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川内原子力発電所の背景(Ⅲ)

~原発マネー還流~

2011年8月16日 11:10

 先週、川内原子力発電所の立地自治体である鹿児島県薩摩川内市選出の外薗勝蔵県議会議員(自民・当選4回)に、公職選挙法に抵触する寄附を受けていた疑いが浮上したことを報じた(詳細)。
 今年4月に行なわれた県議選で、県の出先である北薩地域振興局から公共工事を受注している建設業者から無償で車両を借り上げ、「選挙運動費用収支報告書」に建設会社側からの『寄附』として記載。公選法が禁止する特定寄附を受けていたとするものである。
 じつは、同県議と寄附をした側の建設業者との間には深いつながりが存在し、両者を含むグループが、川内原発3号機増設問題で共同歩調をとることで、原発マネーによる相互の利益増大を目指すという構図が浮かんできた。

議会発言 
 問題の寄附は、川内原発3号機増設問題の背景を探る中で見つかったものだが、外薗県議は、平成21年3月、鹿児島県議会定例会6日目の本会議において、次のような発言を行なっている。

《少子高齢化が進む中にあって、施設周辺の地域が過疎化していく原因は何なのか。そこで、薩摩川内市より川内原子力発電所1号、2号機の建設に伴う経済効果についての関係の資料を取り寄せてみました。
  建設費1号機約2,787億円、2号機約2,287億円、うち地元の発注額696億円となっております。建設作業に係る従業員については、延べ344万人、うち県内関係者187万人、うち川内市関係118万人。運転、定期検査の従事者数は、九州電力、通常運転及び定期検査のときは、1日当たりでございますけれども、約250人。協力会社、通常運転のときでありますけれども、約500人。定期検査のときにはそれが増員して約1,100人と言われております。
 定期検査の地元発注額は1回当たり約3億円。平成19年までに1号、2号機合わせまして35回定期検査があったと言われております。
 また、電源立地地域対策交付金等昭和51年から平成19年度まで累計額572億円。国から薩摩川内市への直接交付金を含んでおります。
 また、核燃料税─県税でございますけれども─昭和58年度から平成19年度まで累計総額約227億円となっており、薩摩川内市では、1号機着工以来1979年以降、原発の経済効果はおおむね1,690億円と弾き出しております》。

 原発の経済効果を、数字を列挙して明らかにしたものだが、この後に続いたのは、原発交付金や補助金を使った対象事業の拡大と、福井県敦賀市の「若狭湾エネルギー研究センター」をモデルとした原子力発電所及びエネルギーに関する総合研究所建設への提言だった。

 質問の背景には川内原発の3号機増設問題があったことは明らかで、地元団体の言い分を紹介する形で《このような研究センターを川内原子力発電所3号機増設が可能なときには誘致していただきたい》とも述べている。
 3号機増設を前提に、原発交付金による仕事を増やすことや、巨額な費用を必要とする箱モノ建設を県に迫った形だ。 

繰り返された利益誘導 
 gennpatu 026.jpg昨年5月、「川内原子力発電所3号機建設促進期成会」を中心とする48に及ぶ団体から3号機増設への賛成陳情が県議会に提出されるが、これらの陳情書について審議した県議会・企画建設委員会などにおいても、外薗県議は同様の発言を繰り返す。

【平成22年8月25日・企画建設委員会】
《陳情の賛成の方々が異口同音に言われているのは、非常に九州電力が1号・2号に対して安全運転をやって、その評価の上に地元の波及効果があったと言われております。
 薩摩川内市議会でも500億とか600億とか言われる地元に落ちた経済効果というようなことでございますけれども、そういう中にあって、過疎化が進んでいるじゃないかと。それと市街地が衰退しているじゃないかと。そのお金を使った割には、過疎化、高齢化、特に原電を立地している4地区についても非常に高齢化が進んでいるというようなことがございます。
 そういう意味で、今回、3号機増設についての陳情の方々が異口同音に言われているのは、九州電力に対しての三号機の増設に対しての期待感というのが非常に大きいわけでございます。今、中村部長の方からいろいろ、るるお話がございましたけれども、やはり可能な限りに地元活用ということをしていただきたい。
 そしてまた、隣接も含めてやはりしっかりやっていただきたいと思いますけれども、具体的に九電として、私は、ある程度の数値目標ぐらいつくってやっていただきたいと思うんですけれども、そのことが一点。
  それと、やはりこの交付金の使途、これは先ほど経済産業省の資源エネルギー庁の方にも言いましたけれども、九電としてもこの自治体に来る交付金について は、意見を挟むところはできないかもしれませんけれども、具体的にこういうように使うのもいいんだよということぐらいは九電からも提案をしていいんじゃないかと思うわけですよね。
 交付金が国から来るのを、ただ自治体が使うんじゃなくて、やはり直接的に影響を受けている九電さんが、そういう中にも入って、ある程度地元にこういう貢献するのに交付金も使うべきだなというようなことがあると思うんですけれども》

【 同 】
《我々県のほうもやはりもっと住民と向き合って交付金の使い方をやっていかんと、今後原子力発電所というものをつくるに当たって、こんだけのボリュームとこんだけの時間をかけて地域の住民の皆さん方からの意見を吸い上げて、そして膨大な陳情が出てきている中のほとんどが、賛成の方々は地元の振興策と、何とかこの地元の活性化につなげてほしいという形なんですよね。
 だから、やっぱりそういう意味では、目前に迫ったこの原発の増設に向かっていかれるわけですから、この陳情の趣旨というのをよくよく九電としてとらえて、一過性に終わらずに長期的にわたった地元の振興策というのをしっかりと電気事業者として考えてほしいなと強く要望しておきますので、よろしくお願いします》。

【9月24日 定例会本会議】
《今日、現在のところ資源のない日本にとって原子力発電所に頼らざるを得ないのではないかと思うのであります。
 賛成陳情の中に多く要望されているのは、地元振興策や地元雇用の創出であり、地元企業への仕事の受注であります。3号機増設に伴い地元産業への波及効果が見込まれ、地元経済の活性化をもたらすものと確信しているとされております。また、自治体においては、交付金の増額や使途が限定されている交付金を、もっと地域事情に合った有効的、効果的に自由な使途に変更してほしいという意見をよく耳にいたします。
 原子力発電所を立地している都道府県で構成されている諸問題を調査・ 研究し、地域社会の健全な発展に寄与する目的で設立されている原子力発電関係団体協議会があります。 伊藤知事も当然メンバーであり、国にいろいろな形で提言や意見具申をされていると思います。電源3法交付金制度についても、関係自治体の意見を十分に聞き、見直しに反映し、速やかに周知し、立地地域の持続的な発展が図られるように、地域振興支援制度を早急に整備されるよう国に強く要望されておられます。特に、道路、港湾、漁港、消防用施設並びに義務教育施設の五つに限定せず、振興計画に基づく事業全般を対象とし、地域の振興に資する事業まで拡大するよう3号機増設を機にぜひ強く国へ働きかけを一層声を強くし ていただくよう要望しておきます》。

【10月4日・企画建設委員会】
《賛成の方々は、地域振興策というのがやっぱりしっかりしてもらいたいなと思っている。地域をよくしてもらいたいなと。我田引水じゃないけれども、170万県民の中で、あの地域に原子力発電所とともに共存 しながらやっていく何らかの、ほかの地域とは違った地域振興策というのを望んでいらっしゃるのも事実でありますので、増設に当たっては、事業者、九州電力あたりにもしっかりとそのことを伝えながら、県として主体性を持って、地元雇用、地元調達、地元発注については毅然として九電に、そしてまた、国にも、そ して市町村にもしっかりと連携をとっていただきたいと思うんですよね。賛成の方々の多くの陳情がそういうことを書いてあるわけですね》。

 外薗県議が3号機増設を進める立場であることは一目瞭然なのだが、一貫しているのは原発交付金の使途拡大と、3号機建設に伴う地元業者への九電による優遇策である。
 3号機増設と引き換えに、露骨な利益誘導を行なっていたと見られてもおかしくない発言ばかりだった。

外薗グループ
 3号機増設への「賛成陳情」は、昨年10月の県議会で採択され、伊藤祐一郎知事の増設同意へとつながったことは、「九電・川内原子力発電所の背景」で報じたところだが(詳細)、賛成陳情提出団体の中に『(社)鹿児島県産業廃棄物協会薩摩支部』と『西薩クレーン協会』というふたつの団体が含まれていた。陳情書に記載された両団体の住所は同じで、薩摩川内市陽成町1466-1となっている。

陳情第3076号陳情第3077号

 鹿児島県産業廃棄物協会薩摩支部の支部長は、薩摩川内市に本社を置く土木関連業者「株式会社外薗運輸機工」の社長である外薗輝蔵氏。
 西薩クレーン協会会長は同市の産廃処理業「川辰都市環境株式会社」の社長、外薗達蔵氏であるが、達蔵氏は同市の「外薗建設工業」の社長でもある。この「外薗建設工業」こそ、外薗勝蔵県議に今年4月の県議選で公選法に抵触する可能性がある寄附(車両2台の無料提供)を行なった地場ゼネコンだ。
 ちなみに前述の「薩摩川内市陽成町1466-1」という住所は外薗運輸機工の本社所在地である。

 外薗県議は、「外薗運輸機工」の輝蔵氏、「外薗建設工業」及び「川辰都市環境」の達蔵氏の身内である。
 さらに県議は、「外薗運輸機工」と「外薗建設工業」の大株主であるうえ、「川辰都市環境」の取締役を務めていることが県議側への取材からも確認されている。当然、年間に多額の株主配当などを受けていることは言うまでもない。

 外薗県議は、身内が代表を務める業界団体から県議会に提出された3号機増設への「賛成陳情」採択に尽力し、さらには、審議の過程で増設にともなう地元業者への利益拡大を図っていたということになる。

交わる原発マネーと還流の構図
 外薗運輸機工と外薗建設工業が、電源立地地域対策交付金を使った公共事業を受注していたことも分かっている。
 例をあげると、外薗建設工業は平成19年度4,580,000円、平成20年度3,102,000円を、外薗運輸機工が平成20年度に12,555,000円と6,762,000円の公共工事を薩摩川内市から受注していた。いずれも原発交付金を原資とするものだ。

 さらに、外薗運輸機工は、ダム建設などの工事を通じて九電やその子会社の西日本プラント工業からも受注実績があるほか、メディポリス関連工事も受注していた。
 
 メディポリスとは、「メディポリス医学研究財団」(鹿児島県指宿市)が、鹿児島県指宿市で進める「がん粒子線(陽子線)治療研究センター」を中核施設とした新たな地域開発だが、平成20年に伊藤知事が2期目を目指した鹿児島県知事選挙の際に、同財団の理事長で財団設立の中心企業である株式会社新日本科学の社長から伊藤知事陣営に100万円の寄付が渡っていたことが明らかとなっている(詳細)。

収支報告書  収支報告書


 「がん粒子線(陽子線)治療研究センター」へ支給された県の補助金は、原発立地県に交付される「放射線利用・原子力基盤技術試験研究推進交付金」を利用したもので、いわゆる原発マネーのひとつだったことも分かっている。

 原発マネーは、広く浸透し、3号機増設に同意した県議や知事に還流していた形となる。玄海原発と同じような構図が、鹿児島でも展開されていたということだ。

 HUNTERは、原発立地自治体に原発の是非を判断させることは間違いであると主張してきた。鹿児島県や佐賀県の実態を見れば、理解いただけると思うのだが・・・。



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