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リコール知事の鹿児島県 変わらぬ隠蔽姿勢
情報公開 引き延ばしの実態

2014年3月 3日 09:05

鹿児島県庁 鹿児島県が、情報公開請求に対する「開示決定期限」を意図的に引き延ばした疑いが濃くなった。
 ごまかしや隠蔽が横行する同県。今回のケースは、知事に対するものとしては50年間で2例目とされる「リコール(解職請求)」の対象となった伊藤祐一郎知事と、違法行為を行なったある組織とのつながりを調べる中で起きたもの。時期的なことを考えると、請求した事案について探られたくない「知事の意向」が働いた可能性さえある。

たった120枚の情報開示決定に2か月
開示決定等期間延長通知書 昨年12月13日、HUNTERは鹿児島県に対し医療問題に関する情報公開請求を行った。

 請求の内容は次稿で詳述するが、伊藤知事との関係が取り沙汰されている組織に関するものだ。請求直後に、県の所管課から請求内容についての確認電話があったため、何の問題もなく開示されるものと考えていた。
 ところが、県情報公開条例が定めた開示決定期限まぢかになって送られきたのは、「開示決定期間延長通知」(右参照)。鹿児島県情報公開条例の規定では1月14日が開示決定期限であるところを、2月12日まで延長するという内容だった。

 延長理由には、こう記されている。
開示請求に係る公文書が大量で、30日以内に開示決定等をすることができないため

 請求内容からして、対象文書が大量になることはありうると判断。黙って決定を待ったが、なかなか連絡がない。すると、延長期限を2日過ぎた2月14日の夕方になって記者宛にメールが送信されてきた(メールの記録では午後17:51分)。その文言は次の通りだ。

 早速ですが、今月12日、貴殿あてにに係る「公文書一部開示決定通知書」を郵送いたしました。連絡が遅くなりまして、どうも失礼いたしました。

 つきましては、閲覧にいらっしゃる日時を打合せさせていただきたく存じます。

 もし来週(2月17日の週)を御希望の場合、当方の都合で大変申し訳ございませんが、20日(木)の午後、若しくは21日(金)の午後で調整させていただきたいと存じます。

 メールでの御連絡をお待ちいたします。
 お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 ずいぶん勝手な言い分である。そもそも開示決定は2月12日。14日に決定についてのメールを送ってきて、実際の開示をさらに1週間も遅らせようというのだ。時間稼ぎを行なっているふしがある。隠蔽やごまかしが常態化している鹿児島県ではよくあるパターンだが、如何ともし難い。ただ、文書が「大量」というからには、こちらも受け取りの準備が必要。メールを受けた記者が所管課に文書の量について確認したところ、担当職員はこともなげに「120枚くらい」だという。開示できるものが120枚程度で、その他が非開示なのかと聞くと、「全部で120枚程度しかない」。開いた口が塞がらないとはこのことだ。鹿児島県は、たった120枚の文書をチェックするのに、2か月もかけたということになる。

 どこの行政機関でも、「文書が大量」という場合は数千枚、数万枚に及ぶのが普通。120枚ほどの文書なら、ごく一般的な行政文書の枚数であり、延長するほどのものではない。記者が、たった120枚に2か月もかかかるはずがないとして抗議すると、今度は個人情報を消すための時間が必要だったと言い逃れる。しかし、開示対象文書の個人情報や条例が認めた非開示部分を黒塗りするのは、これまたどこの行政機関でもやっていること。鹿児島県だけが念入りというわけではない。開示決定期限の延長には、別の理由があるとしか思えない状況となった。

 残された公文書が120枚程度しかないと言い張る以上、やむを得ない。窓口での交付から郵送での交付に変更するよう依頼し、県側もこれを了承したが、今度は郵送交付のために必要な手数料の振込み用紙が送られてこない。やはり時間稼ぎなのだ。厳しく抗議したのは言うまでもない。結局、すったもんだの末に請求文書の写しが県から送られてきたのは、2月28日。請求から2か月半が経っていた。

 開示された文書は、ちょうど120枚。そのうち黒塗りがあるのは20ページにも満たない。しかも、黒塗りされているのは印影など一般的な個人情報だけ。たいした数ではなく、他の行政機関なら数日で終わるケース。遅延行為であることは疑う余地がない。

 なぜ県が当該文書の開示を渋ったのか――その理由は容易に想像がつく。請求された公文書の内容と問題点が表面化すれば、伊藤知事への疑念が増幅するからに他ならない。HUNTERが開示請求を行った昨年12月の時点は、まさに知事とある組織の親密な関係が問題視されていたからである。当該文書の請求を受けて、県幹部が自主的に開示決定を遅らせたか、あるいは知事自身がそれを指示したかのどちらかだ。

悪質さ日本一 ―― 背景に知事の意向 
 鹿児島県は、知事にとって都合の悪い情報を平気で隠蔽する悪質な行政機関である。2011年には、HUNTERの記者が提出した情報公開請求に対し、開示するか非開示にするかの決定自体を拒否するという前代未聞の暴挙におよび、他メディアの報道を受けてあわてて態度を一変させるという失態を演じていた(参照記事⇒「鹿児島県が情報公開請求を拒否」。

 この時の請求文書は、薩摩川内市で建設が進む産業廃棄物の管理型最終処理場「エコパークかごしま」と、鹿児島市松陽台町の「ガーデンヒルズ松陽台」における県営住宅増設に関するもの。いずれも知事がトップダウンで事業方針を決め、住民を無視して事を進めている案件。業者との癒着が疑われる事業でもある。県は今回同様、開示決定期限の延長を行ったあげく、「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと判断致しました」として情報公開を拒否していた。当時の取材で、隠蔽指示も含めた動きに県上層部が関与していたことが分かっている(参照記事⇒「鹿児島県情報公開拒否問題 隠蔽指示に県上層部関与か?」 。悪質さにおいて日本一ともいえる情報公開に対する拒絶姿勢には、知事の意向が働いていると見るべきだろう。

 鹿児島県が情報公開を遅らせた内容とその問題点については、今週末の配信記事で詳述する。



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