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違法な名護市長選挙収支 報道受け修正
後援会収支報告は未修正

2018年12月20日 08:15

DSC05606-thumb-240xauto-23510.jpg 安倍政権の全面支援を受け、今年2月の名護市長選挙で初当選した渡具知武豊市長の陣営が、収入の実態を隠し同市選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」に虚偽の記載を行っていた問題で、同陣営が今月7日に報告書の記載内容を修正していたことが分かった。
 渡具知氏の選挙収支は修正されたものの、同様に不適切な記載を行っていたことが明らかになっている市長の支援団体「とぐち武豊後援会」の政治資金収支報告書は未修正のままで、陣営全体のカネの動きは不透明なままだ。(写真が渡具知市長)

■つじつま合わせの修正
 渡具知陣営が名護市選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」及び支出を証明する領収書の写しなどによれば、同陣営の支出は全部で85件。このうち45件分203万8,249円の支出が、原資がない期間に支出された形となっており、公職選挙法に抵触する状態となっていた。11月22日と今月5日に取材結果を報じ、選管に報告書記載内容の確認をするよう求めていた。下が、修正前の報告書である。

20181122_h01-01.jpg(参照記事⇒「安倍政権が支援の名護市長陣営に公選法違反(虚偽報告)の疑い」・「政権支援の名護市長選挙収支 虚偽報告濃厚に

 18日、名護市選管は渡具知市長側が報告書の修正を行ったことを認めたうえで、次のように追加と削除があったとしている。

【追加記入】
・収入として「自己資金2,500,000円」(昨年12月5日付)を追加

【削除と追加】
・自己資金36,737円を削除
・収入総額「4,536,737円」を削除し「7,000,000円」に

 原資がない状態で支出が行われていたのは、昨年12月5日から1月29日までの期間だ。修正前の報告書では、初の収入となった「自民党名護市支部」から受けた400万円の寄附日が「1月31日」となっており、「12月5日~1月29日」の支出は不可能だった。このため市長側は、収入と支出のつじつまを合わせるために、12月5日に自己資金250万円の入金があったことにしたものとみられる。

■晴れない陣営全体への疑惑
 通帳の記載などを確認することができないため修正内容が正しいのかどうか判断することはできないが、一連の動きを見る限り、信頼性に欠ける収支報告であるのは確か。渡具知陣営全体の資金の流れも、不透明だと言わざるを得ない。公職選挙法の規定に基づく「選挙運動費用収支報告書」は修正されたが、渡具知氏の支援団体「とぐち武豊後援会」の違法な政治資金収支報告書が未修正のままだからだ。
(参照記事⇒「渡具知名護市長の後援会 政治資金収支で虚偽報告」)

 「とぐち武豊後援会」が沖縄県選挙管理委員会に提出した平成29年分政治資金収支報告書によれば、この年の収入は、記載のある「自由民主党名護市支部」からの500万円と事務所開き会費として別のページに記載のある15万1,500円だけ。主な収入となった「自民党名護市支部」からの500万円は12月12日に入金されている。

 一方、支出総額は計512万7,993円。人件費や事務所費などの経常経費が149万4,845円で、政治活動費が363万3,148円だった。最初の支出である15万2,000円の印刷費が「8月29日」、14万8,000円が「9月12日」、最後の27万8,640円が「10月11日」となっている。

 前述した通り、自民党名護市支部からの500万円は12月12日の入金だ。3件の印刷費支払い時には、原資が大幅に不足していたことになる。渡具知氏の選挙運動費用収支報告書同様、原資がないのに支出が行われた形だが、沖縄県選挙管理委員会は19日現在、とぐち武豊後援会の政治資金収支報告書は「修正されていない」としている。

 後援会活動を含めた大半の選挙用資金を、自民党のカネで賄った渡具知陣営。資金の流れは依然不透明で、違法の疑いは消えていない。



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