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「雄川の滝」の南大隅町 町長資産報告の嘘八百

2018年10月 3日 09:00

mo2.jpg 大河ドラマ「西郷どん」のタイトルバックに使われたことで人気の「雄川の滝」がある鹿児島県南大隅町の森田俊彦町長が、鹿児島市内に保有するマンションの存在を隠し資産報告書に記載していないかった問題で、同町長が先週、HUNTERの報道を受け資産報告書を修正していたことが分かった。
 南大隅町役場総務課によれば、修正で加わったのは鹿児島市武2丁目にあるマンションの一室と区分所有の土地。さらに、錦江町にある9筆の土地も未記載だったとして追加修正されている。
 問題は、この経緯についての町役場と森田氏の反応だ。 

■鹿児島市内に隠し部屋
 森田町長が隠し続けてきた物件は、鹿児島中央駅から歩いて5分ほどの同市武2丁目にあるマンションの一室。不動産登記を確認したところ、昭和61年(1986年)に森田氏本人が売買によって取得していた。(*右が登記簿。赤い囲みはHUNTER編集部)

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 森田氏は、同マンションの部屋を頻繁に利用。鹿児島市内での出張用務を済ました後でマンションの自室に直行し、着替えて天文館などの歓楽街に出かけていたことを、HUNTERと福岡市のニュースサイトNET-IBの合同取材班が確認していた。

 南大隅町の「政治倫理の確立のための南大隅町長の資産等の公開に関する条例」は、町長が毎年12月31日の時点で保有する土地、建物、預・貯金(普通貯金を除く)、有価証券、自動車、船舶、美術工芸品などの他、貸付金、借入金、収入などについても翌年の4月30日までに作成する報告書に記載するよう規定。先月14日に町役場で、5年となっている保存期限内の平成26年から30年までの資産報告書を閲覧したが、問題のマンションの部屋は記載されておらず「条例違反」の状態だったため、同町総務課に事実関係を指摘し、一連の経緯を9月18日に報じている。(⇒「南大隅町長が鹿児島市内のマンションに隠し部屋」)

■相変わらずの嘘八百
 2日、南大隅町の総務課に確認したところ、先月28日に森田町長が、問題のマンションの部屋と区分所有の土地を追加する形で、過去5年間分の資産報告書を修正。さらに、鹿児島県錦江町にも9筆の土地を保有していたとして追加されたことを認めている。

 問題は、明らかな条例違反についての町の対応だ。森田町長にコメントを求めていたが取材拒否。町総務課は「町外の資産について、町長と町の双方が確認不足だった」と言うが、「確認不足」は後付けの言い訳。到底信じられない。

 先月14日に同町総務課で森田氏の資産報告書を閲覧した際、報告書に記載すべき資産が“町外保有分も含むすべての保有資産”であることを確認している。総務課は、報告対象を「すべての保有資産」であると明言しており、「町が確認不足」だったというのは明らかな虚偽だ。森田氏への忖度なのか、そうコメントするよう命じられたかのどちらかでしかない。

 町長自身が「確認不足」だったということもあり得ない。資産報告を作成する際、年中使っている自分のマンションの存在を忘れるとは考えにくいからだ。未記載が5年以上続いていることから、意図的に隠したと見る方が自然で、「忘れていた」「報告書の作成を人に任せていた」などといった言い訳は通用しない。

 森田町長は、鹿児島市内への出張の度に町や公的団体が旅費として支給する宿泊費10,000円を受け取っており、その回数は2016年4月から今年8月までの間で少なくとも73回にのぼる。自己所有のマンションに宿泊しながら、当然のように宿泊費を受け取り、それ遊興費に充てていた形だ。マンションの部屋を隠していたことと合わせ、町長としての説明が求められる状況だが、森田氏は取材に応じておらず対応を役場職員に丸投げしている。

 何度も報じてきたが、森田町長を巡っては、放射性廃棄物(核ゴミ)の処分場誘致に絡んで電力業界の関係者から数十回に及ぶ接待を受けていたことや、東京出張の際の宿泊先ホテルの自室に、業界関係者提供のデリヘル嬢を招き入れていたことが分かっている。カネとオンナ、隠し財産に嘘八百――。この男に、公人としての資格はあるまい。



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