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原発マネー、佐賀県メディアにも

2011年8月24日 09:10

 原発立地自治体に流れ込む原発マネーは、様々な形で政治家に還流していた。これまで報じてきたとおり、九州では、佐賀・鹿児島両県の知事はもちろん、国会議員や地方議員にも恩恵をもたらしている。
 一方、「権力の監視」という使命を持つはずのメディア側にも、原発マネーは確実に流れ込んでいる。原発立地自治体である佐賀県の現状を調べると、県を代表する新聞社も例外ではなかった。

佐賀県議への九電マネー
 いわゆる"原発マネー"とは、電源3法交付金(以下、原発交付金)や電力会社から支払われる税金、さらには電力会社が発注する工事費や広告費、電力各社の役員や社員による政治家への献金などを指す。
 22日の記事(『佐賀県と原発マネー』)で、古川康佐賀県知事や九電の関係をチェックする側の佐賀県議会やメディア側にも、原発マネーの影がちらつくと書いたが、翌23日に掲載したのが県議会「原子力安全対策等特別委員会」の委員長だった木原奉文県議(自民。当選5回)への九電幹部らからの献金問題だった。
 同日、開催されたの原子力安全対策等特別委員会は、木原県議の委員長としての適格性をめぐって開会前から紛糾。結局、委員長辞任に追い込まれる事態となった。
 HUNTERの取材に対し、九電側からの寄附を返金すると明言していた木原県議は、23日に騒ぎが大きくなってから一転して返金を否定。県議自身の発言の信頼性にも疑問符が付いた。

原発交付金と佐賀広告センター
 ところで、地方において、首長や議会と同等の権力を有すると思われるのが地元メディアである。
 HUNTERは、立地自治体に原発の是非を判断させることは間違いだということを一貫して主張してきたが、それは、すべての権力主体が原発マネーに汚染されているからにほかならない。ここに、佐賀県との間に交わされた、次のような契約実績が存在する。
 原資は、「電源立地地域対策交付金」、つまり原発マネーである。
(注:事業名、契約相手先、契約金額、契約方法の順)

【平成17年度】
「工業団地分譲促進強化対策事業」(新聞広告) 佐賀広告センター 10,489,000円・随意契約

【平成18年度】
「原子力利用に関する広報事業」(新聞広告原稿) 佐賀広告センター 100,000円・随意契約
        同 上        (新聞広告) 佐賀広告センター 2,174,000円・指名競争
「工業団地分譲促進強化対策事業」(新聞広告)佐賀広告センター 9,033,150円・随意契約
        同 上        (新聞広告)佐賀広告センター 5,453,175円・随意契約

【平成19年度】
「原子力理解促進大会」(企画・運営) 佐賀広告センター 11,520,600円・企画競争
「工業団地分譲促進強化対策事業」(新聞広告)佐賀広告センター 7,885,500円・一般競争入札
「原子力・プルサーマル広報事業」(地域情報誌広告)佐賀新聞社 105,000円・随意契約

【平成20年度】
「原子力理解促進大会」(企画・運営) 佐賀広告センター 12,259,550円・企画競争
     同 上      (地域情報誌広告) 佐賀新聞社 115,500円・随意契約

【平成21年度】
「原子力理解促進事業」(原子力広報番組制作) 佐賀広告センター 3,500,000円・企画競争
     同 上      (地域情報誌広告) 佐賀新聞社 346,500円・随意契約

 「株式会社佐賀広告センター」は、佐賀市に本社を置く広告代理店だが、地元メディアの代表格である佐賀新聞社の関連企業でもある。同社は、平成17年から同21年までの5年間で、原発交付金による佐賀県発注事業のうち、9件、計62,414,975円の契約を得ていた。同様に、佐賀新聞社は3件567,000円である。

 佐賀広告センターの社長は、同社の筆頭株主で佐賀新聞社の社長でもある中尾清一郎氏が兼任しており、本店住所も同じだ。
 佐賀広告センターのホームページに紹介されている「沿革」に、《昭和43年7月、佐賀新聞社からの出向社員を中心に県内初の総合広告代理店として設立》と記されているように、同社と佐賀新聞は一体と見られてもおかしくない関係だ。

 同社が、にわかに注目を集めたのは、今年6月に経済産業省によって制作され、九電「やらせメール」を誘発した原発説明番組「放送フォーラムin佐賀県『しっかり聞きたい、玄海原発』」の制作を行なっていたからにほかならない。

 前掲のように、2度にわたる原子力理解促進大会の企画・運営や、原子力広報番組の制作を請け負っていた同社には、原発説明番組の制作に関する一定の知識があったのではないだろうか。

 いずれにしても、原発マネーが地元メディアに恩恵をもたらしている実態があることは事実だ。

 ちなみに、佐賀新聞社のホームページにある中尾清一郎社長の『社長あいさつ』のなかに、次のような記述があった。

《専門知識を持ったプロのジャーナリストに監視されない行政や組織は必ず自己都合で非効率となり、不採算の仕事や雇用を切り捨てていきます。
もちろん、ローカルのメディアが「権力の監視」で警察のように目を光らせているわけでもありませんし、そんな厳めしいメディアや組織に地域の人たちは親近感を抱かないでしょう》。

 「権力の監視」を二の次にする新聞があることを、初めて知った次第である。
 
 



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