが、実際にお金を払ってまで党員になってくれる人は決して多くない。支援はしても、金まで出す人はほとんどいないのが現実で、議員や候補者が党費を立替え払いしている例は少なくない。4,000円の党費を1,000人分立替えたとすれば、400万円の出費。日常活動にかかる経費だけでも大変な議員にとっては、頭の痛い問題だ。

 党員数は、政党の力を端的に示す指標である。自民党が厳しいノルマを課してまで党員集めに力を入れるのは、コアな支持者を増やすことが、選挙の必勝につながることをよく知っているからに他ならない。安倍政権の支持率3割も、党員数の多さに助けられてのことだ。野党が本気で政権交代を望むのなら、離合集散の繰り返しを止め、腰を据えて党員集めに専念すべきだろう。



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