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鹿児島県情報公開拒否問題 隠蔽指示に県上層部関与か?

2011年12月 8日 09:35

 鹿児島県が先月28日、HUNTERの記者が提出した情報公開請求に対し、開示するか非開示にするかの決定自体を拒否した問題で、隠蔽指示も含めた一連の動きに県上層部が関与していた疑いが濃くなった。


繰り返される虚偽説明
 この問題で報道各社の取材を受けた県側は、情報公開請求を拒否したことについて虚偽の説明を繰り返している。

 県側は、請求された文書が「大量」であったことを請求に対する拒否の理由に挙げ、「遅れた」とする説明を繰り返しているが、事実関係はまるで違っている。
 
 鹿児島県側の説明が虚偽であるとする根拠はふたつ。

 まず、「大量」とされる文書だが、実態はかなり違う。鹿児島県が開示決定期限の11月25日を5日も過ぎ、報道各社の取材を受け始めた11月30日付けでHUNTERに送付してきた公文書開示の「決定通知」には、請求した内容に含まれるとされる文書の一覧が添付されていた。
 これを見ると、鹿児島市松陽台の県営住宅建設計画に関する文書などは、下に示したもの程度の分量でしかない。
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 一見すると行政文書の数が多いように思えるかもしれないが、1枚か2枚でしかない種類の文書が散見される。
 つまり、枚数的には60日もかかって処理するようなものでは決してなく、市町村レベルの自治体では14~15日とされる開示決定期限内にすんなり公開されるのが普通となる分量でしかないのだ。
 
 また、薩摩川内市で建設が強行されている産業廃棄物最終処分場への県庁職員動員に関する一連の文書についても同じことが言え、通常業務の一環として処理していれば、十分決定期限の30日以内でけりがついたものだ。

 同処理場への県職員の動員要請文書の開示を遅らせたことはさらに悪質で、これまでHUNTERが独自に入手し報じた1枚を含め、数枚程度しか存在しない。

 こうしたことからも、「文書が大量だった」とする県側の主張が虚偽であることは明白。条例違反との指摘をかわすため、大手メディア向けに事実を歪めたことでさらに墓穴を掘った形だ。
 
 県側の説明が虚偽であるふたつ目の証拠は、県条例の規定に求められる。
 そもそも文書が大量で、処理に日数がかかるのなら、「鹿児島県情報公開条例」に従って、開示決定期限をまず30日間延長。それでも間に合わないとすれば、一部だけを開示し、残りについてはさらに開示までの期限を延長することが可能だった。
 
 しかし、県側は条例の規定を無視して「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと本県として判断致しました」という暴挙に出たわけで、この時点(28日)ではこの文言以外、発していない。何を聞いても同じ文章を読み上げるだけという、およそ行政機関とは思えぬ対応だったのである。

 県側は、何の連絡もしなかったことについて、HUNTERの記者に「電話をすることも控えさせていただいた」と明言しており、情報公開請求だけでなく、取材に対しても黙殺する構えだったということだ。
 
 「遅れただけ」とする逃げ口上は、残された取材記録の前では一切通用しない。

県上層部の関与
 今回の鹿児島県の対応で最大の問題となるのは、一連の県側の対応が組織としての統一した意思の下で行なわれたことだ。
 
 鹿児島県知事に対し情報公開請求したのは、次の4項目についての内容である。

1、薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場に関するすべての文書(建設計画に関する方針決済など、計画段階から請求日までの経過が分かる文書や、本件に関する業務委託関係書類など)。
2、薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場における警備または支援業務についた県職員への出張命令書および勤務実態の分かる文書。
3、薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場に関し、工事の警備もしくは支援のため県職員を派遣するにあたって県庁内で動員要請した折の文書。
4、鹿児島市松陽台町に移転・建設を予定している県営住宅に関するすべての文書。

 このうち1~3の内容については県環境林務部廃棄物・リサイクル課、4は土木部建築課住宅政策室が所管している。
 
 まったく違う部署に対する情報公開請求であるにもかかわらず、足並みを揃えて請求を拒否し、「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと本県として判断致しました」と一言一句たがわぬ文面を読み上げている。県内部で文案を統一していたということだ。

 さらに、情報公開の窓口を所管する県総務部学事法制課は、事実関係を調べるとしながら土壇場になって「開示についての判断は各所管で行なっており、学事法制課としては情報公開条例に基づく開示請求の受付窓口を所管しておりまして、開示の判断は各窓口で行なっております」と事実上の責任放棄。
 
 こうした動きは、HUNTERの取材を拒否するよう県の統一方針を決め、指図した県幹部がいなければ起こり得ない。

 環境林務部、土木部、総務部の3部局に指示を行ない得る立場にあるのは部長級以上の県幹部、すなわち副知事か知事ということになる。

 いったん情報公開請求に対する開示・非開示の決定自体を拒否し、方針転換して開示決定を行なったものの、同条例に定めた開示決定期限は守られていない。明らかな県情報公開条例違反であり、方針を決めた人間に何らかの処分が下されて当然の事態だ。

 条例違反が明白である以上、責任の所在を明らかにし真相を公表するのが行政機関に課せられた義務である。


HUNTERは本日、鹿児島県に対し、以下の内容の公開質問書を送付する。


鹿児島県知事 伊藤祐一郎殿                   


                      公開質問書 
 
 以下の事実経過を踏まえ、3点についてご質問致します。

【事実経過】
 平成23年9月25日、当方は伊藤祐一郎鹿児島県知事に対し、次の4件の情報公開請求を行なった。
・ 薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場に関するすべての文書(建設計画に関する方針決済など、計画段階から請求日までの経過が分かる文書や、本件に関する業務委託関係書類など)。
・ 薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場における警備または支援業務についた県職員への出張命令書および勤務実態の分かる文書。
・ 薩摩川内市で建設中の産業廃棄物処理場に関し、工事の警備もしくは支援のため県職員を派遣するにあたって県庁内で動員要請した折の文書。
・ 鹿児島市松陽台町に移転・建設を予定している県営住宅に関するすべての文書。

 これに対し、鹿児島県は県情報公開条例で規定した30日という開示決定期限をさらに30日延長したうえ、最終期限である同年11月25日の3日後、すなわち11月28日に当方よりの確認電話に対し、「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと本県として判断致しました」とした上で、「電話をすることも控えさせていただいた」と回答するに至った。

【質問事項】 
 ①「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと本県として判断致しました」とする一文の原案を提起し、作成を行ない、環境林務部廃棄物・リサイクル課、土木部建築課住宅政策室に同文を「県として」の見解とするよう指示したのは誰か、それぞれご回答願いたい。

 ②また、一連の鹿児島県の行政事務は、明らかに「鹿児島県情報公開条例」に違反するものと思料するが、本件に関する県側の責任者名をご回答願いたい。

 ③本件に関し、副知事、知事の関与の有無についてご回答願いたい。

以 上

平成23年12月8日

調査情報サイト「HUNTER」

*なお、質問内容は極めて基本的なことであり、回答までに時間を要する事項ではないと考え、回答期限は平成23年12月13日としている。
 
 



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