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【福岡知事選】 波紋広げる自民党推薦候補の本籍問題

2019年4月 5日 08:00

001---3.jpg 自民党の推薦を得て福岡県知事選挙に出馬した候補者が、立候補届に“虚偽の本籍”を記入していたという前代未聞の出来事――。HUNTERの報道(参照記事⇒“福岡知事選自民新人、立候補届に虚偽記載 本籍「東京都」を「福岡県”)が波紋を広げ、福岡県選挙管理委員会が、選挙後に経緯の説明を行うことになった。
 県政界関係者からは「立候補届自体が無効ではないのか」、「本籍の虚偽記載など言語道断。そもそも、立候補する資格がない」などと厳しい批判の声が上がっている。

■候補者届出書とは
 公職選挙法は、《公職の候補者となろうとする者は、当該選挙の期日の公示又は告示があった日に、郵便等によることなく、文書でその旨を当該選挙長に届け出なければならない》として、「候補者届出書」の提出を義務付けており、届出書には《公職の候補者となるべき者の氏名、本籍、住所、生年月日、職業及び所属する政党その他の政治団体の名称その他政令で定める事項を記載しなければならない》と規定している。この「候補者届出書」が、いわゆる「立候補届」。下が、今回の知事選で候補者に配られた用紙である(赤い矢印はHUNTER編集部)。どの選挙でもほぼ同じ様式で、本籍は氏名、性別に次いで記入が義務付けれられた重要な確認事項であることが分かる。
 
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 自民党の推薦候補は、「東京都」の住所に本籍を置きながら「福岡県」の住所地を記入していたことが県選管の確認作業で判明しており、選管の指摘がなければ本籍欄は虚偽記載のまま選挙が終わっていたことになる。本籍を間違える人間に公人になる資格があるとは思えないが、選管が本籍の「異動」という形で事実上の修正を認めたため、立候補は有効ということになっている。だが、虚偽の本籍を記入した立候補届が、本当に有効となるのだろうか?

■「異動届」への疑問
 いかなる選挙でも「異動届」の様式は同じ。下は県議選のものである。

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 今回の場合、自民推薦候補が提出した異動届の「移動事項」の欄は“本籍”。4月1日付福岡県公報(号外)に掲載された選挙長の告示(下参照)によれば、「移動内容」の欄の「新」が“東京都”、「旧」が“福岡県”ということになる。

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 しかし、この処理には大いに疑問が残る。そもそも、同候補の本籍は東京都にあったわけで、福岡県の住所地を東京都に移したわけではない。公選法のいう「異動」とは、実際に本籍を変えたことを指すのであって、偽りの本籍を正確なものに修正することを「異動」と見なすのは間違いだ。

 自民党推薦候補の本籍は東京都。「新」でもなければ「旧」でもない。つまり異動ではないというのが真相だろう。「候補者届出書」そのものを修正しなければ、選管が虚偽の届出を認めたことになる。厳格に選挙事務を運用するなら、立候補は成立していないとみなすべきだ。

 各種選挙では、早い段階で説明会が開かれ、立候補にあたって必ず提出しなければならない書類が立候補予定者の陣営に配布される。次に、問題の「候補者届出書」に加え「供託証明書」、「宣誓書」、「戸籍謄(抄)本」、「通称認定申請書」、「選挙運動期間中報酬を支給する者の届出書」、「出納責任者選任届」、「選挙事務所設置届」といった書類に必要事項を記入し、事前審査で選管のチェックを受けるのが通例となっている。届出書類に不備があれば、立候補が認められないことになるからだ。自民党推薦候補の候補者届出書も、当然事前審査を通っていたはずで、その時点では誰も本籍の間違いに気付かなかったということになる。選管側に、“公職の候補者が「本籍」を間違うはずがない”という予断があった可能性が高いが、最大の責任が偽りの本籍を記入した候補者側にあるのは言うまでもない。

■身内からも厳しい批判
 選挙事務を熟知した県政界関係者からは、次のような厳しい批判の声が上がる。
「肝心の候補者届出書に事実と違うことを記入して提出した以上、立候補自体が無効ではないのか。故意か過失かは関係ない。そのいずれも、証明困難なのだから」

 別の自民党関係者も、前代未聞の出来事に呆れ顔。吐き捨てるようにこう話す。
「本籍の虚偽記載など言語道断。そもそも、本籍を間違えるような奴に立候補する資格などない。スタッフのミスで済ますつもりかもしれないが、これは候補者本人の本籍の問題。『知らなかった』では済まないし、そんな人間が県のリーダーになれるわけがない。選挙中であろうがなかろうが、本人が説明すべきだろう。それにしても、選対を仕切っている麻生(太郎副総理兼財務相)さんや大家(敏志)のところの秘書は、なにをやっていたんだろう」

 自民党推薦候補の立候補は無効とするべきではなかったのか――。4日、福岡県選挙管理委員会に確認を求めたところ、同選管は「選挙期間中のことであり、これ以上詳しい話はできない」とした上で、「会見という形になるかるかどうかは別として、選挙後に詳しい経緯の説明を行う」と明言している。



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