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疑われる特定企業への便宜供与

薩摩川内市産廃処分場問題(3)

2012年2月 7日 08:10

 鹿児島県が薩摩川内市川永野に建設を強行している産業廃棄物の管理型最終処分場は、県内29か所の候補地から選んだものだという。
 
 しかし、建設地決定の過程は不透明で、県の候補地調査結果は、意図的に問題の土地に「○」印を多く付け、あたかも他の候補地より処分場に適した土地であると見せかけた可能性さえ生じている。
 "捏造"の疑いを打ち消すだけの、候補地ごとの詳しい調査結果も存在していない。(記事参照

 県は、問題の土地を処分場候補地として「紹介」(県側の説明)したのが地場有力ゼネコン「植村組」グループだったことまでは明らかにしたが・・・。

株式会社ガイアテック
 gennpatu 948.jpg平成18年12月、薩摩川内市は処分場建設用地についての県からの照会に、候補地は「該当ありません」と回答している。
 
 しかし、県は「植村組」グループが紹介した同市川永野の土地を、同年5月から対象地のひとつとして調査していたことが明らかになっている。
 結果、この場所が処分場用地として決定するのだが、「植村組」グループが紹介したのはいかなる土地だったのか。

 鹿児島県に情報公開請求して入手した文書の中に、薩摩川内市川永野の処分場用地に関する「土地賃貸借契約書」がある(右の文書参照)。

 県と土地の賃貸借契約を結んだのは、「株式会社ガイアテック」。対象面積は248,728.84㎡に及ぶ。

 賃料は5億円で、平成25年度に3億400万円を一括して支払い、翌年度から平成39年までの14年間にわたり年間1,400万円づつを払うとするものだ。

 県に確認したところ、土地は平成39年度(処分場の埋め立て事業が終了する予定の年)に最後の支払いを終えたところで所有権を県に移すのだという。賃貸借とはいえ、事実上の土地買収なのである。

 県は、賃貸借によって得た用地を、処分場の事業主体である県の外郭団体「鹿児島県環境整備公社」(理事長 山田裕章副知事)に転貸しするため、公社との間に別途「土地転貸借契約書」を結び、無償で用地を提供する形となっている。公社は表面上の事業主体に過ぎない。

問題の土地は「植村組」グループの所有
 gennpatu 406.jpg土地の所有権者である「ガイアテック」について調べてみると、処分場事業が「県と建設業界の仕組んだ茶番」(県政界関係者の話)だったことがより鮮明となる。
 同社は、処分場用地を県に「紹介」した地場ゼネコン「植村村」の関連企業だったのである。

 ガイアテックは薩摩川内市に本社を置く生コン製造業者。植村組グループの砕石部門として昭和35年に設立された川内砕石有限会社がその前身で、平成13年に植村組グループの別会社と合併し現在の社名となっている。年間売上高は40億円を超えており、県内の同業種の中ではトップクラスだ。
 
 薩摩川内市川永野の処分場予定地は、古くから同社の採石場で、保有する砕砂プラントでは一般の砕石のほか、砕砂、調整土砂、路盤材や土砂などを製造していた(写真は同社のプラント)。
 ガイアテックのホームページ上では、処分場建設が強行される現在も、同社施設のひとつとして紹介されている(ガイアテックHP→)。

 ここまでの経過をたどれば、植村組グループがグループ内企業の土地を県に紹介し、県はその他28か所の候補地を押しのけてその土地を産廃処分場用地に決定したことになる。
 報じてきた候補地調査の不透明な実態からすれば「県と建設業界の仕組んだ茶番」との批判が現実味を帯びる。

 「茶番劇」の仕上げは、候補地選定の次の段階である処分場建設工事の業者選定だった。

処分場建設工事も「植村組」
 kannbann.jpg公社が平成22年10月に総合評価方式で実施した管理型最終処分場「エコパークかごしま(仮称)整備工事」の入札には、大林、鹿島、大成の大手ゼネコンと地場ゼネコンらが特定建設工事共同企業体(JV)を組んだ三つのグループが参加。
 落札したのは、当事者企業ともいえる「植村組」が構成員となったJV(大成・植村・田島・クボタで構成)だった。落札金額は77億7,000万円(税込み)である。

 植村組グループは、二束三文の土地を5億円で県に引き取らせたうえ、巨額な建設工事まで受注していたのである。

 「二束三文の土地」というのには理由がある。処分場予定地には、既に産業廃棄物と見られる「廃棄物」が捨てられており、ビニール製の袋、シート、塩化ビニール製のパイプ、ストーブなど、が見つかっている(記事参照)。汚泥の存在も指摘されており、"建設前から既に処分場"(地元住民の話)といった有り様。こんな土地にまともな値段がつくとは思えないからだ。

さらに「補償金」まで
 gennpatu 949.jpgしかし、植村組グループの利得はこれだけではなかった。
 右の文書は、ガイアテックに対する県の支払額明細を記した文書だが、土地取得費の他に「補償費」とあり、金額は黒塗り非開示。ガイア社にいくら払ったのか県民にも分からない状況となっている。
 公費支出の妥当性が判断できない県政のあり方には疑問を禁じ得ない。
 
 鹿児島県は、「植村組」グループに対し土地代と補償費を支払ったあげく、建設工事費まで献上したことになる。
 植村組グループの植村組グループによる植村組グループのための計画を、県民の税金を使って後押しした形だ。

 事実関係を追っていけば、特定企業グループへの便宜供与と見られてもおかしくない実態なのだが、報じてきたとおり、事業の透明性を担保する公的文書はない。
 これはもう「疑惑」なのである。

つづく



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