多くの医療機関や介護施設がマスク不足に頭を抱える中、27万枚に上るマスクの存在をひた隠しにしてきた鹿児島県が、HUNTERの記事配信(⇒「隠されたマスク27万枚 公表拒む三反園鹿児島県政」)直後に10万枚のマスクを医療機関や福祉施設等に配布すると発表した。報道を受け、あわててマスク配布を決めた形だ。
いまだに保管するマスクの総数を明かそうとしない鹿児島県だが、九州・沖縄の自治体は、マスクに関してはどこもオープン。マスク備蓄の状況について調べてみたところ、鹿児島県の対応の鈍さが際立つ結果となった。
■報道受け態度一変
鹿児島県は13日午後、十数項目にのぼる新型コロナウイルス感染症の緊急対策をまとめ公表した。軸になるのは中小企業者向けの融資枠拡大だが、中に「県備蓄マスクの医療機関・社会福祉施設等への配布(10万枚)」という1項があった。
(参考⇒https://www.pref.kagoshima.jp/ab05/kagoshimakenkoronakinkyutaisaku1.html)
HUNTERが、27万枚のマスクを県が隠していたことを報じたのは同日の朝。あわてて緊急対策にマスク配布を加えたらしく、保有しているマスクの総数や具体的にどう配布するのかといった疑問点については、一切触れられていない。詳細は検討中ということだ。
遅すぎる対応だと言わざるを得ないが、マスク不足に陥っている医療機関や介護施設などが助かるのは事実。理屈が先行する役所仕事にならないよう、マスクが無くなっている施設には、時日を置かずに配布するべきだろう。
税金で購入したマスクを県民のために役立てるのは当然で、取り立てて褒められることではない。むしろ、報道されるまでマスクの存在を隠していたことは、三反園県政の失態として県民に謝罪すべきことだ。
そもそも、県の担当課は、12日のHUNTERの取材に対し「マスクの備蓄はしていない。職員用を保管しているだけ」と断言し、「枚数は公表しない」と言い張った。公表された緊急対策で「職員用」ではなく「備蓄」となっているのは、県民の批判を恐れたからに他なるまい。嘘とごまかしの三反園県政らしい顛末である。
■マスク未配布は鹿児島県のみ
では他の自治体の対応はどうか――。福岡、北九州両市及び九州各県の担当課に確認したところ、マスクを備蓄していた自治体は2市4県。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、医療機関などへの配布を行っていた。大分県は、備蓄はしていなかったものの寄附を受けたマスクを配布している。
マスクを大量に保有しながら、その存在を隠し“職員用”と言い張った鹿児島県との違いは歴然。三反園県政の対応は、最低ということだ。