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自衛官が酔って女児に破廉恥行為 1か月以上未公表
関係者にかん口令

2018年12月11日 07:10

0718_bouei-thumb-270xauto-25028.jpg 今年10月、鹿児島市を出航して奄美大島に向かっていたフェリーの船内で、酒に酔った陸上自衛隊の3等陸曹が女児の体を触るなどして船員に身柄を確保されていたことが分かった。複数の自衛隊員が同船し、訓練に向かう民間船舶の中で起きた事件だという。
 国民を守るはずの自衛官による女児に対する破廉恥事件だが、自衛隊は「調査中」を理由に1か月以上も事件を公表しておらず、隠ぺいを疑う関係者の間から批判の声が上がっている。

■口をつぐむ、学校関係者
 フェリー内で女児の体を触るなどして身柄を確保されたのは、陸上自衛隊飯塚駐屯地(福岡県飯塚市)に所属する3等陸曹の男性(29歳)。訓練に向かうため他の隊員らとともに乗船していたとみられ、事件を起こした際には飲酒して酩酊状態だったという。就寝中の女児の体を触った後も船内を徘徊しており、「その姿が防犯カメラに残っていた」(関係者の話)という。

 陸上自衛隊西部方面隊(熊本市)の広報部は、HUNTERの取材に対して事実関係を認めたうえで「処分に関しては部隊で必要な調査を行っている段階で、事実の確定ができていない。事実確認を行ったうえで関係諸規則に照らして厳正に対処する。警察も捜査中だと承知している」としている。

 女児の通う学校では、この事件について「かん口令」が敷かれており、対応に出た校長は「いかなる質問にもお答えできない」と回答を拒んでいる。

 事件の概要を学校関係者から聞いたというある鹿児島県内の男性は、一連の対応についてこう話している。
「『女子児童の将来を考えて』という理由で、学校関係者にかん口令が敷かれている。仕方がないと思う反面、事件がうやむやにされることに怖さを覚える。警察も生ぬるい対応だ。3等陸曹とその上官が関係者に謝罪したと聞いているが、それで終わりというわけにはいかない。自衛隊は、訓練を行う部隊の隊員を民間の船舶で移動させており、一般人も同船する機会が増えた。もっとも恐れていたことが起きたということだ。本来なら、報道の前に自衛隊が事件を公表すべきで、隠蔽を図ったと言われてもおかしくない展開だろう」

■軍事化が進む鹿児島県内の島々
 防衛省は中国の軍備拡大路線に対抗するためとして、2019年4月をめどに奄美大島に陸上自衛隊部隊を配備する計画を進めており、奄美群島唯一の市である奄美市と、奄美大島の南端・瀬戸内町では配備計画に沿った造成工事などが進んでいる。配備計画によると「奄美駐屯地」(仮)には約350人、「瀬戸内分屯地」(同)には約210人の人員が配置される予定で、武装ゲリラ侵攻への初動対処を担う部隊を置き、中距離地対空ミサイル部隊(奄美市)や地対艦ミサイル部隊(瀬戸内町)も併設される。

 一方、市民の間には、大規模な環境破壊の可能性や平和的生存権の侵害を訴えて、部隊配備に反対する声も根強い。今年6月4日には、民間空港である奄美空港に米空軍輸送機「CV22オスプレイ」1機が緊急着陸したあと、7月4日に離陸するまで1カ月にわたって「居座り」(駐機)。米軍側から十分な説明がなかったこともあって住民の不安を煽っていた。奄美空港へのオスプレイ緊急着陸は、これまで3度に上っている。

 奄美と沖縄は戦後の一時期に米軍統治下にあったため、住民の一部には「琉球列島は戦争の時には本土にいいように利用されて、最後には捨てられる」という、ヤマトンチュー(本土人)に対するぬぐい難い不信感もある(1953年に奄美、1972年に沖縄が復帰)。しかし、自衛隊配備が一定の雇用や消費の拡大をもたらすのも事実で、「自衛隊員による問題行為や犯罪行為は大きく報じにくい」(地元紙記者)のが現状だ。急激な人口減と高失業率に悩まされてきた奄美にとって、「自衛隊」は特に政治的でナイーブな問題になっている。

 鹿児島県内の離島を巡っては、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP:タッチアンドゴー)の候補地としても注目される西之表市馬毛島を、防衛省が海上・航空両自衛隊の拠点として活用する方針を固めており、島の買収交渉が進行中。国防を目的とした軍事要塞化によるいびつな繁栄か、美しい自然の残る平和な島か――。奄美をはじめとする南の島々が岐路に立たされる中、民間の船舶で起きた自衛官の女児への破廉恥行為が波紋を広げそうだ。



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