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古賀誠議員の自民支部 収支報告書を大幅訂正 
監査制度の形骸化も露呈

2012年9月 4日 10:10

古賀誠後援会事務所 古賀誠元自民党幹事長が代表を務める自民党支部が、政治資金収支報告書を大幅に訂正していたことが明らかとなった。

 今年7月、HUNTERが、古賀氏陣営の選挙運動費用収支報告書と同支部の政治資金収支報告書に記載された寄附の日付や件数がまったく違っており、政治資金規正法もしくは公職選挙法に抵触する状態であると指摘したことを受けての訂正。

 改めて古賀氏側の政治資金処理の杜撰さと、国会議員関係政治団体に義務付けられた監査制度の形骸化を証明した形だ。

30箇所もの訂正
 訂正されたのは「自由民主党福岡県第七選挙区支部」(以下『七区支部』)が福岡県選挙管理委員会に提出した平成21年分の政治資金収支報告書。
 同年に行われた衆院選挙における七区支部から古賀氏個人への寄附約1,700万円分について、同氏陣営の選挙運動費用収支報告書の記載に合わせる形で、30箇所あまりにわたって日付の変更や加筆が行われていた。
 福岡県選管によれば、先月末に古賀氏の事務所関係者が選管を訪れ訂正したという。 

辻褄合わぬ二つの報告書
 平成21年8月に執行された総選挙の後、古賀氏陣営から福岡県選挙管理委員会に提出された選挙運動費用収支報告書によれば、古賀氏は選挙費用として七区支部から計1,716万円の寄附を受けたことになっていた。
 記載の内訳は次の通りだ。(内訳の右が選挙運動費用収支報告書の記載。黒塗りはHUNTER編集部)

収入の部(No.1)【7月】
23日・・・・500万円
31日・・・・100万円
【8月】 
04日・・・・・20万円
05日・・・・・10万円
06日・・・・・50万円
10日・・・・・・ 2万円 
11日・・・・100万円
11日・・・・・30万円  
12日・・・・・10万円
12日・・・・・10万円  
13日・・・・・10万円
13日・・・・・10万円
16日・・・・・50万円
18日・・・・100万円
収入の部(No.2)18日・・・・・10万円
18日・・・・・50万円 
19日・・・・・10万円
19日・・・・・50万円
19日・・・・200万円  
20日・・・・・10万円
20日・・・・・10万円
20日・・・・・10万円
20日・・・・100万円
21日・・・・・50万円
21日・・・・・50万円
22日・・・・100万円
24日・・・・・50万円
24日・・・・・・ 4万円
26日・・・・・10万円
─────────
合計 1,716万円
─────────

 7月23日の500万円を皮切りに、最少2万円から最大200万円まで29回に渡って計1,716万円の寄附を受けており、最後の寄附は8月26日の10万円だった。

 一方、候補者である古賀氏に寄附した七区支部の政治資金収支報告書には、古賀氏への寄附として同年9月1日の500万円と同日の1,216万円の2件が記載されているだけだ(下の報告書参照。赤字と黒塗りはHUNTER編集部)。

七区支部の報告書

 寄附の総額は1,716万円で合致するものの、寄附の日付や回数がまったく違っており、どちらの記載が本当なのか分からない。
 いずれかの報告書が実態と違う記載である以上、公職選挙法もしくは政治資金規正法の規定に抵触する状態であることは明らかだった。

訂正はしたものの
 七区支部の訂正は、古賀氏への2回の寄附のうち「9月1日」の500万円を「7月23日」に変更した上で、同日付の1,216万円を選挙運動費用収支報告書の記載に合わせて細かく分け、二つの報告書の整合性を取った形だ。
 訂正によって、法に抵触する状態を脱したことにはなるが、なお大きな疑問が残る。

 当初の七区支部の報告書には、平成21年9月1日付けの500万円と1,216万円の2枚の領収書の写しが添付されていた。
 報告書の訂正に伴い、新たに20枚以上の領収書が提出されたというのだが、選管には二通りの領収書の写しが残されることになる。
 これは、古賀氏本人の領収書が、現金と引き換えに発行されたのではなく、報告書の記載に合わせて便宜的に作成されたことを物語っており、収入・支出を証明する証拠書類としての信頼性は皆無に近いと言わざるを得ない。真実がどこにあるのか分からない状況だ。

 さらに、政治資金規正法は、すべての支出を会計帳簿に記載した上で、1万円以上の寄附の支出については「政治資金収支報告書」に、年・月・日ごとの記載をするよう義務付けている。会計帳簿の記載に従って報告書が作成されたのであれば、今回のような間違いは起こらないはずだ。
 七区支部の帳簿の記載がいい加減か、あるいは帳簿自体がないかのどちらかが疑われる事態であり、“杜撰”の一言で済まされる問題とは思えない。

政治資金監査制度の形骸化
政治資金監査報告書 七区支部の報告書が大幅に訂正されたことは、政治資金監査制度が形骸化していることを示している。 

 平成21年から、国会議員関係政治団体に対する政治資金監査の実施が事務付けられたが、登録政治資金監査人による監査では次の事項が確認されていなければならない。

  1. 会計帳簿、領収書等が保存されていること
  2. 会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること
  3. 収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること

 七区支部の政治資金処理については、古賀氏側が選任した東京の弁護士によって監査が行われており、監査報告書も提出されている(右の文書が七区支部の「政治資金監査報告書」)。
 同支部が報告書の大幅訂正に踏み切ったことは、領収書や会計帳簿、収支報告書といった監査済みの内容が変わったことを意味しており、提出された監査報告書との整合性がなくなっている。当然、監査をやり直す必要があるはずだ。

 この点について県選管に確認したところ、監査制度の中で収支報告書の訂正を想定してはいるものの、再監査を義務付けた規定がないのだという。制度上の欠陥は明らかで、これでは監査の意味がない。

問われる古賀氏の政治とカネ
 古賀氏側の政治資金処理と監査をめぐっては、今年3月、七区支部が1万円以下の「その他の支出」に間違いがあったとして、7件・38万8,557円分に及ぶ収支報告書の訂正を行ったほか、5月には古賀氏の資金管理団体「古賀誠筑後誠山会」が同じく21件・39万2,112円分を訂正。いずれも古賀氏の関連政治団体に対する政治資金監査が甘いものだったことを証明した形となっていた。(参照記事→「古賀誠議員の政治資金処理に新たな問題」・「古賀誠議員側 政治資金監査に重大問題」)
 古賀氏の政治資金処理に信頼性がなくなっていることは言うまでもない。

 HUNTERはこれまで、古賀氏の政治資金に関する数々の疑惑を報じてきた(本サイト検索窓から『古賀誠』で検索)。総選挙を控え、同氏の政治とカネに対する姿勢が問われている。



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