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武雄市・タブレット端末関連文書 隠ぺいの経緯(上)

2015年4月 6日 07:45

武雄市役所 先週、佐賀県武雄市(小松政市長)が、HUNTERの情報公開請求に対し、開示決定までの期間を引き延ばしたあげく、虚偽の説明で一部の公文書を隠ぺいしようとしていたことが明らかとなった(1日既報)。
 記者の抗議を受け、改めて文書開示を実施するとしている武雄市だが、反省の色なし。コメントを求めた市長からは、何の連絡もない。市側が「週末までには何とか」としていた開示文書の準備も、遅れるのだという。
 いつになるのか分からない情報開示の前に、これまでの経過を報じておきたい。(写真は武雄市役所)

情報開示を遅らせた本当の理由
 HUNTERの記者が、武雄市側に情報開示請求を行ったのは2月25日。樋渡啓祐前市長の主導で始められた、小・中学校の児童、生徒を対象としたタブレット型端末利用を使った教育事業について、実施までの過程や使用されている機材の選定過程、事業開始後の状況などを確認するための開示請求だった。具体的に請求したのは次の5件である。

・タブレット型端末導入までの過程がわかる文書
・機種選定の過程がわかる文書
・タブレット型端末の購入もしくはリース契約に関する文書
・タブレット型端末のトラブル(故障・不具合)に関する文書
・タブレット型端末導入授業の評価に関する文書

 同月27日付けで請求を受理した武雄市側は、事業を所管しているという市教育員会が開示決定期間を延長。『3月武雄市議会の会期中で議会対応もあり、検索や精査、開示決定等をすることが困難であるため』として、記者に今月13日までの開示決定期間を27日まで延長する決定通知を送付してきた。

 しかし、3月に開かれた武雄市議会は2日から20日までの日程。18日、19日は「事務整理日」として休会になっており、この両日なら情報開示は可能だったはず。対象文書がよほど大量でもない限り、武雄市が意図的に情報開示を遅らせ、議会中に騒ぎが起きるのを避けたと見ることもできる。実際、開示決定を受け武雄市役所を訪れた記者の目の前に置かれたのは、薄っぺらな文書の綴り。2~3日もあれば特定・マスキング(黒塗り)が可能な枚数だった。(下がその写真)。

武雄市文書

 数にして100枚程度。議会を控えて多忙とはいえ、たったこれだけの文書の検索や精査に、1か月もかかるはずがない。意図的に情報開示を遅らせるのは、役所にとって都合の悪い情報がある時。武雄のケースはまさにその典型といえる。案の定、その後の展開で、同市の隠ぺい姿勢が露呈する。

隠ぺい露見
 市教委側の用意した公文書を閲覧した記者は、「タブレット型端末導入までの過程がわかる文書」、「タブレット型端末のトラブル(故障・不具合)に関する文書」、「タブレット型端末導入授業の評価に関する文書」の3点が欠落していることに気付いた。億単位の税金を投じた事業でありながら、実施までの過程を示す記録が残っていないはずはない。

 当日開示された文書のなかにあったのが、樋渡前市長名で出された機種選定に関する要請文。そこには“これまでICTを活用した事業を行ってきた”として、タブレット型端末導入に至る前段の過程があったことを示す文言が――。しかし、市教委が開示した文書には、そうした過程を示す文書は一切ない。あるのは、タブレット型端末購入にあたっての決済や機種選定に関する一部分の記録であって、なぜタブレット型端末を使った授業を行うことになったのかは不明。これでは事業の是非を検証することができない。何度も“積み上げた前段の記録があるのではないか”と聞くが、市教委側は「ない」という。

 次に「タブレット型端末のトラブル(故障・不具合)に関する文書」だが、武雄市が購入したタブレット型端末は3,000台以上。故障や不具合が1件もなかったとは考えにくい。佐賀県教委は、平成26年度から県立高校の新入生全員にタブレット型学習用パソコンの購入を義務付けたが、その数は6,579台。利用開始からトラブルが続き、故障や不具合が月数百件のペースでで発生していたことが判明している。(参照記事⇒「佐賀県立高パソコン授業の惨状(上) ― トラブル続出で授業は停滞」 )。県立高生徒のものとは違う機種とはいえ、武雄市のタブレット端末に故障や不具合が皆無だったとは思えない。しかし、この請求の対象となる文書についても、市教委側は「ない」と断言する。

 「タブレット型端末導入授業の評価に関する文書」については、年度の終了と同時に検証を実施する可能性もある。現時点で「ない」とする市教委の説明に嘘はなさそうだ。だがそれは、タブレット端末を利用した授業の状況を、定期的にチェックしていないことの証左。“やりっぱなしの事業”ということになる。

教育委員会事務局 一連のやり取りから、隠された文書の存在を確信した記者が市教委を追及。開示を担当した職員では話がつかなかったため、課長の説明を求めたが、職員も課長も事務室と情報開示が行われた会議室を行ったり来たり。慌て方が尋常ではない。結局、追い詰められた教委側が、事業実施までの過程を示す文書などの存在を認めたのは、1時間以上経った後だった。

 市教委側の説明はこうだ。

  • 「タブレット型端末導入までの過程がわかる文書」は市長部局にあったが、確認漏れだった。
  • 「タブレット型端末のトラブル(故障・不具合)に関する文書」は、市教委が保有していたが、請求の趣旨を間違えていた。

 ずいぶん幼稚な言い訳であるが、対象文書は「ない」とした当初の説明が虚偽だったことを認めた格好だ。

 問題はそのあと。市側は、とんでもないことを言い始める。対象文書はあるが、該当文書を保有しているのが市長部局であるため、「再度市長宛に開示請求を出してもらいたい」というのだ。はてさて困った役所である。呆れたHUNTERの記者が切り出したのは、2月に出した開示請求書を、市側がどう取り扱ったかの確認だった。その結果……。

つづく



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