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政権支援の名護市長選挙収支 虚偽報告濃厚に

2018年12月 5日 07:15

okinawa.jpg 今年2月の名護市長選挙で初当選した渡具知武豊氏の「選挙運動費用収支報告書」に、収入の裏付けがない支出が多数存在していた問題で、渡具知氏を支援した政党や政治団体の政治資金収支報告書(29年分)にも、該当する寄附支出の記載がないことが分かった。
 渡具知市長の選挙収支は今月3日の段階でも修正されておらず、公職選挙法が禁じる虚偽報告の疑いが強まった形だ。
(写真は名護市役所。円内が渡具知市長)

■原資ないのに多額の支出
 渡具知陣営が名護市選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書によれば、市長選における渡具知陣営の収入は3件計453万6,737円。このうち400万円が、「自由民主党名護市支部」からの寄附だった。自民支部から400万円の寄附を受けたのが今年1月31日。翌日2月1日に名護市の政治団体「暮らしを豊かにする会」から50万円の寄附、2月3日に渡具知氏個人の“自己資金”が36,737円入金されていた。選挙資金の大半を自民支部のカネに頼った格好だ。

名護市長選挙収支.jpg

 一方、支出は全部で85件。このうち45件分203万8,249円の支出が、原資がない「12月5日から1月29日」までの支出となっていた。支出総額の約45%が出所不明の選挙資金で賄われていたことになるが、一体、どこからのカネで選挙費用を支払ったのか――。(*下が、原資がない支出の例)

名護市長選挙収支2.jpg

■見当たらない渡具知氏への寄附
 支出との整合性を図るためには、「12月5日」以前の入金がなければならない。そこで、先月30日に総務省及び沖縄県選挙管理委員会が公表した、関係団体の政治資金収支報告書を確認した。

 まず確認したのは、渡具知氏支援に総力をあげた自民党の現地組織「自由民主党名護市支部」の政治資金収支報告書。同支部が県選管に提出した平成29年分の報告書のうち、政治団体への寄附を記したページは、下の通りだった。

名護市支部寄附.png

 12月5日に渡具知氏の支援団体「くらしを豊かにする市民の会」に対し408万円、12日に「とぐち武豊後援会」に対し500万円、同月18日には再び「くらしを豊かにする市民の会」に500万円、22日にも市民の会に300万円と手厚く資金を投じているが、渡具知氏本人への寄附はない。市民の会や後援会から渡具知氏に45件分203万8,249円の支出を賄う資金が渡ったとも考えられるが、両団体の政治資金収支報告にも、渡具知氏本人への寄附の記載はなかった。

 同様に、渡具知氏を支援した「自由民主党本部」、「自由民主党沖縄県支部連合会」の報告書を調べたが、渡具知氏本人への寄附は、昨年10月6日に自民党沖縄県連が支出した「10万円」だけ。「12月5日」以前の選挙運動費用が、どうやって捻出されたのか分からないままとなっている。

 現段階で、昨年12月5日以前に渡具知氏に400万円を寄附した政党、政党支部、政治団体はなく、同氏陣営の選挙資金がどこから出たのか不明のままだ。強まる虚偽記載への疑い――。3日、整合性のない選挙収支について市長サイドに確認するとしていた名護市選管に取材したところ、「報告書の修正はない」とした上で、「市長サイドからの連絡を待っている」と答えている。

 現職市長陣営の違法行為に対し、及び腰になったとしか言いようのない市選管の態度。ただ、その後の調べで、自民・渡具知陣営の虚偽報告が、市選管レベルの問題では済まない大がかりなものであることが分かってきた。明日から、その詳細を報じていく。



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