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南日本新聞への警鐘

2013年5月10日 10:10

南日本新聞 先月、読売新聞の、憲法に関する世論調査結果を誇大に宣伝する記事に疑問を呈した(⇒「読売新聞さん、いい加減にしたらどうですか」。
 憲法改正を社是としている同紙のこと、立ち位置がハッキリしているだけに分かりやすい記事ではあったが、一方で、どっちを向いているのか分からない紙面構成や、権力寄りの記事で読者を悩ませる新聞もある。
 このところ、HUNTERへの問い合わせが多くなっている鹿児島県の地元紙「南日本新聞」も、そうしたメディアのひとつだ。最近の同紙の記事から、問題点を検証した。

ぼやける「原発」に対する姿勢
 ゴールデンウィーク明けの6日、「南日本新聞」朝刊1面のトップに、「川内原発再稼働賛成39%」という大見出しが踊った。脇には「前年比4.8ポイント増」。記事では、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働についての賛・否それぞれの数字について講釈がついているが、見出し勝負の新聞にあっては、何が言いたいのかすぐに分かる見せ方である。
 再稼働賛成派が増えているということに焦点を合わせた記事であることは間違いあるまい。それを批判している記述がない以上、再稼働を急ぎたい九電や鹿児島県の後押し記事と見る方が自然だ。

 この新聞の分かりにくさは、同日の紙面の中で核燃料サイクルについての記事や大学教授の『脱原発は難しくない』とする寄稿分を掲載していることである(下は同日の南日本新聞朝刊の紙面)。
 同紙を愛読する鹿児島県民からも「どう見ればいいのやら」といった困惑の声が上がる。原発再稼働に賛成としか思えない1面の構成、一方では脱原発の勧め・・・。社としてはどう考えているのか?―読者が南日本新聞の原発に対する姿勢に疑問を抱くのは当然だろう。

鹿児島 160.jpg 8日になって『川内原発再稼働 県民の不安に寄り添え』と題する社説を掲載したが、内容は6日報道にあった自社の世論調査結果の分析で、再稼働そのものに賛成なのか反対なのか判然としない一文。ハッキリしろと言いたくもなる。

住民の意見に対しては冷淡
 同紙の記事や取材姿勢に、疑問を感じることが多いのは確かだ。下は今年4月23日の朝刊の紙面。注目したのは、鹿児島市松陽台町の町内会が市議会に提出していた、県営住宅建設にともなう地区計画変更案に反対する陳情書が、不採択になったことを伝える記事だ。(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

新聞2.bmp

 記事の中の赤いアンダーラインの部分、そこには『一部住民』という言葉が2度にわたって使われている。最初の『一部住民』が、“鹿児島市民の中の一部”ということなのか、あるいは“周辺地域の中の一部”という意味なのかよく分からないが、後段の『分譲地を購入した一部住民』との記述で、事実誤認に基づく記事であることが明らかとなる。

 陳情書を提出したのは松陽台町の町内会。じつは、この自治会自体が分譲地の住民だけで構成されているのだ。しかも、同町がある「ガーデンヒルズ松陽台」は、もともと県住宅供給公社が造成した“戸建住宅”専用の分譲地なのである。従って『分譲地を購入した一部住民』という表現は誤り。南日本の記者は、事実関係を踏まえずに記事を書いたということになる。

 記事を読んだ読者は、ほんの一部の人間が騒いだだけという印象を受けるだろうが、この記述はそうした誤解を招きかねない。記事を書いた記者がよく理解していないか、あるいは意図的に役所や議会の肩を持ったかのどちらかと見られても仕方あるまい。

 松陽台町の住民からは、次のような憤りの声が上がる。「地元紙から『一部住民』で片付けられるとは思ってもみませんでした。私たちの松陽台町は、県の住宅供給公社が売り出した分譲地“ガーデンヒルズ松陽台”の住民の自治組織ですよ。およそ140世帯が加入しています。その自治会ぐるみで陳情したのに、『分譲地を購入した一部住民』とはいい加減にもほどがある。反対運動を矮小化しようとしている役所の言い分を聞いて記事を書いた証拠でしょう。これではまるで役所の広報じゃないですか。最低の記事ですよ」。

 取材に応えた住民によれば、記事の記述は間違いだとして抗議した同自治会の会長に対し、南日本新聞からの回答や説明は一切ないのだという。都合の悪いことには答えないというのでは、同紙に取材対象を追及する資格などあるまい。

 そういえば、薩摩川内市で県が地元住民の反対を無視して建設を進める産廃処分場「エコパークかごしま」(仮称)について、住民側に立った厳しい記事など見たことがない。住民の意見には冷淡、他方で権力には寄り添う―これでは読者の信頼など得られないだろう。

渦中の嘘つき町長を擁護
 同紙については他にも気になることがある。核のゴミの処分をめぐって、大揺れに揺れている同県の南大隅町での出来事。東電の闇の代理人との親密な関係が明らかとなった森田俊彦町長について、その嘘とゴマカシの第一報を配信した日のことだった。(参照記事⇒「鹿児島・南大隅町長に収賄の疑い」 )

 森田町長に対抗して、町長選に立候補することを表明していた人物の事務所を訪れた南日本新聞の記者が、居並ぶ陣営幹部を前に、HUNTERの記事の背景について自説を展開したのだという。曰く―《HUNTERは森田町長にカネを要求したが、断られて記事を配信した》。町長から聞いた話なのか、自分だけの見立てなのか分からないが、この記者のレベルの低さには呆れるしかない。抗議しようと思ったが、件の記者が町長の同窓生らしいという話を聞いて、バカバカしくなってしまった。記者と町長の関係について確認するまでもなく、しょせんこの程度のタチの悪い記者がいる新聞社ということなのだ。

 南日本新聞に対しては、同町の住民からも厳しい視線が注がれている。「南日本はいつも町長寄りの記事しか出さない。3.11の直前まではニューモ(原子力発電環境整備機構)の説明会を開いていたほどの新聞社ですからね。森田町長擁護の記事の例を挙げればきりがない。南日本は腐っている」(南大隅町 40代女性)。

 南日本新聞の方々、読者の声、聞いていますか?



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