鹿児島県を訪問された秋篠宮ご夫妻につきまとい、関係者の顰蹙を買っている三反園訓知事が、異例のカネ集めに走っている。(参照記事⇒「三反園鹿児島県知事の皇室利用に宮内庁が激怒」)
今年2月には鹿児島市内のホテルで、還暦祝いと称して10,000円会費の政治資金パーティーを開催。さらに7月に開く会費2万円の「三反園訓知事を励ます会」では、2,000人を集め4,000万円を集める計画だ。知事選は2年後で、県政界関係者は「なぜこの時期に巨額な政治資金が必要なのかわからない」と首をひねる。
問題は、励ます会実行委員会の陣容だ。県と深い利害関係のある団体ばかりであることから、「露骨過ぎて、危うさを感じる」「歴代の自民系知事でもこんな真似はしなかった」といった声が上がっている。
◆発起人は県との利害関係を有する団体ばかり
下は、励ます会の発起人代表を務める商工会議所系政治団体「鹿児島県商連政治連盟」の代表名で送付された“お願い”。県内23団体の代表らが発起人となって「三反園訓知事を励ます会」を開催するので、申し込みを募ってもらいたいという内容だ。主催団体は「三反園訓知事を励ます会」、会費は20,000円で、2,000人の参加を目標にすると明記してある。
問題となるのは、実行委員会の顔ぶれだ。改めて23団体を見てみる。
農協、建設業界、商工会、林業、介護、女性団体、土地改良、漁協――。いずれも、県との契約関係か補助金受給でつながる団体だ。各団体が、県と利害関係を有してるのは明らかだろう。県政トップの政治資金パーティーで、ここまで露骨な利益誘導の構図を見せつけたケースなど聞いたことがない。
ある自民党関係者は、こう話す。
「歴代知事の政治資金パーティーで、県と利害関係のある団体の名前を堂々と出して参加者を募るということはなかった。これは、度を越えている。農協や漁協、土改連は県から補助金もらっているし、建設業界は仕事をもらっているだろう。それぞれの組織は法に抵触しないための政治団体を持っているが、今回は堂々と組織本体の名称にしているところばかりだ。ダメに決まっている。実行委員会に名を連ねている団体は、自民党の応援団ばかり。前回の知事選は、伊藤さん(裕一郎・前知事)を支援していたはずだ。だれが音頭取りなのか知らないが、常識を知らない人間がやっていることなんだろう。そもそも、知事の後援会長は医師会の池田(琢哉)さんじゃないのか。後援会長でもない“いわさきグループ”の代表やクルマ屋が、カネ集めの先頭に立つのはおかしな話だ。岩崎なんか許認可がらみじゃないか」
励ます会実行委員長の岩崎氏は、今年2月の還暦祝いパーティーでも発起人代表を務めていたことが分かっており、知事への急接近が目立つ状況となっている。
◆無茶なカネ作りに迫られた訳とは……
前述した通り、三反園氏が2期目を狙うとすれば選挙は2年後。いま現在、まとまった政治資金が必要になる理由は見当たらない。しかし、数カ月の間に2度の政治資金パーティー。今度は4,000万円という、普通ならあり得ない額を集めるという。三反園氏にとって4,000万円がいかに大きな額か、前回知事選の年の政治資金パーティーの開催状況を見れば分かる。
4回開いた政治資金パーティーで集めたカネの総額が約1,700万円。最高でも1,000万円に届いていない。業界団体の支援がない状態では、これが限界だった。それが、商工会や農協、建設業界までカネ集めに協力すると決まったとたん、1回で4,000万円を集めようというのだから、何をかいわんやだ。見えてくるのは、県と業界団体とのギブアンドテイクの関係である。
知事と対等の立場で向かい合うべき県議会の議長が、実行委員会に名を連ねていることも問題である。これでは、議会がこぞって知事のカネ集めを呼びかけているようなものだし、県政のチェックもできなくなる。市長会、町村長会も議長会も同じ。鹿児島県政界は、狂っていると言っても過言ではあるまい。
それにしても、三反園知事は、なぜこうも無茶なカネ集めをするのだろう――。疑問を抱いて取材を進めていたHUNTERの記者が掴んだのは、知事絡みのある大きな疑惑だった。来月、その詳細を報じる予定である。