昨年4月に投開票された鹿児島県南大隅町の町長選挙をめぐり、告示前後に新人候補を誹謗中傷する街宣活動を行っていた男性活動家が名誉棄損で訴えられ敗訴。鹿児島地裁鹿屋支部の判決で、南日本新聞への謝罪広告掲載や慰謝料100万円の支払いなどを命じられていたことが分かった。
判決は4月25日で、活動家が控訴しなかったため確定している。
(写真は南大隅町役場)
■違法な街宣が選挙を歪めた
地元で「右翼」とされる男性活動家を訴えていたのは、昨年4月の南大隅町長選挙に立候補していた同町の元商工会長H氏。核廃棄物(核ゴミ)の町内持ち込みに反対する町民らのリーダーとしても知られ、町長選2度目の挑戦だったが、活動家から根拠のない誹謗中傷を受けたことが大きなマイナスとなり落選していた。
判決は、H氏側の主張を全面的に認める内容。活動家が街宣カーでがなり立てた「核廃棄物を持ち込もうとしている」「町民を騙した」「極悪人」などといった発言を事実に反するものと断定した上で、街宣活動自体を悪質な不法行為と認め、100万円の慰謝料支払いと地元紙「南日本新聞」への謝罪広告掲載を命じている。
南大隅町で悪質な選挙妨害を行っていた“右翼”の街宣車
町長選は、現職の森田俊彦氏とH氏による事実上の一騎打ち。互角の戦いが予想される展開だったが、“右翼”の活動家も突然立候補し、選挙運動に偽装する形でH氏への誹謗中傷を繰り返していた。告示の数日前から続けられた活動家の街宣攻撃にH氏の支持者が動揺。対応に追われたH氏陣営は思わぬ敗戦を喫している。
■現職陣営が右翼の街宣を利用
右翼活動家の街宣が、選挙結果に大きな影響を与えたのは事実。明らかな選挙妨害だ。得をしたのは、電力業界の関係者から飲食やデリヘル嬢派遣の接待を受けていたことが分かっている森田俊彦町長で、当時町長選を取材していたHUNTERの記者は、森田陣営が裏で「Hは放射性廃棄物を持ち込む」などと活動家とまったく同じ内容の「選挙運動」をしていることを掴んでいた。
選挙は、老朽化した役場庁舎の整備手法や人口減への対策などが争点とみられていたが、なぜか森田陣営が選挙カーで連呼したのは「核ゴミは持ち込まない」という訴え。核ゴミ処分場誘致への協力をエサに、電力業界関係者にたかっていた森田氏が、あえて核ゴミ処分の話を持ち出すことに関係者が首をひねる状況だった。
右翼活動家の違法な街宣については町長選直後、「本土最南端の汚れた町長選 密着取材の顛末 ゴキブリ右翼が選挙妨害 雇い主は?」 で詳しく報じている。