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【防衛省の謀略】 馬毛島所有企業つぶしに職員暗躍
債権者利用して破産を画策

2018年8月23日 08:10

0718_bouei-thumb-270xauto-25028.jpg 鹿児島県西之表市の馬毛島に米軍や自衛隊の基地を建設する方針を固めた防衛省が、同島の土地の9割以上を所有する「タストンエアポート」(旧社名:馬毛島開発)を破産に追い込もうと画策している疑いが濃くなった。
 これまで、タストン社をつぶして土地を安く手に入れようとしていた防衛省の調達官が、破産申し立てを行ったタストン社の債権者に接触していたことが分かっていたが、新たに同調達官が別の債権者にも接触していたことが判明。さらに、今月に入って別に破産申し立てを申請した不動産コンサル会社の代表が、元防衛事務次官と東大の同期生であることが分かった。

■担当調達官がタストン社の債権者と次々に接触
20180516_h01-01-thumb-autox447-24420.jpg タストンエアポートは、鹿児島県出身の立石勲氏が創業した立石建設株式会社(東京都)の子会社。タストン社が保有する馬毛島を巡って、金融が本業としか思えない怪しげな住宅建設会社「益田建設」(埼玉県八潮市)が、約3億6,000万円程度の債権を理由に東京地裁に破産の申し立てを行っていた。

 HUNTERの取材で、馬毛島取得を担当していた防衛省の前調達官・上楽重治氏が、益田建設の代表者と接触していたことが、残された録音データや関係者の証言で明らかとなっている。

 省内の聞き取りに「益田建設とは会ったこともない」と答えていた上楽氏は、時期を前倒しする形で今年8月初めに退官。しかしここに来て、同氏がタストン社の別の債権者とも接触していたことが明らかとなった。省内の聞き取りにも、接触の事実を認めていたという

 防衛省の交渉相手はタストン社。同省の幹部が、民間企業のの債権者と接触する必要性は一切なく、タストン社への揺さぶりや、破産申し立てを勧めることが目的だったとみられている。

 益田建設がタストン社に返済を求めていた債権3億6,000万円については、タストン社側が全額を供託。しかし、なぜか益田建設は返済金を受け取ろうとせず、裁判所の審理が続く状況となっていた。

■急展開の裏に防衛省の影
 事態が動いたのは今月16日頃。地裁が破産手続きの開始決定に消極的な姿勢を示したせいか、益田建設は突然、供託された3億6,000万円を受け取っていた。

 怪しい展開となるのは、ここから。同日付けで、別の債権者がタストン社の破産を東京地裁に申し立てたのだ。債権額は3億円を超える程度だとされるが、一連の動きについて「絵を描いたのは防衛省」と断言する関係者もいる。

 じつは、新たにタストン社の破産を申し立てた不動産コンサル会社の代表者は、防衛省の元事務次官で現在は防衛大臣政策参与に就任している西正典氏の東大同期。関係があるのは確かで、きな臭さが漂う。

 HUNTERの取材によれば、今月になって出された不動産コンサル会社による新たな破産申し立てについて、防衛省側は申し立てがなされる以前にその動きを知っていたことが確認されている。報道関係者でさえ掴んでいない事実を、なぜ防衛省側が事前につかんでいたのか――。益田建設のケースでも明らかなように、同省の人間が不動産コンサル会社と接触していたからに他ならない。

■問われる防衛省の姿勢
 タストン社と防衛省は2016年11月、米空母艦載機の離発着訓練場の移転先候補地として島を買い取る交渉に入ることで合意しており、あとは金額の詰めを待つだけの状態だ。ただし、現在滑走路となっている部分の造成費やこれまでの維持管理にかかった経費を上乗せして数百億単位の契約金額を提示したタストン社と、数十億円を主張する防衛省側との溝は埋まっていない。(*下が馬毛島

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 防衛省の言い分としては、森友学園問題を受けて、証明可能な土地代でなければ契約できないということらしいが、馬毛島は国有地ではなく民間企業の土地。単純に役所側がはじいた都合のいい鑑定額が優先されるものではない。森友が取得した小学校用地は国民の財産である国有地。そこを政治家の顔で格安にしたことが問題なのであって、民間企業が必死に維持してきた土地を同一視するのは間違いだろう。

 240億円といわれるタストン社の債務について、立石建設グループ内の債務が混在しているという批判的な見方もある。しかし、民間企業が数十年にわたって広大な島を維持管理していくためには、様々な投資が必要だったのは事実。さらに、タストン社は馬毛島の土地を保有しているだけで、利益を生み出す事業を行っているわけではない。負債が多かろうと、国が「馬毛島を売ってくれ」というのなら、真摯な姿勢でタストン社側と交渉すべきだろう。

 相次ぐタストン社に対する破産申し立ての背景に、防衛省の存在があるのは確かだ。タストン社の債権者と防衛省の幹部が度々接触しているのがその証だ労組。国が“防衛”を盾に謀略を巡らし、民間企業をつぶそうとしているのだとすれば、銃剣とブルドーザーで沖縄の土地を奪った米軍とかわりはあるまい。

 5年も6年も先になるというイージス・アショアの設置にかかる費用は6,000億円超。米国の言いなりに多額の税金を投入しようとする政府が、なぜ馬毛島を守ってきた自国の企業のこれまでの努力を無視するのか分からない。



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