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鹿児島・色欲まみれ町長の消せない過去(上)

2019年5月 8日 08:35

南大隅町.jpg 本土最南端・鹿児島県南大隅町の森田俊彦町長に関する疑惑について初めて報じたのは、2013年3月1日。「鹿児島・南大隅町長に収賄の疑い」という見出しの記事で、核関連施設誘致に絡んで電力業界と関係の深い東京の会社代表からモーターボートを貰いながら、否定するために嘘を重ねる同町長の姿勢を厳しく批判する内容だった。以来5年。疑惑の背景を追い続けたHUNTERは、森田氏が問題の会社社長から飲食はもとよりデリヘル嬢派遣というハレンチな接待を受けていたことや、鹿児島市内のマンションに隠し部屋を保有していることなどを次々に報じてきた。
 その度に、HUNTERの取材から逃げ回る森田氏――。昨年暮れには町長初当選時に1,000万円の現金を受け取っていたことが新聞報道で明るみに出たが、森田氏は依然として町長のポストに居座ったままだ。
(写真は南大隅町役場。円内が森田町長)

■残されていた「借用書」
 昨年暮れ、森田町長が町長選に初出馬した2009年1月から選挙が行われた4月にかけて、問題のモーターボートを譲渡した会社代表や町内の男性ら4人から、2回に分けて計1,000万円の現金を“選挙資金”として受け取っていたことが報じられた。資金提供した4人は、高レベル放射性廃棄物(核ゴミ)最終処分場誘致の推進派。商工会長時代から核ゴミ処分場の誘致に積極的だった森田氏を担ぎ出すための、賄賂性の高い資金提供だったとみられている。

 報道を受けて会見を開いた森田町長は、“選挙資金”ではなく「会社の資金繰りのための借金」「すでに返済した」などと主張。疑惑を真っ向から否定したものの、現金のやり取りまで否定することはできず、1,000万円の受領だけを認める形となっていた。現金授受について認めざるを得なかったのは、森田氏に1,000万円の資金を提供した4人のうち少なくとも3人が、同氏から不十分ながら「借用書」をとっていたためだ。下は、そのうちの1枚の写しである。
 
借用書.jpg

 関係者の証言によれば、森田氏への資金提供は2回。2009年(平成21年)4月14日告示、19日投開票の町長選に出馬することを決めていた森田氏が「選挙資金がない」と訴えたため、1月に4人が100万円ずつ400万円を、告示直前の4月3日には町内の男性3人が100万円ずつ、東京の会社代表が300万円を用立てたという。1回目の現金授受は鹿屋市内の焼き鳥屋で、森田氏に同行してきた選対の責任者である元副町長に400万円を預け、2回目は鹿屋市内にある別の日本料理店で森田氏本人に直接渡したという。借用書をとったのは2回目の600万円分だけで、1回目は信用貸しのため、借用書をとらなかったとしている。 

■問われる賄賂性 
 前述したとおり、森田氏の主張は、受け取った1,000万円が「選挙資金ではなく事業資金だった」というもの。しかし、資金提供した4人のうち入院中の一人を除く3人が明快にこれを否定している上、選対責任者だった元副町長まで一連の資金提供が「選挙目的だった」と認めている。たしかに、他人の会社の事業資金を選挙関係者が受け取ることなどあり得ないだろう。当時の選対関係者に話を聞いたところ、1月の400万円は3万円を選挙事務所で使った段階で元副町長から他の選対幹部に渡り、直後に森田氏が理由をつけて397万円を持ち帰ったという。選挙資金と称して受け取ったカネを別のことに使い、返済せずに放置すれば、それは詐欺。そもそも、「事業資金」という説明自体に信憑性がない。

森田1.JPG 森田氏の釈明が怪しくなるのは、100万円の使途が記者会見時の「会社の事業資金」から「組合の事業資金」へと変わっていることだ。森田氏の家業は木材販売。自宅敷地内にある「森田林産」という会社だ(右の写真)。記者会見では、受け取った1,000万円を「会社の運転資金」と説明していた。しかし、資金提供が行われた当時に森田林産の監査役を務めていた人物は、「数百万円単位の借入は記憶にない。森田林産の借入ではないはず」と断言する。元監査役の証言が出ればウソがばれると気付いたのか、森田氏は町議会で当初の説明を変え、自身が代表に就いていた「ベネフィット森林資源協同組合」の事業資金だったと答弁していた。森田氏得意の、細かなウソだ。

 資金使途に関係なく、森田氏が町長選を前に、核ゴミ処分場誘致を進めていた仲間から1,000万円の現金を受け取ったのは確かである。核ゴミ処分場誘致の実現を前提とするカネのやり取りなら、貸し借りであろうと寄附・贈与であろうと、それは贈収賄であり、時効がなければ森田氏は逮捕・起訴されていた可能性もある。

 事件性のあるカネのやり取りであったことは、町長選で初当選した森田氏の翌月の行動でも明らかだ。森田氏は「平成21年5月28日」に、下の内容でモーターボートや400万円もの資金提供をしてくれた東京の会社代表に対し、町長の公印を捺した次の内容の「委任状」を発給していた。

 私は、上記の者を代理人と定め、つぎの権限を委任します。                                          記

 下記各号の施設ないしこれらの施設を利用する事業を鹿児島県肝属郡南大隅町に誘致するため、諸関係先との間で折衝・打ち合わせをし働き掛けをする一切の件。

1 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく特定放射性廃棄物の最終処分施設
  
2 核燃料物質又は核原料物質によって汚染された廃棄物の管理施設および埋設施設

4 原子力発電所

5 発電用原子炉に係る使用済燃料貯蔵施設

6 ウラン濃縮工場、その他の核燃料物質加工施設

7 MOX燃料工場、その他の使用済核燃料物質再処理施設

8 濃縮ウラン貯蔵施設及び加工施設

9 上記各号の施設の管理施設及び関連施設

 低レベル放射性廃棄物から使用済み核燃料まで、ありとあらゆる核ゴミの最終処分場のほか、原発本体まで含んだ核関連施設誘致のための権限一切を会社代表に与える内容だ。そして同月頃、核ゴミ処分場推進派と上京した森田氏が、ある人物の前で決定的な発言を行っていたことが分かってきた。
                                                                
                                                            (つづく)
                      



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