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消えゆく言論の自由 総裁選で暴走する安倍自民党

2018年9月 5日 08:30

e0374d10d7decdd98da30a68cd4e663fb7b2910e-thumb-160 xauto-20605.jpg 今月7日告示・20日投開票の総裁選を巡り、自民党と一部メディアの暴走が続いている。
 8月末には自民党が、新聞社と通信社に「公平・公正」な報道を求める文書を送付する形で露骨な圧力。前後して、産経新聞が安倍首相を際立たせる記事を連日のように掲載し、援護射撃を行うといった状況だ。
 軍部と新聞が組んだ戦前と同じ構図に、「自由」や「民主」は遠のくばかり。自民党に違和感を覚える国民を尻目に、独裁政治がこの国の民主主義を蝕んでいる。

■新聞、テレビへの圧力が常態化
 野田毅総裁選挙管理委員長名で出された自民党の「総裁選挙に関する取材・記事掲載について」(8月28日付)と題する文書は、「取材は規制しない」としながら、インタビュー、取材記事、写真の掲載にあたっては、内容、掲載面積などで各候補者を平等、公平に扱うことを要求。さらに、候補者によってインタビューなどの掲載日が異なる場合は、掲載記事ごとに全ての候補者の氏名を記すよう求めている。

 権力側が、記事についてあれこれ注文を付けた時点で、それは圧力。弱い立場の関係者が、報道内容に配慮を求めることとはわけが違う。ただ、報道の自由を奪いかねない政権政党の横暴は、今に始まったことではない。

 2014年の総選挙の際、TBSの報道番組 『NEWS23』に出演した安倍首相は、街頭インタビューでの有権者のコメントに反応し、「これおかしいじゃないですか」と激高。有権者のコメント自体は、景気の悪さやアベノミクスの効果を実感していないという、ごく当たり前のものばかりだったが、安倍は自説に迎合した意見が無かったことにキレた。

 その直後、自民党は「放送法」第4条を根拠に、安倍側近の総裁特別補佐・萩生田光一筆頭副幹事長(当時)と福井照報道局長(同)の連名で、NHKと民放キー局に選挙報道の公平中立などを求める要望書を送付。安倍政権を持ち上げるコメントがなかった『NEWS23』の内容が、政治的公平や多角的論点の提示を謳った放送法4条に抵触するという“言いがかり”だったが、自民党を批判したのはごく一部のメディアだけ。ほとんどのメディアがダンマリを決め込み、報道への政治介入を容認する形となった。

 この事件を機に、テレビも新聞も選挙報道に慎重となったが、今回の選挙は公選法とは無縁の「総裁選」。しかも新聞は放送法に縛られることはないし、安倍を批判したからといって公選法に違反するわけでもない。自民党から、とやかく言われる筋合いではないはずだが、現職総理の強みか要請文の効果か、各紙の紙面はどう見ても安倍の露出が多くなりがちだ。それどころか、安倍だけを特別扱いするテレビ局や新聞もある。

■緊急特番を組んだ「安倍さまのNHK」
0829abe10.jpg NHKは先月26日、鹿児島県垂水市で桜島をバックに安倍首相が行った自民党総裁選への出馬表明を生中継。緊急特番まで用意して、安倍首相に奉仕した(右がその画面)。
 まさに、「安倍さまのNHK」。安倍政権の飼い犬といわれる政治部の岩田明子記者が、地方創生だの明治維新から150年だのといらぬ解説まで披露していたのには、開いた口が塞がらなかった。
 石破氏の出馬表明への対応と、まったく違うものだったことは言うまでもない。

■産経の露骨な安倍支援
 NHK以上の露骨さで、安倍の応援を続けているのが産経新聞。最近の紙面をみれば一目瞭然だ。安倍の話題を何度も1面トップに据え、別建てでインタビュー記事まで掲載する力の入れよう。その一方で、「残念な石破茂氏の現状」と題するコラムを掲載し、石破氏を攻撃していた。もともと「公平・公正」とは縁のない右翼の広報紙。公平・公正を求める自民党の要請文は届いていないのだろう。

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■激化する安倍陣営の石破攻撃
 「公平・公正」を盾に安倍批判を封じ込めようとする自民党だが、身内には寛容なのか、官邸スタッフのとんでもない週刊誌コラムに対しては、何のお咎めもない。「週刊文春」9月6日号に掲載されたコラムのタイトルは『石破茂は総裁選を辞退せよ』。批判を超えた選挙妨害の筆者は、飯島勲内閣官房参与である。石破陣営は官邸に抗議したというが、当の飯島氏は無反省。産経新聞は、極右の雑誌編集者によるコラムで、飯島の主張を褒め称えた。まさに、「右へ倣え」の狂った実情だ。

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 「批判は許さない」というのが安倍政治の特徴だが、石破攻撃を仕掛ける一方で、石破の掲げた「正直、公正」には過剰反応。あらゆる機会をとらえて、このキャッチコピーを叩いてきた。4日には、暴言しか能のない麻生太郎副総理兼財務相が、党福岡県連主催の会合で石破氏を「暗い顔」と揶揄。選挙で避けるべき相手候補への誹謗中傷に、顔をしかめる自民党員は少なくなかったという。

■独裁に走る安倍政治
 言論の自由も選挙の自由も、無きに等しいのがこの国の現状だ。これが安倍首相が目指すとしてきた「美しい国」の姿だとしたら、国民を待ち受けているのは戦前と同じ息苦しい暮らし。いい加減、独裁に走る安倍政治の危険性に気付くべきだと思うが……。



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