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指宿市長・副市長の非常識 議会否定し場外乱闘

2020年1月30日 09:05

指宿市 市長.jpg 市政批判のチラシを政治活動の一環として配布した市議会議員らに、公費を使って質問状を突き付け、回答してもしなくても公開するぞと脅しつけた鹿児島県指宿市の豊留悦男市長。非常識は市政トップだけかと思いきや、副市長も「議会」と「行政」の関係が理解できていなかった。
 感情に走って市議らに「回答」を迫ったせいか、「公開」の方法も未定。いい加減な形で仕掛けた場外乱闘の趣旨を聞かれた副市長は、素人以下の主張で記者を呆れさせた。
(写真は指宿市役所。円内が豊留市長)

■公開の方法は未定
 地方議員が「市政報告」や「県政報告」を作成して住民に配布することは、行政が抱える問題を分かりやすく説明したり、議員の活動状況を知らせたりするための手立てとして認められており、住民にとっても意義のあることだ。

 ところが指宿市は昨年12月、9人の市議が合同で作成し、市内で配布した地熱発電事業の問題点を示す印刷物に噛みつき、公費を使って質問状を送り付けるという異常な対応に走っていた。

 市長名で発出された質問書の内容は、配布された印刷物の細かい部分について市議らの認識を確認する内容。表紙部分に記された建物のイラスト(下が印刷物の該当部分)について、こうした建築物が実際に建設されると認識していたかどうかを問うという、幼稚なものだった。
(*参照記事⇒「議会無視! 鹿児島県指宿市が市議らに幼稚な質問書」)

004--2.jpg 趣旨も不明確で公費支出の正当性が疑われる内容だったため、質問書で“問い合わせ先”として指定されていた佐藤寛副市長にHUNTERの記者が話を聞いた。

■議会無視、副市長の呆れた主張

――質問書の趣旨について確認したい。
副市長:趣旨は書いてある通り。議員さんのお考えを聞くということですね。

――イラストにある建物について?
副市長:その絵について、議員さんに質問を2点ほどさせていただいたということです。

――よく分からないが、どのような形で回答を公開するのか?
副市長:議員さんから回答をいただいたら、それを取りまとめて公開をしたいと考えているんですけど、公開の方法については、これから検討していかなければいけないと思っているということですね。

――公開方法を決めていなかった?
副市長:はい、はい、はい。

――これから決める?
副市長:いろいろありますからね、公開のやり方は。

――どんなやり方があるのか?
副市長:まあ、議会とかあるし、ネット、広報誌と……。

――議会?もう一度聞くが、この質問の趣旨は?
副市長:印刷物は1万2千世帯に配られたと聞いてます。公の職にある議員さんなので、これについて、どういった趣旨ですかということを尋ねた文章を、執行部の方から出させてもらって……。

――それはおかしい。市議への質問は、イラストにある建築物が実際に建設されると認識していたかどうか。趣旨を聞いたものではないだろう。
副市長:そうです、そうです。

――こんなバカげた質問書を、公費を使って出して、その上公表するということに意味があるとは思えない。そもそも、『回答してもしなくても公開するぞ』などと、脅しととられてもおかしくないやり方だ。
副市長:だって、議会の議員の方々ですよ、公の人。

――公がどうのと言うなら、議会でやれば済む話だ。さっき、回答を公開する方法として、議会と言ったではないか。
副市長:えーっとですね、私たちは、議会の場でも質問に答えてるし。

――だから、議会でやるのが筋だ。
副市長:それは、記者さんにお答えするようなことではないと思いますが。

――あなたの発言は、意味が分からない。あなたが公というから、行政と議員のやり取りなら、議会でやるのが筋だと言っている。そのために議会があるのではないか?
副市長:そうではないと言ってるでしょう。

――なぜ、「そうではない」と言えるのか?議会の意味がなくなる。
副市長:議会の方々が、一般世帯、しかも多くの世帯に発行されている文書ですよということですよ。

――ますます意味が分からない。あなた、おかしくないか?
副市長:ですから私たちは、公費を使ってこれはどういうことですかと、質問について1番、2番でお尋ねしているということですよね。どういった認識で出されたものですかと――。

――大丈夫ですか?それを議会でやるべきだと言っている。
副市長:いや、そうではない。

――あなた、間違ってますよ。
副市長:間違ってない。

 経済産業省の役人から転身したという副市長が、真っ向から「議会」を否定した格好だ。市長の暴走を止める立場の市ナンバー2が、行政と議会のあるべき姿を理解していないのだから話にならない。

 行政の施策をチェックし、役所の内外で問題点を指摘することは議員に与えられた重要な使命である。議会での質問や市政報告などを作成して住民に届けることは、彼らの大事な仕事だろう。議員は、そのために歳費をもらっているのだ。そして議会は、行政側と議員の議論が公開される唯一の場であり、その仕組みは、住民の税金によって支えられている。

 9人の市議が、豊留市政が強引に進めてきた地熱発電事業の問題点を指摘する「市政報告」を作って配布した行為に、責められるところは一切ない。仮に記された主張に誤りがあるとすれば、行政として丁寧に説明し、議論を交わすのが「議会制民主主義」下での、行政と議員のあるべき姿だろう。

 指宿市長が市議らに出した質問書は、単なるイメージに過ぎない「建物イラスト」への“言いがかり”。市議らの主張とは何の関係もないことに因縁をつけて全体を否定するという、幼稚な狙いが透けて見える。下らない場外乱闘に時間と税金を使う前に、さびれた商店街の再生策でも考えるべきではないのか。

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