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だまされた鹿児島県民
薩摩川内産廃処分場は「急傾斜地崩壊危険箇所」
100億円公共事業の真実

2012年6月13日 10:30

gennpatu 011.jpg 川内原発の立地自治体である薩摩川内市で、血税100億円を投入して強行される産業廃棄物最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設事業。カネの力で地元地域の絆を引き裂いただけでなく、全国に知られる霊山「冠嶽」を汚し、市民の水源までつぶそうというものだ。

 「あの地区は極めて高い安全性を持った地域と私は確信致しております」、「やはりベストの場所ですね」。自らが推し進めてきた産業廃棄物最終処分場の予定地を評してそう言い切って来た伊藤祐一郎鹿児島県知事だが、この発言は真っ赤な嘘だった。

 先月、処分場予定地自体が事実上の「砂防指定地」だったことを報じたが(記事参照→)、改めて現地取材したところ、処分場がこの上なく危険な場所に立地していることを思い知らさせる結果となった。伊藤知事にだまされた鹿児島県民は、100億円の公費をどぶに捨てることになる。

処分場予定地は県内一危険な場所だった
 画像がすべてを物語るケースである。手前にあるのが「砂防ダム」で、その奥は問題の処分場建設現場。砂防ダムと処分場が接しているのである。こうした砂防ダムが処分場の周囲に3箇所あり、県内でこれほど危険な場所は他にないという。

 万が一、大雨で土砂災害が発生した場合、砂防ダム程度では防ぎきれないことも想定される。流れ込んだ土砂が管理型処分場を直撃すれば、危険物質を含んだ水が川や地下水を汚染するのは自明の理である。

 処分場内を流れる阿茂瀬は、県内最大の河川「川内川」につながっているが、その川内川は薩摩川内市民の水道水源なのだ。

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すでに起きていた"がけ崩れ"
 砂防ダムがあるから土砂災害が防げるという論法も、ここでは通用しない。
 下は、薩摩川内市が作成した防災マップの一部だが、処分場予定地に面した"がけ"が、「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されていることが分かった。
 鹿児島県や薩摩川内市は、この事実を知りながら処分場をこの地に建設することを決めたのである。まさに"犯罪行為"だ。

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 この日の取材では、すでに処分場工事現場に面した"がけ"で、崩落が起きていることも確認された。下の写真がその現状。がけの真下に処分場工事現場があるのが分かる。大規模な崩落となれば、処分場の建屋などあっけなく押しつぶされるだろう。

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汚される水源
 汚染されるのは生活水だけではない。下の写真は処分場のそばにある農業用の用水池だが、ここの水も無事では済まない。

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ツケは鹿児島県民に
 県内一危険な場所であることを隠して、100億円の投資をする目的は何か?
 伊藤知事は、「県内に管理型の最終処分場がない」という大義名分を掲げていたが、民間企業の処分場計画を握りつぶしていたことが発覚。知事の主張を支えていたのが虚構だったことを証明している(記事参照→)。
 
 処分場の土地が地場ゼネコン「植村組」のグループ会社「ガイアテック」の所有で、建設工事を「植村組」が構成員となったJVが落札したことを考えると、知事と同社による癒着の構造が浮かび上がる。知事は多くの嘘をついて、特定企業に便宜を図った可能性が高い。

 知事にだまされた鹿児島県民が、いずれすべてのツケを払うことになるが・・・。



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