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安倍政権が支援の名護市長陣営に公選法違反(虚偽報告)の疑い

2018年11月22日 07:35

DSC05606-thumb-240xauto-23510.jpg 今年2月に行われた名護市長選挙で初当選した渡具知武豊市長の陣営が、収入の実態を隠し、同市選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」に、虚偽の記載を行っていた疑いがあることが分かった。
 陣営の収入受付日と支出日の記載に大きな矛盾があり、資金がないのに多額の支払いを行った形。陣営の出納責任者に事実関係の確認を求めたところ、「その件については答えられない」として取材を拒否している。
(写真は、街頭演説する渡具知名護市長)

■原資ないのに多額の支出
 HUNTERが名護市選管に情報公開請求して入手した渡具知陣営の「選挙運動費用収支報告書」及び支出を証明する領収書の写しなどによれば、同陣営の収入は3件計453万6,737円。このうち400万円が、「自由民主党名護市支部」からの寄附だった。この400万円の収入があったのは今年1月31日付で、翌日2月1日に名護市の政治団体「暮らしを豊かにする会」から50万円の寄附、2月3日に渡具知氏個人の“自己資金”が36,737円入金されていた。選挙資金の大半を、自民党のカネに頼った格好だ。

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 一方、支出は全部で85件。このうち45件が12月5日から1月29日までの支出だった。下は、12月に集中した支出が並ぶ収支報告書の一部である。

名護市長収支 001.jpg
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 1回目の入金が「1月31日」。すると、12月5日から1月29日までの支出は、原資がないまま行われたことになる。こうした支出は、45件分203万8,249円に上っており、支出総額453万6,737円の約45%が出所不明の選挙資金で賄われた形だ。

 あり得ない格好の収支報告となった原因は、1月30日以前にあった収入を隠したか、入金日を間違えたかのどちらか。だが、支出との整合性を図るための入金は「12月5日」以前でなければならず、単なる記載ミスで片付けることが難しい状況だ。すると考えられるのは悪質な収入隠し。収支報告自体が虚偽だった可能性が濃くなる。

 公職選挙法は、公職の候補者の選挙運動に関しなされた全ての寄附及びその他の収入並びに支出について収支報告書に記載するよう定めており、虚偽記載などの違反を犯した場合は3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金となる。

■選管も認めた報告書の瑕疵 市長側は取材拒否
 収入と支出の記載で辻褄が合わない渡具知市長陣営の選挙運動費用収支報告書は、虚偽記載が疑われる状態ではないのか――。21日、名護市選挙管理委員会に取材したところ、選管側も市長陣営の収支報告書に瑕疵があることを認めている。

 選管を通じて市長側に事実関係の確認を求めたが、市長側は「調べるのに1週間以上かかる」と回答を保留。同日夜、渡具知市長陣営の出納責任者に話を聞こうとしたが、「その件については答えられない」として取材を拒否している。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非を争点にした2月の名護市長選挙では、移設反対派で3選を目指した「オール沖縄」系の稲嶺進氏=民進、共産、自由、社民、沖縄社大推薦、立憲民主支持=と、政府・与党が推した移設容認派の渡具知氏=自民、公明、維新推薦=が激突。安倍政権は、菅義偉官房長官や二階俊博幹事長のほか、人気者の小泉進次郎氏を名護市に投入するなどして総力戦を展開していた。



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