初当選した知事選で掲げた「県政刷新」も「原発反対」も真っ赤なウソ。県民をだました三反園訓鹿児島県知事は、前知事時代にリコール運動の発端となった総合体育館(スーパーアリーナ)構想を復活させるなど、新たな利権の創出に余念がない。
当然、リコールの対象となったその他の事業も放置されたままで、100億円かけて整備した産業廃棄物の管理型最終処分場が事実上の赤字になるなど事態が悪化する一方となっている(昨日配信)。
批判を受けながら、エリート養成を目指して開学した全寮制男子校も、深刻な定員割れに苦しんでいた――。
■年々減る受験者
鹿児島県肝付町にある「楠隼(なんしゅん)中学・高校」は、2015年4月に開校した県立の中高一貫校だ。公立では珍しい全寮制の男子校としてエリート養成を目的とする同校だったが、開学以来、定員を満たしたのは初年度だけ。翌年度から高校の出願者が激減した(下の表参照)。初年度を別として高校の定員は90名。中学が1学年60名で、高校への持ち上がり人数を差し引いた数がその年の入学定員となる。
数字を見る限り、初年度こそ中学・高校ともに高い出願倍率となっているが、楠隼高校のほうは翌16年度から早くも定員割れを起こし、以降はずっと同じ傾向だ。18年度は、楠隼中学からの進学者50人がいるため定員は40人となったが、出願者数は11人と17年度から半減。出願倍率も0.28倍と、母数となる定員が減ったにもかかわらず前年度より低下するという惨憺たる状況となっていた。
今年度は、90人の枠のうち49人が楠隼中学からの進学で41人が募集定員。2月5日の入試に12人が応募し倍率は0.29倍となっていたが、合格者は7人だった。昨年同様再募集の出願者がいなかった場合、高校の入学者は中学からの持ち上がり49人に新規合格者7人を加えて56人。90人の枠に対して62%の充足率となる。この場合、定められた3学級ではなく1学級減の2学級になる。
一方、楠隼中学のほうは出願者数を見る限り、なかなか健闘している状況。だが、それでも出願者数は年々減少傾向にあり19度は1.75倍、先行きの不安は拭えない。さらに、昨年度は10人、今年度は11人が別の高校に進学しており、ただでさえ少ない高校の在学者数が、より減っていく原因となっている。
■教育界からも厳しい批判
ある県立高校の関係者は、楠隼を取り巻く現状について次のように話している。
「在校生がいることを考えると心苦しいのですが、県が巨額の税金を投入して強引に開校した楠隼が、大幅な定員割れと退学者続出の状態でいいわけがありません。昨年は現役の東大合格者が複数いたということですが、それは言い訳にはならないでしょう。明らかな不平等を生んでいるからです。
鹿児島県の教育環境は他県に比べてかなり悪く、例えば公共交通機関そのものが少ないという現状があります。公立校では施設の老朽化が顕著で、児童・生徒数の増加に対応できていない小中学校もあります。予算が足りないのに、県は楠隼だけを特別扱いしてきました。その楠隼が大幅な定員割れ――。多くの教育関係者が、楠隼の先行きに懸念を抱いています。三反園知事は、当選直後の県議会で、楠隼について見直すと言っていたはず。何もしないというのであれば、あまりに無責任ということでしょう。県政刷新はどうなったのか!」
(以下、次稿)