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防衛省馬毛島担当職員の異常反応 携帯への取材を「犯罪」と激高
「知る権利」無視する組織体質を露呈

2018年7月18日 08:35

0718_bouei.jpg 米軍と自衛隊の訓練用地を取得するため、民間企業をつぶしにかけ、鹿児島県西之表市の馬毛島を取り上げようと画策していることが明らかとなった防衛省(参照記事⇒「【防衛省の陰謀】「馬毛島」所有企業の破産を煽る産経新聞」)。話を聞こうと電話した同省の担当職員は、驚きの理由で取材を拒否した。
 職員の携帯に電話を入れたところ、「この番号を誰に聞いた」と激高し、最後は記者を犯罪者扱い。「そんなこと知るか」「取材もなにもない」として質問さえ受け付けようとしなかった。
 自衛隊の日報問題で隠蔽体質を露呈させた同省だが、国民の知る権利に応えようという姿勢はまったく見えてこない。

■浮上した疑惑
 馬毛島の土地の9割以上を保有しているのは、「タストン・エアポート」(旧社名:馬毛島開発)。鹿児島県出身の立石勲氏が創業した立石建設株式会社(東京都)の子会社である。

 2016年11月にタストン社と防衛省が、米空母艦載機の離発着訓練場の移転先候補地として、島を買い取る交渉に入ることで合意したが、そのタストン社側の評価額と防衛省側の評価額が大きく離れていたため、買収交渉が難航していた。

 防衛省側の担当は、防衛省地方協力局の上楽重治調達官。馬毛島の買収交渉に、早くから関わってきたノンキャリアである。3億6,000万円の債権を盾に、東京地裁にタストン社の破産申し立てを行った埼玉県八潮市の「益田建設」との間で、何らかの裏取引があった疑いが浮上したため取材する必要が生じていた。聞きたいことは一点だけ。益田建設の代表者と会ったことがあるか、ないかだ。防衛に関する重要事項だが、土地を買うにも防衛施設を造るにも原資は税金。上楽調達官には、答える義務がある。

 ところが、防衛省に取材を申し入れたところ、上楽氏は「取材対応は地方調整課の職員に――」として事実上の取材拒否。地方調整課も、まともに取材に応じる気配さえなく、連絡するよう頼んでも返信さえなかった。はやり上楽氏本人に話を聞くしかない。

■驚きの理由で取材拒否
 16日、上楽氏の携帯に電話を入れたところ、「誰にこの携帯の番号を聞いたのか」「個人情報じゃないか」の一点張り。ついには、携帯の番号を上楽氏の関係者から聞いて架電したことを「犯罪じゃないか」と言い出した。情報源をペラペラしゃべる記者などいないことが理解できていないのか、意図的に話を逸らしているかのどちらかだろうが、彼が国家公務員である以上、国政に関する話を聞かれたら一定の範囲で答えるのが筋。取材に応じられないのならハッキリそう言えばいいものを、携帯にかけたことが「不愉快」だから、「俺は話さない」「そんなこと知るか」「取材もなにもない」のだという。

 論理破綻というべきだが、「私の携帯を知っているのは限られた人だけ」と言いながら、“あなたは、ずいぶん多くの方に自分の電話番号を教えてるじゃないですか”と反論したところ、「友人は知っている。当り前じゃないか」――。この程度の人物が、国防上重要な基地用地買収の責任者だというのだから、開いた口が塞がらない。

 上楽氏に確認したかったのは、タストン社の破産申し立てを行った益田建設の代表者と会ったことがあるか、ないかの一点だけ。防衛省にも取材の趣旨は伝えてあったし、上楽氏との電話の中でも、度々そう問いかけた。この小役人は、聞かれた内容を承知した上で回答を避け、どうでもいい携帯番号の話にこだわってみせたのだろう。姑息とは、こういうことを言う。

 それにしても“程度”が知れる対応だった。はじめから居丈高。何度「ケンカ腰にならないで下さい」と頼んでも、人の話にかぶせて自分の主張だけを繰り返す。やり取りの途中からは、「私」ではなく「俺」に変わり、「あなた」は「あんた」に格下げされた。

 長い取材活動のなかで、多くの政治家や役人の携帯に電話してきたが、「よく私の携帯が分かったね」と言われることはあっても、その先まで詮索されたことなどただの一度もない。報道する側とされる側の関係とはそうしたものだろう。必要とあらば、公人か私人かを問わず、自宅を訪ねて取材することもある。携帯にかけたぐらいで人を犯罪者扱いする上楽氏の対応は、ハッキリ言って異常。公人としての自覚は、まるっきり備わっていない。

 電話取材の終盤、訳の分からないことをまくしたて始めたため「こら、無礼なことばかり言うな。あなたは公人だろう」と一喝したところ、上楽氏は一方的に電話を切ってしまった。

■産経への情報リークこそ犯罪
 産経新聞は15日、防衛省が馬毛島を海上・航空両自衛隊の拠点として活用する方針を固めたとするスクープ記事を、1面トップで大々的に報じた。まだ公式発表されていない「国防」に関わる情報だが、情報源は明らかに防衛省の内部。自身の携帯の番号が知れたことを「個人情報だ」「犯罪だ」と騒ぐ上楽氏だが、防衛省職員による情報漏えいの方が、よほど大きな問題ではないのか――。



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