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自民・萩生田幹事長代行 自民支部「迂回」でふところに業者のカネ

2019年7月31日 08:25

萩生田 安倍-2--3.png 自民党の萩生田光一幹事長代行が代表を務める「自由民主党東京都第二十四選挙区支部」が、平成29年に行われた衆議院議員選挙の期間中に多額の企業献金を集め、その大半を萩生田氏個人に寄附していた問題を巡り、新たな疑惑が浮上した。
 “迂回”によって収入の実態が隠されたため、選挙運動費用収支報告書の虚偽記載が疑われる事態であるにもかかわらず、「適正な処理」だと強弁する萩生田氏の事務所。しかし、個々の献金の中には、「違法性」が疑われるものが含まれていた。
(写真が萩生田氏。同氏の公式HPより)

■萩生田氏個人に流れた「企業献金」
 萩生田氏側の資金処理に公選法上の問題があるのではないかと考えたHUNTERは、同氏に対し、質問書を送る形で取材を申し入れていた。質問書の内容は、以下の通りである。

衆議院議員 萩生田光一様 

 貴殿が代表を務める「自由民主党東京都第二十四選挙区支部」が東京都選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書によれば、同支部は、総選挙が公示された平成29年10月10日から投開票日である22日までのわずか10日間に、月々の定期的なものではなくスポット的な形で、56法人から計約1,800万円あまりの献金を受け取っておられます。衆議院が解散した9月28日からの献金を計算すると、総額は2,000万円を超えております。

 27年及び28年の政治資金収支報告書には、こうしたスポット献金の記載はほとんどなく、29年9月~10月頃の異例な形の政治資金集めは、衆議院選挙のためのものだったと考えるのが妥当です。
 
 実際、同支部は同年9月から11月にかけて「はぎうだ光一選挙対策本部」に対して、6回で計1,600万円の寄附を行っておられます。

問1 こうした事実から、自由民主党東京都第二十四選挙区支部が衆議院の解散後に集めたスポット献金は、じつは選挙運動費用収支報告に、一件ずつ「収入」として記載すべきものだったのではないかと思料いたします。貴殿が都選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」は、集金実態を隠すため虚偽の内容を記載したのではありませんか?

問2 自由民主党東京都第二十四選挙区支部が平成29年10月10日から投開票日である22日までの間に集めた献金の中に、国との請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者又は契約当事者の代表からのものは含まれていませんか?

 これに対する萩生田氏側の回答が下。同氏の“選挙運動資金”収支を記した選挙運動費用収支報告書が適法か否かを聞いたのに、“政治資金”の処理は適正だったとして意図的に的を外した内容だ。木で鼻を括る回答には、誠意のかけらも見られない。

回答1.jpg

 では、本当に適正な政治資金処理だったのか――?萩生田氏の自民支部が東京都選挙管理委員会に提出した政治資金収支報告書の記載の中から、下に代表的な事例を抜き出した。同支部が、総選挙期間中の平成29年10月12日に、選挙区である八王子市内の建設業者から200万円の献金を受けていたことが分かる(*赤い囲みはHUNTER編集部)。
 
萩生田支部2.png

 企業が政治家個人に対する寄附を禁じられているのは周知のとおりで、選挙運動に関しても同じ扱いだ。個人か政党もしくは政治団体でなければ立候補者への寄附はできない。また、個人が選挙運動に関して行うことかできる寄附にしても、法で認められている限度額は150万円まで。建設業者が、会社のカネ200万円を萩生田氏個人に届けることはできない。

 ところが前稿で述べたように、萩生田氏の自民支部は、総選挙(平成29年10月10日公示、22日投開票)の際に集めた企業献金のうちの1,600万円を「萩生田光一」個人に寄附している。このため、本来なら政治家個人としては受け取れないはずの建設会社の200万円が、萩生田氏本人への寄附に姿を変える格好となっていた。

 報じてきたとおり、衆議院が解散した平成29年9月28日から投開票日である10月22日までの、1件10万円以上の自民支部に対する企業献金は2,000万円超。このうち、少なくとも1600万円が、いったんは“萩生田氏のふところ”に入った形となっている。これが「適正」な政治資金処理と言えるのか?

 自由民主党東京都第二十四選挙区支部が総選挙の際に集めた政治資金を巡っては、明らかに法に抵触する疑いのある「個人献金」があったことも分かっている。
                                                       (次稿につづく)



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