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佐賀空港オスプレイ配備 隠蔽された県と防衛省の協議記録

2018年11月20日 08:00

佐賀空港3-thumb-280x202-15573.jpg 政府・自民党を敵に回した2015年1月の知事選で、原発再稼働や自衛隊の佐賀空港使用に慎重な姿勢を示して初当選を果たした佐賀県の山口祥義知事。相手候補の不人気に助けられた「佐賀の乱」だったが、就任後の山口氏は、やっぱり“霞が関官僚”。政府の言いなりに玄海原発再稼働を容認し、根強い反対があるオスプレイの佐賀空港配備にも、あっさり同意してしまった。
 とくに怪しいのはオスプレイの佐賀空港配備。政府側と佐賀県の交渉過程を示す関連文書を情報公開請求したところ、森友学園や加計学園のケースと同様に、開示された文書は黒塗りばかりとなった。明らかな隠蔽である。

◆山口知事の背信
 2015年の知事選後、ある霞が関の官僚OBが山口氏をこう評していた。
「知事選で勝てたのは、相手候補が県内の首長や地方議員から総スカンをくらっていたから。佐賀の自民党は、どちらが勝っても良かった。県民党を装っているが、山口は原発にしてもオスプレイにしても、いずれ政府の指示を丸呑みする。玄海原発は再稼働、オスプレイ配備にも抵抗しない。必ずそうなる。彼には国とケンカする度胸などない」

 実際、官僚OBの予言通りに事は進み、知事は昨年4月に玄海原発3・4号機の再稼働に同意。今年8月24日には、オスプレイの配備受け入れを表明している。山口氏は、政府の手先だったというわけだ。

 スンナリ決まったオスプレイの佐賀空港配備だが、佐賀県と国の間でどのような交渉が行われてきたのか――。検証するため関連文書の開示請求を行ったが、詳しいやり取りを記した「出張復命書」や「会議記録」は、下の写真のように、内容を示す記述のすべてが黒塗り非開示にされていた。

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 昨年9月から今年8月までの間に、県と防衛省が接触したのは計10回。県庁内での会議が3回(1回目は農水省も参加)、出張して防衛省での協議が6回、木更津駐屯地への視察が1回となっている。記述のあるページは全部で25ページ、うち24ページに黒塗り非開示部分があり、22ページは全体が塗りつぶされていた。県と防衛省とのやり取りの一切合切が、隠された状態だ。オスプレイ配備に関して公表された文書に、防衛省にとって都合の悪いものはない。

 協議過程が隠されたまま、なされた知事の「合意」。しかし、どのような協議を経た結果なのか分からないというのでは、関係者は納得できないだろう。防衛省が佐賀県に提示した自衛隊機の佐賀空港利用時間帯は午前8時~午後5時で、離発着回数は1日60回程度。民航機すべての離発着回数の、何倍もの数字だ。滑走路占有時間を見ても圧倒的に自衛隊機が幅を利かす状況となるのは必至で、これは「軍事空港」以外の何ものでもあるまい。佐賀県民は本当にそれでいいのか?

■福岡県上空にもオスプレイ飛来
 問題はまだある。佐賀空港への自衛隊機配備によって影響を受けるのは、佐賀県だけではない。下は、防衛省が福岡県に示した「悪天候時」における自衛隊機の離陸、着陸経路及び飛行高度の最低と最高(通常は空港南側の有明海側から離着陸)を明示した文書だ。オスプレイが、福岡県柳川市、大牟田市、みやま市、さらには熊本県南関町の上空に飛来することが分かる。

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 肝心な情報を隠したまま、“佐賀県知事が同意したから軍事空港OK”では、福岡県民も納得できない。自衛隊機の事故が、決して少なくはないからだ。今年2月には、陸上自衛隊目達原駐屯地所属の攻撃ヘリ「AH-64D(通称:アパッチ・ロングボウ)」が佐賀県神埼市の民家に墜落。それまでも、隊員の死亡や行方不明を伴う自衛隊機の事故が何度も起きている(下の表参照)。絶対の安全などあり得ない。

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 オスプレイ配備の実現までには、県が佐賀県有明海漁協と締結した公害防止協定の覚書付属資料を修正する手続きが必要となる。覚書付属資料には、自衛隊との空港共用を否定する文言が記されているからだ。しかし、山口知事による突然の「配備容認」に不信感を募らせる有明海漁協が、修正に応じるかどうかは分からない。

 漁協にしても関係自治体の住民にしても、県と国の交渉過程を知りたいと考えるのは当然だろう。オープンにすべき情報を隠して、佐賀空港を軍事拠点化することは絶対に許されない。



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