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学校行事で政治活動 自民党・井上貴博議員の非常識 

2016年3月 2日 08:40

井上貴博 安倍晋三首相に近い自民党若手が開いた勉強会で報道を封殺する発言をしていた井上貴博衆議院議員(福岡1区。当選2回)が、小・中学校などの教育現場で「政治活動」を行っていたことが明らかとなった。
 国会議員関係政治団体の支出のうち、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出を証明する「少額領収書」の開示請求で分かったもので、井上氏は、卒業式・入学式後に来賓を交えて校舎内で開かれる祝賀会などの会費を、政治活動費として計上していた。領収書の中には「卒業式会費」「入学式会費」と明記されているものもある。
 選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられることを受け、学校内における政治活動の在り方が議論される中、非常識な井上氏の姿勢に関係者から批判の声が上がっている。(写真は、井上氏の公式サイトの画面)

卒業式、入学式の会費を政治活動費として処理
 HUNTERは昨年11月、福岡県選挙管理委員会に対し、井上氏の資金管理団体「井上貴博後援会」の平成26年分少額領収書の写しを開示請求。先月開示された少額領収書の写しを精査したところ、政治活動費として処理された福岡市内の小・中学校や高校の卒業式、入学式に関する領収書が見つかった。下、上段は平成26年3月に行われた小・中学校の卒業式に関係する領収書。下段が、入学式関係の領収書である。

卒業式関連の領収書

入学式関連の領収書

 いずれの領収書にもあて名はないが、関係者への取材から、ほとんど井上氏が出席していたものと見られている。領収金額は1,000円から高いもので5,000円。但書は「祝賀会」や「祝会」、「卒業式会費」「入学式会費」と明記されたものもある。会費を受け取った形で領収書を発行したのは父母教師会会長やPTA会長など。中には、学校長名で出された領収書もある。上掲の領収書の他、特別支援学校の卒業式や保育園の卒園式で出されたと見られる領収書も存在している。

 福岡市内の小・中学校では、卒業式や入学式が終了した直後に、来賓として式に出席した町内会長など地域の代表者を別室に招き、折詰弁当などを開いて懇談するのが通例。井上氏が出席したと見られる選挙区内の小・中学校でも、同様の形式がとられていた。

 卒業式も入学式も学校行事。祝賀会であれ懇談会であれ、学校行事の延長ということだ。しかも、場所は学校施設の中。学校行事への支出を「政治活動費」として計上したことは、井上氏が卒業式や入学式を政治活動の場とみなしていたことを示している。

無視された教育基本法
 教育基本法は、その第14条で『法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない』と定めており、学校内における井上氏の政治活動は、明らかにこの趣旨を踏みにじるもの。会費の領収書を切った側は、井上氏個人を対象としているのであって、「井上貴博後援会」として式典に参加しているとは思ってもいなかったはずだ。式典参加が政治活動の一環であると分っていれば、井上氏はが呼ばれることは絶対になかった。校長やPTAが、教育基本法の規定を知らぬわけがないからだ。

 領収書に記載のある学校に確認してみたが、いずれも井上氏の「個人参加」だったという認識。中には、会費の額を定めておらず、井上氏から渡されたカネを、「祝儀」としてとらえていたケースもあった。この場合、公職選挙法で禁止された選挙区内での寄附だった可能性もある。

 卒業式、入学式の会費を政治活動費と計上した以上、井上氏の式典参加は「政治活動」。事実関係について確認するため、井上氏の地元事務所に取材を申し入れたが回答はなく、取材拒否の姿勢を示している。

学校関係者から厳しい批判
 井上氏側の不適切と見られる政治資金支出について、博多区内のある学校関係者は次のように話している。
 ―― 学校行事に政治を持ち込むことはご法度。そんなことも分からない人間が国会議員をやっていたのかと、情けない思いでいっぱいだ。井上さんは、中学校の父母教師会顧問もやっていたはず。政治と教育の区別ができていないとすれば、議員失格と言うしかない。もちろん、私が父母教師会の会長だったら、後援会あての領収書など断固拒否した。学校側がそれを認めてしまえば、校長や教頭は処分対象になるだろう。

 別の学校関係者は、こう憤る。
 ―― 選挙権年齢が18歳以上となるため、教育現場では政治教育の在り方が議論されている。生徒の政治活動については、校外では容認、校内では禁止される方向だ。県議以来、長い政治経験があるはずの井上さんが、学校行事の領収書を政治活動の支出として処理するなど言語道断。学校関係者に迷惑をかけかねない非常識な話だ。

疑惑まみれ
 井上議員をめぐっては、自民党の勉強会で言論封殺発言を行った後、政党交付金1,300万円の処理を巡る疑惑が発覚。マスコミから逃げ回るという醜態を演じたほか、福岡を代表する伝統行事「山笠」の運営組織である“流れ”の会合費に、政治資金を充てていたことなどが分かっている。



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