自民党の藤丸敏防衛大臣政務官(衆院福岡7区・当選2回)が代表を務める自民党支部に、公職選挙法が禁じた選挙区内での寄附を行っていた疑いが浮上した。
国会議員関係政治団体の支出のうち、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出を証明する「少額領収書」の開示請求で分かったもの。複数の領収書の但書に「祝儀」、「協賛金」、「寄付」などと明らかに違法な支出だったことを証明する記載がある。
(右が藤丸敏衆院議員。同氏の公式HPより)
寄付、祝儀、協賛金の支出を確認
国会議員関係政治団体は、開示請求があった場合に限り、人件費を除く1万円以下の支出にかかるすべての領収書等の写しを提出することが義務付けられている。開示請求を受けた総務省または都道府県選管は、請求があった日から10日以内に、当該団体の会計責任者に対し少額領収書等の写しの提出を命令。会計責任者は、提出命令があった日から原則20日以内に少額領収書等の写しを総務省または都道府県選管に提出し、30日以内に開示決定が出される仕組みだ。ただし、政治団体側に事務処理上の困難その他正当な理由が認められる場合は30日間の延長が認められおり、請求から開示まで最長なら3ヶ月もかかる計算となっている。
HUNTERは昨年11月、福岡県選挙管理委員会に対し、藤丸氏が代表を務める「自由民主党福岡県第七選挙区支部」の平成26年分少額領収書を開示請求。約3カ月を経て、ようやく領収書の写しが開示された。
下は、その中の1枚。藤丸氏の選挙区である福岡7区にある柳川市の社会福祉法人に対し、平成26年1月7日に10,000円の「寄付金」が支出されていたことが分かる。あて名は「藤丸敏」となっており、法人側は藤丸氏個人からの寄付として処理したものと見られる。
公職選挙法は政治家や、政党支部を含む政治家の支援団体が選挙区内でする寄附を禁じており、藤丸氏側による社会福祉法人への寄付は、この規定に抵触する可能性がある。
違法性が疑われる支出は、まだあった。
以下が、該当する領収書の写しである(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
領収書のあて名は、藤丸氏個人、選挙区支部、あて名なしなどとまちまち。支部あてのもの以外は、支払った後に選挙区支部の支出として計上した格好となっている。祝儀はもちろんアウト。協賛金や協力金も、選挙区内への寄附とみなされる可能性が高い。この他、あて名も但書もない選挙区内自治組織からの領収書が複数あり、いずれも選挙区内での寄附だった疑いがある。
違法性が疑われる一連の支出について確認するため、藤丸事務所の会計責任者に文書取材を申し入れていたが、期限までに回答はなかった。
藤丸議員をめぐっては昨年12月、衆議院赤坂議員宿舎の光熱水費を「自由民主党福岡県第七選挙区支部」の政治資金から支払っていたことや、藤丸氏の秘書らが宿舎をホテル代わりに利用していたことが判明している。